50 / 424
第3章〜恋愛編〜
歓迎パーティー
しおりを挟むパーティーを始める前に、コクヨウ以外の皆んなに私の従魔であるリリスの事を紹介した。
皆んな、最初は私の影から現れたリリスの事を見て、とても驚いてたけどね。
「アディライトの歓迎会でもあるのに、料理を作らせてごめんね?」
「ふふ、お気になさらず。ディア様に喜んでいただける事の方が、私は何よりも嬉しいのですから。」
「っっ、アディライトは、なんて良い子なの!!大好き、アディライト!」
アディライトを抱き締める。
「アディライトは、料理が上手なんだね?」
「料理は、私が奴隷商にいる間に教わりました。後、給仕や掃除、裁縫なども一通りの事は出来ます。」
おお、万能なメイドさんだ。
アディライトに、私が知るあちらの世界の料理を教えてみようかな?
色々と再現してくれそうだし。
こう期待、だわ。
宿にはお金を支払えば、厨房も快く貸して貰えそうだし、将来は拠点になる私達の家も買えば良い。
「・・・ふぅ、」
アディライトが入れてくれた食後のお茶で、口直し。
満腹である。
「ーーーさて、と。」
お腹もこうして満たされた事だし、そろそろコクヨウ以外の皆んなの強化をしていきますか。
まずはーーー
「アディライト。」
その手にティーポットを持ち、私に給仕するアディライトを見上げる。
「はい、ディア様。何でしょうか?」
「私ね?アディライトの強化をしたいと思うの。」
「私の強化、ですか?」
「うん、そう。これから冒険者登録を全員にしてもらって、本格的にレベルも上げていきたいと思ってる。良いかな?」
「ーーー・・分かりました。ディア様のお考えに従います。」
表情を引き締めたアディライトが、神妙に頷く。
「皆んなも、良いかな?」
「もちろんです、ディア様。」
「「(こくり)」」
「・・・はい、ディア様。」
コクヨウ、フィリア、フィリオ、ディオンの順で他の皆んなも了承してくれた。
心良く了承してくれて有難い。
「ありがとう。じゃあ、さっそくなんだけど、アディライトはどんな武器とスキルが欲しい?」
「武器と、スキル、ですか?」
「うん、アディライトが欲しい武器とスキルがあったら、与えるね?遠慮なく言って。」
「・・・はい?」
アディライトが目を丸くする。
「・・・えっと、ディア様?スキルや武器を与えるとは、一体、どう言う意味でしょうか?」
「うん?そのままの意味だよ?」
「・・・・?」
アディライトと2人で首を傾げ合った。
あれ?
意味が伝わってない?
「ディア様、アディライト達には私の方から詳しく説明いたしますわ。」
首を傾げ合う私達2人に、リリスが助け舟を出してくれる。
「リリスが?うーん、なら、お願いしようかな?」
「はい、お任せ下さい。」
自ら申し出てくれたリリスに詳しい説明を任せ、アディライトが淹れてくれたお茶のカップに口を付ける。
・・はぁ、アディライトが淹れてくれたお茶は美味しい。
「良いですか、これから話す事は何があっても、他の者に内密にしなければいけません。心して聞きなさい。」
リリスが厳しい表情で話し出す。
うん、うん、秘密にするのはとても大事な事だよね。
「私達のディア様は、偉大な方。そのディア様のお力の一部を、光栄にも貴方方は与えられるのです!」
それだけ己の主人が持つ力は絶大で、他者に知られれば厄災の元になりかねない。
リリスにとって、主人であるディアの身を守り守護するのが最優先事項。
「貴方方は、ディア様がご自身の身内に受け入れた者達です。故に、ディア様の恥になる事はこの私が絶対に許しません!!」
んん?
「美しく、お優しいディア様の側に侍られる事を光栄に思い、誠心誠意お仕えするのです。」
んんん?
・・・あれ、可笑しいな。
今から私のスキルについての説明なんじゃなかったの?
「り、リリス?」
「はい?ディア様、なんでしょう?」
「・・あの、私のスキルについての説明なんじゃなかったの?」
なんか、リリスの話が可笑しい方へ向かっているような・・・?
私の気のせい?
「まぁ、ディア様。これは大変、必要な事なのです。」
「そ、そうなの?」
「当たり前です。これからディア様にお仕えする者として、しっかりと私が皆んなを指導していきますのでご安心を。」
「う、うん?」
・・・これ、安心、なのか?
首を傾げざるを得ない。
「っっ、リリス、でも、さ?」
「はい?」
「皆んなの強化も進めなきゃだし、話は手短にね?」
延々と話しそう。
ここで、釘を刺しておかなきゃ。
「ーー分かりました。まだまだ言い足りませんが、本当に必要なディア様の事だけ説明します。」
「うん、リリス、ありがとう。」
ほっと、胸をなで下ろす。
良かっーー
「この様に、ディア様はとても謙虚な方。感謝を忘れてはいけませんよ?」
ーーく、ない。
また始まった、リリスの私への褒め殺し。
「・・・リリス。」
・・・ねぇ、そろそろ私、泣いても良いかしら?
私は頬を引攣らせた。
14
お気に入りに追加
2,258
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
果たして、阿宮は見知らぬ世界でどう生きていくのか————。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

女性の少ない異世界に生まれ変わったら
Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。
目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!?
なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!!
ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!!
そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!?
これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる