リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第12章〜獣人編〜

不安な夜

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否定的な3人に首を傾げる。
あれ?
とても良い案だと思ったんだけど。


「ディア様に刃を向けるような愚かな不届き者は、私が誰1人として許しません。全面降伏しないものなど、私が容赦なく叩きのめします。」
「「皆んなディア様が大好き!」」


リリス、フィリアとフィリオの言葉に、私の計画は打ち砕かれてしまう。
若干の落ち込みはあったが、楽しみが出来た。
それで良しとしよう。


「・・・あの、ディア様、次はガルムンド王国へ行かれるのですか?」


ガルムンド王国へ行く事が決まった数日後。
ルルーシェルが私に聞いてくる。


「ん?そのつもりだけど、どうして?」
「ディア様、実はルルーシェルは、獣人族が多く住むガルムンド王国が祖国なのです。だから、ガルムンド王国の事がルルーシェルは気になるのですわ。」
「なるほど。」


獣人族であるルルーシェルは、ガルムンド王国が祖国なのか。
それは気になるよね。
自分の生まれた祖国の事なんだし。


「ルルーシェルは、なぜガルムンド王国からリュストヘルゼ帝国へ?」
「私の父がリュストヘルゼ帝国のある貴族の嫡男の武術指南役として呼ばれたのです。その縁で、後にお嬢様の護衛としてお側に仕えておりました。」
「おぉ、」


お父様が武術指南役とな!?


「ルルーシェルのお父様、武術指南役として呼ばれるぐらい強かったんだ?」
「はい、とても強くて尊敬できる父でした。」


誇らしげにルルーシェルが微笑む。


「なら、ルルーシェルもガルムンド王国へ私と一緒に行く?」
「良いのですか!?」


ルルーシェルの瞳がきらきらと輝く。


「良いよ?自分が生まれた国をルルーシェルも見たいでしょう?」
「はい、ありがとうございます、ディア様!」


喜ぶルルーシェル。
可愛い。


「んー、なら、ガルムンド王国の武術大会へルルーシェル出てみる?」
「・・私が、ですか?」
「ふふ、うん、せっかくなら、ルルーシェルの実力をガルムンド王国で見せつけたいじゃない?」


自慢したいじゃん?
私の可愛いルルーシェルの強さを、さ。


「私は武術大会へ出れないし、ルルーシェルに代わりに頑張ってもらおうかな?」
「っっ、はい、ディア様の忠実なる配下として、必ずや優勝を貴方様へ捧げます!お任せください!」


灯る炎。
ルルーシェルの武術大会への出場が決まった。




◇◇◇◇


ガルムンド王国のある屋敷。
広いホールに獣人族の子供達が大勢集められていた。


「・・・俺達をどうする気だ?」


1人の獣人族の青年が自分達をこの場に連れて来た相手を睨め付ける。


「くくっ、良いねぇ、その目。」


舌舐めずりする男。
筋肉質な男はを細める。


「悪いが、俺の計画の為にお前達全員には贄になってもらうぜ?」
「贄・・?」


不穏な言葉に、訝しむ青年。


「ふっ、贄となるお前が詳しく知る必要はねぇよ。まぁ、精々、後ほんの少しの余生をここで楽しむんだな。」


ニタリと笑う筋肉質な男。
青年の背中に言い知れぬ悪寒が走る。
逃げなれば。
頭の中で警鐘が鳴る。


「“この場から逃げる事は禁ずる”。」


しかし、冷たい筋肉質の男の命令に、全員に刻まれた奴隷紋がこの場に縫い止める鎖となった。
固まる青年達に満足そうに笑った筋肉質な男は背中を向け、悠々とした足取りで広いホールから出て行く。
分かっているのだ。
この身体に刻まれた奴隷紋で縛った者達が、逃げられないと言う事を。


「・・僕達、帰れないの?」
「っっ、ヤダ、お家に帰りたいよ。」


子供達の啜り泣きが広いホール内に広がる。
全員が強固な奴隷紋と言う鎖に繋がれている為、この場から逃げ出す事は出来ない。


「くっ、」


何も出来ない現実に青年は歯噛みする。
無理矢理に奴隷にされた。
この場にいる子供達は、全員が拐われるように連れて来られただけ。
本来なら、奴隷になるはずのない子供達。


「・・お兄ちゃん。」


隣に座り込む子供が青年の服の裾を掴む。
目尻に涙が滲んでいる。


「怖いよ。もう、ボク達お家に帰れないの?」
「大丈夫だ、きっと兄ちゃんが何とかするから心配するな。必ず、家に帰れるから。」


根拠のない慰め。
偶然にも同じ村の子供が拐われる現場を目撃した青年は、この場に一緒に連れて来られた。
今や自分も子供達と同じ、あの男の奴隷。


「・・まさか、あの男が奴隷紋を刻めるとは、な。」


迂闊だった。
あの男は、自分達が贄なのだと言う。
集められた子供達。
ホール内を見回してみれば、30人ぐらいの子供達が集められている様だ。


「一体、何をする気なんだ?」


不安の夜。
まだ夜は開けない。


「・・助けが来ないなら、俺がどうにかしなきゃ。」


唇を噛み締めた。



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