リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第11章〜勇者編〜

女神の下問

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心の内でニュクスお母様に拍手喝采。
地面に這い蹲る今の相馬凪に、勇者としての威光は全くない。
無様な姿である。


「ふふ、地面の寝心地はいかがです、勇者様?とても地面が勇者様にはお似合いですね?」


嘲笑う。
これで、この世界の絶対の女神であるニュクスお母様と、その愛し子である私の逆鱗に相馬凪が触れた事は周知の事となった。
どれだけの人間が、相馬凪の元に残る事やら。
楽しみである。


「くっ、この俺、に、こんな事を、して、許さ、れると思っているのか、お前達!?」


哀れんでいれば、顔を上げた相馬凪がニュクスお母様と私へと吠える。
・・バカなの?
相馬凪に対して心底呆れた私は、また固まってしまった皇王へ視線を向けた。


「皇王、勇者に一体どの様な教育をされたのですか?」
「・・っっ、誠に申し訳ありません、ニュクス様、愛し子様!全ては勇者様への至らぬ我らの教育不足が招いた事でございます!」


真っ青な顔の皇王がプルプルと身体を震わせ頭を地面に押し付ける。
いわゆる、日本で有名な土下座。
自業自得とは言え、おバカの尻拭いは大変ですなぁ。


「どうか、お許しを!」
「ニュクスお母様、皇王様がこうして謝罪してますが、どうします?謝罪を受け入れますか?」


ニュクスお母様へ問う。
決めるのは、ニュクスお母様だ。


「ふむ、パルファンから謝られても、その男からの謝罪なく許せと言うのは虫が良すぎる。この私も愚弄されているのだからな。」
「なっ、この俺に謝罪しろと言うのか!?」


驚きを露わにする相馬凪。
この男、こんなにもバカだっただろうか?
あちらの世界にいた頃は、もう少しマシだったような気がするんだけど。


「では、お前からの謝罪はいらぬ。」
「はっ、当然だ!」
「そうだな、お前などから謝罪などされても、私が許す事はない!故に、お前からの謝罪など不要だ。」


ニュクスお母様が指を鳴らす。


「ぐぅ、!?」


相馬凪の身体が見えない何かによって地面に押し潰される。


「不愉快だ、私にお前の醜いその顔を見せるでない。そのまま、地面に伏しておれ。」
「っっ、」


地面に押し潰される相馬凪から、小さな呻き声しか聞こえなくなった。
ご愁傷様、勇者様。


「この男の私に対して無礼を働いた責任、パルファンよ、どう取るつもりだ?」
「わ、我らに、なんの咎がありましょう?勇者様お1人の責任ではないのでしょうか?」
「ほう?」


ニュクスお母様の瞳が細まる。
どうやら、相馬凪は皇王からも見捨てられた様子。
これだけ醜態を晒せば、仕方ない事。
でもね、皇王。


「全てはあの男1人の責任と言うのか?お前には、なんの咎もないと?」


貴方も同罪でしょう?
嘘を周囲やニュクスお母様についているんだから。
ニュクスお母様が不快感を示す。


「はい、さようでございます、ニュクス様!」


皇王は額ずく。


「勇者様は、ニュクス様へ許されない事をいたしました。どうぞ、その裁きを勇者様自身へお与えください!」
「だ、そうだ、勇者。誰も庇ってくれぬ様だ。」


地面に押し潰される相馬凪に、ニュクスお母様は美しい笑みを向けた。


「良かろう、あの男の私や愛し子への不敬の咎は、全て本人に償ってもらおう。それで問題ないな、パルファン?」
「はっ、全てはニュクス様のお心のままに!」
「では、次に私を謀った事への謝罪をお前と娘にもらわなければな?のう、聖女と嘯く小娘よ。」


ひたりと、ニュクスお母様の視線が1人の少女に止まる。


「いつから、そなたが聖女となった?」
「っっ、」


顔を青ざめさせた少女。
彼女は、この聖皇国パルドフェルド第1皇女リアナ。
周囲から聖女と呼ばれる少女である。


「答えよ。いつ、誰が、そなたを聖女と信託したのかを。」
「ひっ、ニュクス様、どうか、お許しくださいませ!」


リアナがひれ伏す。


「謝罪すると言う事は、自分が聖女ではないと認めるのだな?この私の信託を捻じ曲げ、自分が聖女と偽ったと。」
「っっ、そ、れは、」


怯えながら周囲へと目を走らせるリアナ。
まさか、ニュクスお母様からの追及から逃げられると思っているのだろうか?
親子ですね。
同じ事をしているんだもの。


「パルファン、お前なら知っていよう?誰が私が認めた真なる聖女なのかを。」
「あ、あぁ、」
「どうした?先程、自分にはなんの咎もないと言ったのだから、真実を言えよう?」


ニュクスお母様が冷たく笑う。


「聖女と嘯く・・?」
「一体、それはどう言う事なんだ?」
「リアナ皇女殿下は、ニュクス様がお認めになった聖女様ではないのか?」
「その事実を、皇王様もご存じだったと言うのか!?」


さざ波が周囲へ広がっていく。
怪訝、疑惑。


「ーーー・・貴方様は聖女様ではないのですか、リアナ皇女殿下?」


高位貴族と思われる1人の男の口から、聖女と言われたリアナ皇女へと疑問が零れ落ちる。
今、リアナ皇女への疑いの芽がゆっくりと花開いた。



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