リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第4章〜暗躍編〜

閑話:悪魔の囁き

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アディライトside



私が作ったゼリーを本当に美味しそうに食べるディア様。
その姿はーーー


「はぁ、なんてお可愛らしいのかしら。」


自然と頬が緩む。
この手からディア様に食べさせてあげたいけど、グッと我慢。
せっかくディア様の機嫌が直ったのだから。


「はぁ、ディア様は何1つ恥ずかしがる事は無いと言うのに。」


羞恥心からのディア様の籠城。
あれには驚いた。


「コクヨウとディオンとどの様な関係になろうとも、私は受け入れますのに。」


と言うか、私も混ざりたい。
ディア様の事を私も甘やかしたくて仕方がないのだ。
何かを食べさせる事も私達がお願いすれば、ディア様は恥ずかしがりながらも、しぶしぶ了承してくれるのだろうけれど。


「ディア様は、ご自身の内側に入れた者にはとことん甘い方だもの。」


ひっそりと溜め息を吐く。
この可愛らしいディア様を世界中に見せびらかしたいが、勿体ない気もする。


「何とも悩ましいわ。」


相反する私のこの複雑な感情。
そのままでいて欲しいけど、この愛らしさに不埒者がディア様に目を向ける可能性があるものね。
安易に見せられない。


「こんなにも、私のディア様は美しくて可愛いらしい方ですからね。私も、もっと周りに目を光らせなくては。」


守りますからね、ディア様?
至高の存在。
ーーー・・私の救いの女神。


「貴方の為でしたら、このアディライト、何でもいたしますわ。」


敬愛するお方。


「・・・アディライト。」
「まぁ、コクヨウ。ディオンも、どうしました?」


ディア様がゼリーに夢中になっているのを確認したコクヨウとディオンの2人が私に近付く。
その顔は険しい。


「ディア様に料理をさせるなど、アディライトは何を考えているんですか?」


険しい顔のまま目を吊り上げるコクヨウ。


「はい?何を、とは?」


きょとんとする。
コクヨウは何が言いたいのかしら?


「アディライト、ディア様に料理をさせるなんて、もしも怪我をしたらどうするのです?」


そんな私に厳しい目を向けるディオン。


「あら、大丈夫ですよ。私がお側にいて、ディア様に怪我なんか絶対にさせませんから。それにーー」


にやりと私は口角を上げる。
そして、告げた。


「ディア様の手作りした料理を、コクヨウとディオンの2人は食べたくないのですか?」


ーーーー・・彼らに、悪魔の囁きを。


「「っっ、!?」」


途端、目の色をがらりと変える2人。
今までディア様の怪我の心配だけしか気にしてなかったのだろう。
ディア様が作る料理やデザートを、食べるのが誰になるのか頭の中に無かった様だ。


「「ディア様の手作り!!?」」
「えぇ、そうですよ?ですが、2人がディア様の手作りを食べたくないとそこまで言うのなら、仕方ないですね。」


わざとらしく溜息を吐き出す。


「本当に残念ですが、ディア様には料理をする事を諦めていただきましょう。私はディア様の手作り料理が食べたかったのですが・・・。」


ちらりと、2人を見る。


「コクヨウとディオンの2人は、ディア様の手作りの料理が食べたくない様ですし?」


にんまりと笑う。


「「っっ、なっ、そんな!?」」


コクヨウとディオンの2人が、この世の終わりと言わんばかりな悲痛な声を上げる。
・・ふふ、想像通り。


「あら、コクヨウ、ディオン、2人とも一体そんな顔をしてどうかしましたか?」


首を傾げる私。


「アディライト、ディア様の手作りの料理を僕だって食べたいに決まっているでしょう!?」
「そうですよ、アディライト。ディア様の手作り料理、なんて良い響きなんだ。」


ディア様の手作り料理。
その悪魔の囁きに、まんまと食いついた2人。


「・・ふっ、」


ちょろいわ、2人とも。


「アディライト、僕達に手伝える事はなんでも言って下さい。」
「えぇ、私達はなんでもしましょう。」


効果はてきめん。
あっさりと2人はこちらへ寝返った。


「まぁ、では、ディア様が料理する事をコクヨウとディオンの2人は許してくれるのね?」
「もちろんです。」
「えぇ、それがディア様のお望みですから。」


あらあら、2人ともさっきまでディア様が料理する事が不満そうだったと言うのに、こうもコロリと意見を変えるなんて。
扱い易くて有難いわね。


「ふふふ、良いでしょう。全てはディア様のお手製の料理を食べる為ですもの。」
「ディア様の手作り、とても楽しみです。」
「今から待ちきれませんね。」


その日、主人であるディア様の知らぬ間に私とコクヨウ、ディオンで密やかに協定が結ばれた。
ディア様の手作りを食べる為の協定を。


「「ディア様の手作り?」」


密やかに協定を結んで笑い合う私達に、フィリアとフィリオの2人が首を傾げる。


「あら、2人とも聞いていたのね。ふふ、2人もディア様の手作りした料理やデザートが食べたいのかしら?」
「「・・・。」」


顔を見合わせた2人が、こくりと頷く。


「「食べたい。」」
「ふふ、では、フィリアとフィリオの2人も、ちゃんと邪魔をせずにお手伝いするのよ?」
「「お手伝いする!」」


ディア様の手伝いに、やる気を漲らせるフィリアとフィリオの2人。
こうして、フィリアとフィリオの2人も私達の結んだ協定の仲間となった。


「あぁ、ディア様の手作りした物が食べられる日が待ち遠しいですね。」


出来れば、ディア様と食べさせ合いをしたい。
コクヨウとディオンの2人だけがディア様に食べさせるのは狡いもの。
何とか、上手く誘導が出来ないものだろうか?


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