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第2章〜奴隷編〜
魔族の奴隷
しおりを挟む絵画、骨董品、武器、奴隷。
オークション会場内はブースごとに分けられて展示、あるいは商品である奴隷達が椅子に座らせられ、お客の購入意欲を高める様にされているのだとか。
その中で私の目的は、もちろん奴隷のブース。
絵画や骨董品は一先ずスルーし、新しい武器作成の参考の為に武器類を一通り見た後は、そのまま奴隷のブースへと向かう。
「ふふ、まぁ、色んな武器を見られたのは楽しかったけどね。」
こうして実際に武器を見るのは、これから先、自分が作る時に役立つからだ。
アイディア集めです。
今回のオークションに出品された武器達は、とても参考になりました。
「ディア様が嬉しそうで、僕も嬉しいです。」
「ふふ、今日もコクヨウは可愛いね。」
ご機嫌な私に嬉しそうなコクヨウに癒されながらたどり着く、奴隷のいるブース。
私の目的の場所である。
「さて、私のお目当ての子達はどこにいるのかな?」
さっそくブースの中へと入っていく。
「ーーー・・おや、ソウル様ではありませんか。」
・・・たら、さっそくハビスさんとかち合う事になった。
うん、確かに、ね?
マップ上でハビスさんが会場内にいるのは事前に知っていたから、必ず会う事になると分かってたけど、こんなに早くですか。
「・・・えぇ、久しぶりですね、ハビスさん。」
「ソウル様はお変わりなく、お元気そうで安心いたしました。」
笑いながら、ハビスさんはコクヨウへと視線を向ける。
「コクヨウも、あの頃より表情がとても柔らかくなりましたね。良い主人に出会えた様で、なりよりです。」
「・・はい、お久しぶりです、ハビスさん。ディア様には良くしていただいており、巡り会えた事にとても感謝しています。」
話して良いかと伺う様な眼差しに笑って頷けば、コクヨウがハビスさんに対して軽く頭を下げて感謝を述べる。
うん、良い子。
こうやって気遣いが出来て、私を立てる事を怠らない。
どう、私のコクヨウは、可愛くて素直で良く出来た子でしょ?
ドヤ顔をしたいが、グッと我慢。
「おや、おや、コクヨウに惚気られてしまいましたか。これは参りましたねぇ。」
参ったと言いながら、ハビスさんのその口元は緩み、嬉しそうで。
「ーーーー・・本当、あの日にソウル様とコクヨウを合わせて良かった。そう、今日の2人のお姿を見て強く思いましたよ。」
・・・強く、私に印象を残した。
「さて、ソウル様。本日このオークション会場へわざわざ来られたのは、例の魔族をお求めだからですか?」
「そのつもりです。ハビスさんも、その為に、コクヨウに魔族の話を聞かせていたオークションへの招待状を、私にくださったんでしょう?」
ハビスさんへ、私は咎めるような眼差しを向ける。
「ふふ、一体、何の事でしょうか?」
首を傾げ、とぼけるハビスさん。
はぁ、この狸。
呆れの眼差しを向ける。
「さすが、やりての商人ですね、ハビスさんは。」
「お褒めに預かり、誠に光栄です。」
にこりと、ハビスさんは笑う。
「褒めてません。今のはハビスさんへ私なりの、ただの嫌味です。」
唇を尖らせる。
「まぁ、まぁ、そう気を荒立てないで下さい、ソウル様。」
「・・・一体、誰のせいですか。」
「ふふ、すみません。それでは、お会い下さい、あの子達へーーーー」
ハビスさんが招き入れた部屋の中。
「あの子達が、今回、私どもがオークションに出展する双子の奴隷達です。」
ーーーー・・黒を纏った双子が寄り添う様に、椅子に静かに座っていた。
それは、遡る事2週間前の話。
『それと、ディア様。魔族の奴隷について、ですが。』
『うん?』
『実はーーーー』
それは、リリスから聞かされた事。
それはーーー
『ーーーその奴隷は、双子なのです。』
それが、リリスからの報告で知った魔族の奴隷の情報だった。
魔族だけでも貴重なのに、双子。
私の中の双子への関心も、リリスからの報告で格段に跳ね上がった。
「ソウル様、彼らが姉のフィリアと、弟のフィリオの姉弟です。見ての通り、紛れも無い魔族の血統を持った、双子の奴隷ですよ。」
魔族の血統の双子。
私は目の前の双子にさっそく鑑定を行う。
名前:フィリア
LV2
性別:女
年齢:12
種族:魔族
HP:580/580
MP:1120/1120
スキル
生活魔法、気配察知、危険察知、水魔法
名前:フィリオ
LV2
性別:男
年齢:12
種族:魔族
HP:585/585
MP:1130/1130
スキル
生活魔法、気配察知、危険察知、風魔法
おお、なかなかのステータスだ。
やはり、彼等に流れる魔族の血のおかげか、レベルの低さに比べてHPとMPが高い。
それに、水魔法と風魔法をそれぞれ覚えているし。
うん、やっぱり2人は買いだな。
「いかがてしょうか、ソウル様。この子達は、ソウル様に気に入っていただけましたでしょうか?」
「えぇ、私は2人の事をとても気に入りました。今日の彼等の競りに是非とも、私も参加したいと思います。」
こんな逸材、買わない訳がない。
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