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第2章〜奴隷編〜
閑話:アディライトの過去
しおりを挟むアディライトside
物心ついた頃から、私の周りにいる人達に不幸が訪れる事に気が付いた。
それも、全員が私に関わった人ばかり。
皆んなに訪れる不幸は様々で、病気だったり、怪我だったり、酷い時は誰かが亡くなる。
ーーそんな時もあった。
「っっ、お願いだから、それ以上こちらに近寄らないで!この、化け物!!」
「そうだ、この疫病神が!お前なんか、俺達の子供なんかじゃない!!」
容赦なく私に浴びせられる罵倒の数々。
両親に。
「アディライトの側にいると、良くない事が起きるんだって!」
「もう、アディライトとは絶対に一緒に遊ばないから!!2度と話し掛けてこないでよね!」
「疫病神!」
時には私の友達だった人達から。
「っっ、なんで、」
ーーー直前まで私と一緒にいた人達だけが必ず厄災に見舞われるのだろうか?
ついに、私の両親が事故で死んだ。
「・・怖いよ。」
私の中から消える事のない言い知れぬ恐怖。
怖くてたまらない。
この恐怖は、いつまで続くの?
次は誰?
「もう、私はこれ以上、誰の事も傷つけたくなんかないのにっっ、!!」
ーーー今日もまた、誰かが私のせいで厄災に見舞われた。
・・私の願いは、今日も叶わない。
『厄災の魔女』
そう私が街の皆んなから呼ばれる様になるのに、そんなに時間がかかる事はなかった。
・・とても悲しかったよ。
「ーーーーアディライト、君には悪いが、頼むからこの街から出て行ってくれ。」
「俺達の家族まで、お前のせいで不幸になる。」
「お前のその色の違う瞳が、まるで不幸の象徴のようだな!?」
街の人達全員から、厄災を振りまく人間は不必要だとあっさりと捨てられた私。
無力感が私を襲う。
「・・はい、分かりました。」
何をしても無駄。
諦める事に慣れてしまった私はただ、街の皆んなからの拒絶を素直に頷いて受け入れるだけだった。
それ以外に何か方法があっただろうか?
『捨てないで!』
『この街にいたいです!』
街の人達に泣いて縋れば良かったの?
分からない。
何が正解で、間違いなのか。
「今日中に、この街から出て行きます。」
「あぁ、さっさと出て行ってくれよ?」
「これ以上、周りに厄災を振りまかないでくれ。」
「これで清々する。」
出て行く事を了承した私に浴びせられる言葉たち。
・・誰一人、私を引き止めよう、優しい言葉をくれようとする人はいなかった。
「知ってた?あんたを親友なんて思った事なんてないから。」
ずっと親友だって思っていた存在も、私の事を見放したんだから。
私の勘違いだった様だ。
親友だと思っていたのも私だけ。
「・・・一体、私の人生って何なんだろう?」
皆んなに嫌われる事?
見下され、拒絶される事が私が生まれてきた意味だと言うのだろうか?
ーーーこの日、私は生まれ育った街から追放された。
「アディライト、ほら、今日から、ここが貴方の新しく住む場所だよ。」
私がたどり着いたのは隣街
小さな町の教会が経営する施設に預けられたが、数ヶ月後に火災で焼失。
行き場の無くなった子供達は、他の施設に移るか、働くか、ーーーー売られて行くしかなかった。
「頼むから暴れたりして迷惑だけはかけないでくれよな?俺達も大事な商品であるお前の事を傷つけたく無いんだから。」」
「・・はい。」
この世の中、他の施設だって全員を受け入れられる訳なかったの。
私も、後者の1人。
ーーーー新しく私が住む場所は、奴隷商だった。
「ふむ、お前のこの珍しい瞳なら、とても高く売れる事だろう。アディライト、お客様には愛想良くするんだぞ?」
「はい、分かりました。」
今日を生きる、とは、一体、なんなのか。
笑いたくも無いのに愛想笑いを浮かべ、こうして人に媚びへつらう事なの?
・・・心が、死んでいく。
「お前の事が高く売れるかもしれん。」
ーーーーご機嫌に私を褒めた商人は、数日後に自宅へ押し入った強盗によって無残にも殺される事になる。
私は周囲に不幸を呼ぶ。
「・・・私は、周りにいる人達に不幸を振りまく厄災の魔女なの。」
受け入れよう。
これが私の運命であり、呪われた宿命なのだから。
「アディライト、私の手を取って?」
不幸を呼ぶ私を気味悪がって早く手離したがる商人ばかりの中、貴方だけはその手を差し出した。
・・・ディア様、こんな私を本当に救ってくださいますか?
厄災の魔女と呼ばれた私を。
「っっ、お願いします、私を助けて下さいっっ、!!」
震える指先を、目の前に差し出され手の上に乗せた。
慈愛の眼差しを向ける、美しい微笑を浮かべた女神の手を取る為に。
「ーーー・・幸せを望んでも良いのですか?」
ほんの少し。
束の間の幸せでも良い。
私も心から誰かに必要とされ、愛されたいのです。
名前:アディライト
LV1
性別:女
年齢:16
種族:人族
HP:465/465
MP:240/240
スキル
生活魔法、不幸集来
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