リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

文字の大きさ
上 下
56 / 424
第3章〜恋愛編〜

閑話:全ては主人の為

しおりを挟む




リリスside



真っ暗な寝室のベットの中から聞こえてくるのは、私が何よりも大切で愛おしく、敬愛する主人であるディア様の健やかな寝息。
その寝顔は本当に可愛らしい。
ずっと見ていられる。
が、今日は我慢せざる得ない。


「・・・ようやくディア様は、眠られたようね。」


コクヨウに抱き付いて眠る愛おしい主人の寝息をしっかりと確認し、ディア様を起こさぬよう静かに寝室のドアを閉める。
振り向いた私の視線の先。
私の事を待つ、コクヨウ以外のディア様の新しい奴隷達。


「ーーーさて、皆んな分かっていますね?これから先、貴方達はディア様の為に生き、その与えられた力をディア様の敵となる者達に使うのです。」


リビングに集まる全員の顔を私は見渡す。
これから先、私達が最も優先するのは、至高の存在であるディア様の平穏と、その笑顔を守る事。
その邪魔をするものは排除するのみ。


「いいですか?例え誰であろうと、ディア様の敵は全て躊躇なく排除なさい。それがすべてディア様の平穏となると心得なさい。」
「「「「はいっ、!!」」」」


良い返事を返す皆んな。
美しき我らが主人ディア様。
もし、その存在を権力者が欲しがったら?


「敵である相手が権力者だろうと、絶対に屈してはなりません。その為に、貴方達には、もっと力を手に入れて貰います。絶対的な力を。」


薄汚く、ディア様に群がる権力者達を跳ね除けられる力を早急に全員が得る必要がある。
ディア様を守る為にも。
静かに聞いていたアディライトが、ゆっくりちその口を開く。


「あの、リリスさん?リリスさんが言う、その絶対的な力とは何ですか?」
「良い質問です、アディライト。まず貴方達全員には、これから冒険者ランクのSを目指して貰います。」


Sランク冒険者。
そのランクになった冒険者の数は世界でも少なく、憧れと畏怖の象徴。
普通の人間がSランク冒険者になろうとするのは、とてつもなく無謀な夢だと言われる事だろう。
だがーー


「しかし、全員になって貰いますよ?例え、どんな事をしても、貴方達にはSランクの冒険者に。」


その恩恵は、計り知れない。
どんな国の権力者だとて、安易にSランク冒険者相手に手を出そうとは思わないだろう。
一種の抑制力となる。


「力は武器です。愚かな考えを持つ者達への抑制力にもなるでしょう。」


それでも、一握りのバカはいるものだ。
しかし、Sランクの称号は一国の王とて無視の出来ない力を持つ。


「明日から、この私が貴方達を徹底的に扱きます。辛いからと言って、弱音を吐く事は許しませんから覚悟なさい。」


全ては、ディア様の恩為。
今のまま、皆んなが弱いままではいられない。


「貴方達が弱ければディア様を愚かな権力者に奪われる可能性もあるのです。又はディア様を得る為に人質として貴方達を利用しようと考える者も出てくる。」


お優しいディア様は、必ず皆を守ろうとするだろう。
それで、ご自分を差し出す事となっても。
ご自分の事よりも、私達を第一優先に考えてしまうディア様だから。


「そして、貴方達も必ず生き延びられるだけの力を持ちなさい。ディア様が傷つかぬ為に。もしも貴方達の身に何かあれば、ディア様のお心は壊れてしまうかもしれないのですから。」
「「「「っっ、」」」」


その事を想像したのか、全員の顔が歪む。
誰かを失う事に酷く怯えるディア様。
今この場にいる誰かを失った時、愛おしいディア様のお心は壊れてしまう可能性だってあるのだ。
それは絶対に防がなくてはいけない事。
これも私達が守らねばならぬ優先事項でもある。


「全員、良いですね?何が何でも生き抜く事で、ディア様のお心も守るのです。出来ますね?」
「「「「はいっ、」」」」


力強く頷く全員に、私は満足げに笑った。


「良い返事です。これからの皆んなの働きには期待しましょう。」


なんとも鍛え甲斐がありそうだ。
もう全員に寝る様に促し、明日からの予定を考えていく。


「まず初めは、全員がディア様からいただいた新しい力に慣れる事からですね。」


与えられた力に溺れるなら、そこまで。
その者はディア様の可愛い愛玩動物として、一生を安全な檻の中で生きていただきましょう。


「しかし、そうでないのなら、」


救いとなるだろう。
心に何かしらの傷を抱えた、ディア様の。


「ーーー・・全ては、これから先の貴方達の働きにかかっているのです。」


私の呟きは闇に消え、ゆっくりと夜は更けていく。



名前:リリス
LV31
種族:アラクネ
隷属:ディアレンシア・ソウル
称号:蜘蛛の女王クイーン、寵愛されし者
HP:3810/3810
MP:4280/4280
スキル
隠密、気配察知、危険察知、幻惑、攻撃力上昇、防御力上昇、魔力回復上昇、状態異常耐性、身体強化、思考加速、光魔法、詠唱破棄




ディアレンシア・ソウルの奴隷となった家族


・コクヨウ
・ディオン
・アディライト
・フィリア
・フィリオ



従魔


・リリス


しおりを挟む
感想 147

あなたにおすすめの小説

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?

青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。 そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。 そんなユヅキの逆ハーレムのお話。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

女性の少ない異世界に生まれ変わったら

Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。 目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!? なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!! ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!! そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!? これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...