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第4章〜暗躍編〜
愛に溺れる
しおりを挟むぞくぞくする。
強く私の事を求める、コクヨウの、ディオンの男の目を見るたびに実感した。
こんなにも自分は愛されているのだと。
「ーーー・・貴方の事を愛してます、ディア様。」
もっと、私の名前を呼んで?
私だけの名を。
「私の何よりも愛おしい人。」
「・・ん、っっ、ディ、オン、っっ、」
何度でも愛を囁いて欲しい。
その瞳に私の事だけを写して、私の事だけを考え、私の事だけを愛して。
ディオンの身体に縋り付く。
離さないで。
強く、痛いほどに私を抱き締めていて、ディオン。
「っっ、あっ、っっ、ずっと、私の側にいて、ね、ディオン。」
「えぇ、ディア、様、絶対に貴方の事を離しません。」
求め合うようにキスを繰り返す。
もどかしい。
このまま深く、強くディオンと混ざり合ってしまいたいと願う。
自分の中の女の欲望。
「・・・ふっ、ディオン、好き、よ。貴方が、大好き。」
誰も私のディオンに触れないで。
ディオンのこの瞳に、この手に、この身体にこうして触れて良いのは私だけ。
私だけのディオンなの。
「っっ、っっ、あぁ、私のディア様。」
「んっ、」
私の首筋に落ちるディオンの熱い吐息にうっとりと目を瞑った。
ーー・・深く刻み込んで欲しい。
私の中に強く、ディオン、貴方に愛されていると言う証を。
「っっ、あっ、ディオン、を、私に頂戴・・?」
ディオンの首筋に腕を絡めて、その身体を引き寄せるて強請る。
理性?
そんなもの捨ててしまえ。
「ーーーっっ、ディオン、が、欲し、いッ・・。」
この手に欲しいものを得る為に。
欲しいと思うものを我慢する必要がどこにある?
堕ちよう。
快楽の底へ共に。
「っっ、っっ、ふっ、んっ、あっ、っっ、ディオンッ・・・。」
自分の艶やかな声が止まらない。
風呂場に嬌声が響く。
「・・・私の、ディ、オンっっ、」
もう、今は目の前のディオン以外、他には何も見えない。
溺れて。
乱されて私は愛を知る。
「ーー・・もっと、私だけを愛して?」
私だけを。
二度と孤独の日々に怯える事の無いように。
何度もディオンに愛される。
疲れるのも当たり前で。
「・・・ディオン、やりすぎでは?」
「うっ、すまない。」
ソファーで横になり、ぐったりする私の側でコクヨウは呆れたような眼差しをディオンへ向けた。
素直に謝るディオン。
申し訳無さそうにディオンは私を見つめる。
「しかし、コクヨウも昨日はディア様に無理させたのでは?」
が、コクヨウも同罪だと言う。
「・・・さて、ディア様に食事を済ませてもらわなくては。」
目を逸らすコクヨウ。
いそいそと、コクヨウはアディライトが用意しておいてくれたお昼ご飯を私の前のテーブルの上に並べていく。
「・・はぁ、誤魔化しましたね。」
そんなコクヨウに苦笑いを浮かべたディオンは溜息を吐いた。
お互い様だと呟いて。
「ーー・・ディア様、食事の用意ができましたよ。」
「んー、」
コクヨウの声に、うっすらと目を開ける。
目の前に差し出されるスプーン。
「スープです、ディア様。どうぞ、口を開けて下さい。」
「・・自分でーーー」
「いけません、ディア様。まだディア様の体調は万全じゃ無いんですから、僕達がお世話いたします。」
自分で飲もうと手を伸ばしたのに、コクヨウによってスプーンを遠ざけられてしまう。
「・・いやいや、ただ身体が怠いだけだよ?」
大げさじゃない?
病気って訳じゃないんだから。
「ディア様、無理をしてはいけません。どうぞ、ディア様のお世話はディオンと僕の2人でしますので、ご安心下さいね。」
「そうですよ、ディア様。万事、全て私達にお任せ下さい。」
「僕達の楽しみを取らないでくださいよ?」
「ディア様、飲み物はいかがでしょう?」
「何が食べたいですか?」
「・・・。」
生き生きしている目の前の2人。
・・・なぜ、私の方が責められているんだろうか?
顔が引き攣る。
「「さぁ、ディア様?」」
「・・・、はい、」
お腹を満たす為にしぶしぶ口を開いた私。
そんな私にコクヨウとディオンの2人は甲斐甲斐しく甘やかす。
激甘ではなかろうか?
「アディライトの作った料理は美味しいですか?ディア様。」
「ん、」
「ディア様、次は何を食べますか?」
「・・サラダ。」
コクヨウとディオンの2人にとことん甘やかされ、私はひたすらに溺愛されていった。
2人からの愛に溺れそうです。
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