リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第12章〜獣人編〜

嫉妬と愛情

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私の奴隷でもなく、可愛がられる事になったロウエンの存在。
2人が不満を募らせるのは当然なのだろう。


「そんなにロウエンの事が羨ましい?なら、2人の事も同じ様に扱ってあげましょうか?」


しかし、私にとって不愉快な事だ。
私を信じない存在など不要。


「私の夫ではなく、愛玩動物がご希望?私の気が向いた時だけに愛される存在に成り下がりたいの?」


ロウエンが私の特別?
笑わせるな。


「ロウエンは、替えの利く愛玩動物よ?そんな愛玩動物を可愛がる事はあっても、特別に愛する気はないわ。」


私がそんなロウエンに、自分の全てを捧げる事はない。
向けるのは、愛玩物に対しての愛情だ。


「ねぇ、コクヨウ、ディオン?いつから2人は、私の気持ちを信じない、そんな傲慢な考えを持ったの?」


首を傾げる。
他の夫は、私を責めないだろう。
オリバーは、私の愛情を自分だけが独占出来ない事をコクヨウとディオンの2人がいたから知っている。
それは、アレンも同様。
王子であったアレンは、一夫多妻、又は一妻多夫は当たり前と考えているので、今更ロウエンが私の夫となったとしても揺らぐ事はない。


「ふふ、見くびられたものね。私の愛情は、そんな薄っぺらいものだと2人に思われていたなんて。」


だが、目の前の2人は違う。
揺るぎない私だけの愛情を欲する2人は、自分達とは違うロウエンの存在に揺らいだ。
それは、私の愛情を疑う事。


「どうやら、私の賭けは負けの様ね。」


溜め息を吐き出した。


「賭け?」
「ディア様、どう言う意味ですか?」


混乱する2人を嘲る。


「分からない?ロウエンの存在を使って、2人の事を試したのよ。」


2人への絶対の愛情を信じるか。
それとも、ロウエンが私の特別になると恐怖して、揺らぐのかを試したのだ。


「貴方達2人は、失格ね。私を信じない者は、いずれ裏切るもの。」


そんな薄っぺらい愛情なら、要らない。
不安になるのは嫌だもの。


「っっ、そんな、」
「嫌です、ディア様!」


蒼白になる2人に、私は路傍の石を見る様な眼差しを向ける。


「貴方達の都合なんて知らないわ。私は自分の好きな様に生きると決めたんだから。」


初めから最低な女だと知っていたでしょう?
なら、最後まで最低な女である私の事を、何があろうとも揺らぐ事なく愛するべきだった。


「で、そんなにロウエンの事が羨ましいのなら、2人の事も同じ様に扱ってあげましょうか?」
「ディア様、どうかお許し下さい!」
「貴方からの愛情を疑う様な事は、もう2度と致しませんから!」


私の足に縋り付く2人。


「どうしようかしら?今回、2人の事を許しても、ロウエンの存在がある限り不安になるのでしょう?」


私にロウエンを捨てさせる?
それともーー


「構いません、ディア様が誰を愛でようと、貴方への愛情は変わらない。」
「私達が満たされるくらい、貴方に愛されれば良いのです。」
「ふふ、あはは、っっ、」


なんて滑稽。
そして、なんて愛おしいのかしら。


「そう、貴方が不安にならない様に、私の事をしっかり捕まえて?そうでないと、私は満たされないの!」


ロウエンに嫉妬?
なら、そのロウエンに負けないぐらいの愛情を私に向けて?
そうすれば、私は2人の事を手放さない。


「私の可愛い、コクヨウ、ディオン。さぁ、一緒に狂気の底へ落ちましょう?」


2人の頬に手を滑らせる。


「私に普通の愛情を求めないで?」


特別なんて要らない。
私は全員の事を愛するのだから。


「特別、1番、そんな言葉に何の価値もないわ。だって、私にとっての皆んなは、等しく平等に愛おしい存在なんだもの。」


壊れている私の心。


「嫉妬も、妬みも、苛立ちも飲み込んで、私に愛を捧げ続けて!」


2人の事を押し倒す。


「っっ、好き、愛してるの!お願いだから、私からの愛を疑わないでよ!」


怖かった。
自分が試した事なのに、暗い表情で何も言わない2人が嫉妬に苦しんで、このまま私の側から離れるのではないかと。
もしも、2人が私から離れる事を選んだら。
ーーー私は2人の気持ちなど無視して、監禁してでも繋ぎ止めただろう。


「っっ、不安に、させないで!」
「あぁ、愛しています、ディア。」
「私達には、貴方だけです。」


縋り付く私の身体を、2人の腕が抱き締めた。
きっと私は、2人からの愛情を試す為なら、この身をロウエンに与えるのも厭わないのだろう。
なんて、最低。
それでも、私は2人の愛情を試す事を止められない。


「お願い、もっと、私を求めて?」


2人や皆んなから愛されている実感がなければ、上手に息も出来ないの。
ロウエンに嫉妬する2人の姿に私は安心し、愛されている事を実感しては、幸せを感じるのだから。


「あっ、んっ、」
「ダメです、逃げないで。」
「ほら、私達の事を受け入れてくれますよね?」


快楽に身体が逃げそうになる私の身体を、2人が縫い止めて離さない。
この日、いつもは優しく丁寧に触れる2人は、乱暴に私の事を抱いた。
世界中に激震が走るのは、次の日。
リュストヘルゼ帝国が各国へ戦線布告を告げた。


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