リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第11章〜勇者編〜

コクヨウへの謝罪

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一切の闇が消えるとカティアから宣言され、大慌ての貴族、教会関係者達。
大慌てである。


「っっ、お許しを、闇の精霊王様!」
「この2人は、さっそく協会から破門いたします!」
「なにとぞ、お怒りをお鎮めくださいませ!」
「闇の精霊王様の加護を受けた子供がいた事を我らは何も知らなかったのです!」


必死にカティアへと縋り付く。


「ならん!闇の色が不吉と言い、私が加護を与えし者を化け物と呼ぶお前達に慈悲は与えぬ!」


厳しい目をカティアは周囲へ向ける。


「闇の色が不吉と言うならば、夜など来なくても良かろう?そして、黒は私のシンボル。」


その口元が歪む。


「そんな闇の色を険悪しているお前達にとって、私など敬うに値しない存在なのだろう?なぜ、その様な私に慈悲を乞う?」


カティアはとてもお怒りですよ、皆さん?


「ふふ、皆さん謝罪の仕方が違うのでは?どうするんでしたっけ?」
「「「っっ、!!」」」


微笑む私に、全員が地面に膝をつきカティアへ額ずく。
見事な土下座である。


「我らをお許しください、闇の精霊王様!」
「どうか、罰をお取り下げに!」


土下座する者達に細まるカティアの目。


「そうしてお前達が謝るのは、私にではないのではない?」


カティアの視線がコクヨウへ向く。


「私が加護を与えしコクヨウに一切の謝罪はないのか?」
「ーーーっっ、お許しを、コクヨウ、様!」
「我らが間違っておりました!」
「数々の暴言、お許しください!」


コクヨウにも、全員が頭を下げてて土下座した。


「カティア、許してあげたら?」


私はカティアを見上げる。


「ん?ディアちゃん、こんな簡単に許して良いの?」
「ちゃんと謝ってくれたし、今の所は良いかな?あっ、でも、しばらくは夜が来なくて良いからね?」


にんまりと笑う。


「だって、この皇国の住民や他の国の皆んなも夜が来ない事の理由を知って欲しいし?」


責任の追及は教会と、この場にいる貴族へ向く。
当然だ。
精霊王と、この世界の全ての母と言われるニュクスお母様の愛し子の私の逆鱗に触れたのだから。


「大変ね?住民や他国へ言い訳をするのが。」


精々、責められろ?
全ては自分達が招いた事なんだから。


「今から言い訳を考えたら如何?あぁ、正直に闇の精霊王の色を侮辱しましたと言えば簡単な話でしたっけ?」


私は青い顔のクレイシュナ皇女へ視線を向ける。


「クレイシュナ皇女、魔族は確かに全て国、種族の共通の敵なのでしょう。しかし、その魔族もニュクスお母様が慈しむ子供である事をお忘れなく。」
「・・魔族を迫害するな、と仰せですか?」
「いいえ、攻撃する意思のない者を無差別に迫害して欲しくないだけなの。しかも、魔族と同じ色を持っただけの者を虐げる事は断固反対よ。」


敵なら、戦う事は当然だ。
相手から敵視されても文句は言えない。


「コクヨウは、彼は両親に、この国に何かしましたか?」


では、コクヨウは?
ただ、黒い瞳で生まれてきたコクヨウになんの罪があると言うの?


「生きとし全ての者が平等に幸せになる権利があるの。偏見や偏った見方で誰かを虐げる事は、ニュクスお母様の愛し子である私が許しません。」
「はい、ディア様。しかと心得ました。」


頷くクレイシュナ皇女。


「わたくしの力の及ぶ限り、最善を尽くす事をお約束いたします。」
「では、その助けとなる物を与えましょう。」


空間収納の中から身代わりのブレスレット、結界のアンクレットを取り出す。


「・・これは?」
「身代わりのブレスレットと結界のアンクレットと言う魔道具です。皇王として即位する貴方の身を守る助けとなるでしょう。」
「あ、ありがとうございます、ディア様!」


手渡した2つの魔道具をクレイシュナ皇女は胸に抱き締める。
#秘宝__アーティファクト__級の魔道具と知り、後で驚く事だろう。
皇王の地位を継ぐ事は12才の年若い少女には険しい道。
しかし、その険しい道を進んでもらう他ない。


「この皇国をわたくしにお任せください、ディア様。必ずや、纏め上げて見せます。」


決然とした光をクレイシュナ皇女が瞳に浮かべる。


『年若い小娘に何が出来る!』
『いくら聖女様と言え、政治に疎い方が皇王の地位を継ぐのはいかがなものでしょう?』
『聖女様として、教会の奥深くでニュクス様へ祈られてはいかがか?』


彼女が皇王の地位を継ぐ事を反対する者は多かった。
ニュクスお母様を愚弄する所業である。
即位式の日まで反対する者はいた。


『私達精霊王達がクレイシュナ皇女の即位を祝いましょう。』


皇王の地位を継ぐ即位式の日、クレイシュナ皇女の元に降り立った全精霊王達。
全精霊王達の祝福を受けた彼女が皇王の地位を受け継ぐ事を非難する者は、その瞬間に誰もいなくなった。



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