リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第13章〜帝国編〜

協力の要請

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時間との勝負。
その為、ヒューイット達を牽制する事に。


「まず、ヒューイット様達にお伝えしたいのは、ルイン様は、この場に戦いの為に来たのでは無いと言う事です。祖国を救う手助けを乞う為に、ヒューイット様達と話し合いに来られたのですわ。」
「祖国を救う?自国の王を玉座から引き摺り落とす手助けを、愛し子様は我が国にしろと申されますか?」


ヒューイットの眉が寄る。


「いいえ、リュストヘルゼ帝国に巣食う魔族、寵妃マリア様の討伐の協力と、その際の邪魔をしない事をヒューイット様には、ガルムンド王国の王として、お約束いただきたいのです。」


部屋の中が凍り付く。


「リュストヘルゼ帝国の寵妃が、魔族・・?」


ポツリと呟かれた言葉が大きく響いた。
一国の王の寵妃が魔族。
その事実は、ヒューイット達に大きな衝撃を与えた様だった。
あり得ない事実。
しかし、そのあり得ない事が真実なのだ。


「間違いなく、リュストヘルゼ帝国の寵妃マリア様は魔族であるとニュクスお母様の娘として宣言いたします。精霊王様達からも、寵妃マリア様が魔族で間違いないと、お言葉をいただいておりますわ。」


一緒に来てもらったイーアに視線を向ける。


「そうよね、イーア?」
「えぇ、ディアちゃんに頼まれたて私達が直接、リュストヘルゼ帝国の寵妃マリアが魔族である事を確認したから間違いないと精霊王の名において宣言するわよ。」


精霊王達のお墨付き。
私の補足にヒューイット達の顔が険しいものへと変わっていく。


「っっ、ルイン殿、リュストヘルゼ帝国の皇帝陛下は、ご自身の寵妃が魔族である事を知っておられるのか!?」
「・・いいえ、知らないかと。」


ルインが首を横に振る。


「どうやら、寵妃様は魅了を使って皇帝陛下を洗脳している様で、本当の事は分かりかねますが。私の兵も8人、寵妃によって魅了されておりました故、皇帝陛下も魔族と知らずに洗脳されているのだと思われます。」
「魅了、だと?」
「はい、ヒューイット様、寵妃マリア、本当の名はマリージュアと言いますが、彼女の狙いは世界の崩壊。その為にリュストヘルゼ帝国の皇帝を魅了し、今回の戦を企てたのでしょう。全ての国を巻き込み戦火を広げ、生きる者全てを皆殺しにする為に。」


その威力に最悪の展開を想像したのか、ヒューイット達は言葉を失った。


「寵妃マリアの計画を阻止する為にも、ヒューイット様達にルイン様を討たせる訳にはいかないのです。ルイン様には、生きて自身の潔白を晴らさねばならないのですから。」
「身の潔白?」
「はい、ルイン様がガルムンド王国との内通したと言う筋書きで、寵妃マリアは自国の内紛を狙っています。」
「なっ、」


絶句するヒューイット様。


「お分かりでしょう?今、ルイン様を失えば、寵妃マリアは自国までも戦火にする理由を与えてしまう事を。」


ルインがいなければ、内通の罪を着せられても弁明する事も出来ず、寵妃の思うがままに戦火は広がっていく。
緻密な計画。
しかし、彼女の計算外だったのは、私の存在。


「ニュクスお母様の娘として、そして愛し子として、ヒューイット様、ガルムンド王国や他の国々へ魔族討伐の協力を命令します。」


各国の王さえ動かせる、愛し子としての私だった。


「ーーー愛し子様よりの魔族討伐の御命令、ガルムンド王国の王として承知いたしました。」


ヒューイットが受託の意を示す。
受託の意に頷く。


「では、まず初めに、ガルムンド王国の領土へ侵攻しているリュストヘルゼ帝国の兵を何とかしなければなりません。」
「リュストヘルゼ帝国が誇る、空からの攻撃部隊ですね。」
「はい、其方の指揮官も寵妃の魅了で洗脳されているので、戦を簡単には止めないでしょう。」


寵妃マリアの命令は絶対。
魅了された全員が、そう思っているだろうから。


「愛し子様、どうされますか?」
「リュストヘルゼ帝国の兵にも、ニュクスお母様の愛し子の名で、寵妃マリアが魔族で皇帝陛下や指揮官が魅了されていると言う事を通達いたします。義ある者は、ルイン様に従え、と。」


自国の寵妃が魔族と知り、何人が従うのか。
楽しみね?
リュストヘルゼ帝国の寵妃様?


「なるほど、寵妃に洗脳されている者に不信感をもたせ、離反させるお考えなのですね?」
「はい、その方が味方の兵に動揺はあれど、寵妃を討伐する際の士気は高いままですので、すぐ様、リュストヘルゼ帝国へ向かえるかと思います。」
「・・愛し子様の存在は、大きいものになりいますね。」


気遣わしげなヒューイットへ微笑む。
今回の鍵は、如何にして兵達の心をルインの元へ戻すかにかかっているのだ。


「ヒューイット様、私はニュクスお母様に認められた愛し子なのです。お母様が愛される世界を守る事は娘である私の務めであり、何よりも成さねばならない。」


この世界が滅びる?
では、私の大事な家族である皆んなは?


「例え寵妃マリア様が魔族で無かろうとも、皇帝陛下を唆し、他国への侵略を企む所業は許される事ではありません。寵妃マリア様は、私の敵なのですわ。」


それに、ロッテマリー達を苦しめた元凶様でもある。
彼女は私の獲物なのだ。


「気高き愛し子様のお心に敬意を。改めて愛し子様の魔族討伐の御命令、確と承ります。」


ヒューイット達が全員、私へ跪く。
この瞬間、私はニュクスお母様の愛し子として前面に出る事になった。


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