リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第11章〜勇者編〜

帰る場所

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ここに来れて、良かっと思う。
たくさんの思いと愛情を知れたから。
ニュクスお母様に別れを告げ、私達は夢から覚める。


「ディア様!」
「あぁ、良かったです!」


目覚めた私達を全員が涙を浮かべて喜ぶ様は、側から見たら異様としか言えなかった。



「・・・愛されてるって事よね?」


うん、皆んなから愛されてるって事にしておこう。
そう自分を納得させる。


「ディア様、ニュクス神様とのお話は、いかがでしたか?」


不安そうな顔のアディライトに微笑む。


「アディライト、大丈夫よ、とても良い方だったもの。心配知る様な事は何もないわ。」
「それは良かったです。」


表情を緩ませて、ほっと安堵するアディライト。


「でね、ニュクスお母様から新しく称号をもらったの!」
「・・はい?」


アディライトが首を捻る。


「ニュクスお母様?新しい称号?」
「そうだよ?」


頷く私に、アディライトは絶句した。
あの場にいなかった全員が、同じ様に絶句しながら呆然と立ちすくむ。
硬い表情でアディライトが口を開く。


「・・ディア様は、まさかニュクス様をお母様とお呼びする栄誉を得たのですか?」
「あ、うん、そう。ニュクスお母様から、私の娘ってお墨付きも貰ったよ。」
「・・・・そして、新しい称号を得た、と?」
「ニュクスお母様達から『神の愛娘』、『全精霊王に寵愛される者』の2つをもらったよ?」
「っっ、」


ふるふると、アディライトは俯きながら身体を震わす。


「ア、アディライト・・・?」
「ーーーっっ、ディア様が、私達の至高の主人がニュクス様をお母様とお呼びする事を許され、『神の愛娘』、『全精霊王に寵愛される者』と言う2つの称号を得るなんて、なんて素晴らしいのでしょうか!!」


身体を震わせて俯くアディライトへ手を伸ばせば、顔を上げて歓喜に涙を滲ませ始める。


「あぁ、私達のディア様は、本当に女神の愛娘なのですわ!」


うっとりするアディライト。
あまりに熱い眼差しに、私の頬が引き攣った。
あ、あれ?


「アディライト、落ち着いてください。そう興奮しては、ディア様もお困りになりますよ?」


興奮するアディライトの事を、コクヨウが宥める。


「その後にディア様から詳しく詳細を教えてくださいます。ねぇ、ディア様?」


困惑する私の肩にコクヨウの手が置かれた。


「うん、もちろん。色々と驚きな事があったけど、増えた称号とか皆んなに隠す事じゃないから。」


もちろん、他人には隠すけどね。
『神の愛娘』や『全精霊王に寵愛される者』なんて称号を得たことが知られたら、どの様に利用されるかわかったもんじゃないもの。


「あっ、そう、ですわね、申すわけございません、ディア様。直ぐにお疲れなディア様にお茶をご用意いたします!」


慌てて動き出す、アディライト。


「・・いや、私、ただベッドで寝てただけなんだけど?」


疲れる要素がある?


「例えそうだとしても、ディア様のお心は消耗されているはずです。色々と知らされたもですから、今は休息して下さい。」


コクヨウに抱き上げられ、ソファーへ運ばれる私。
もちろん、私が座る定位置はコクヨウの膝の上に、である。


「むぅ、大丈夫なのに。」


尖る私の口。


「ふふ、可愛い妻を甘やかさせてください。」
「・・ちょっとだけ、だよ?」
「はい、私のディア。」


コクヨウが嬉しそうに微笑んだ。


「むむ、コクヨウだけとは、ずるいですよ、ディア?」
「ディア様を呼び捨てなんて羨ましい!」
「私達もディア様の事を呼び捨てにしたいです!」


口々にコクヨウに言い募る、ディオン、オリバー、アレンの3人。


「んー、交代制にする?私は、それでも良いし、私の名前も呼び捨てにして平気だよ?」


ぱっと輝く3人の顔。
上機嫌な4人に甘々に溺愛された私は、居心地の良い腕の中で久しぶりに心から笑えた。
夜の帳が落ちた頃、私は自分の従魔であるリリスを呼び出す。


「リリス、勇者の、相馬凪についての詳しい情報集めをお願い。」


あの男の名前を呼ぶのも不快だ。
だが、しかし、あの男の情報集めは重要なのだ。


「ーーっっ、!?」


大きく見開くリリスの瞳。


「頼めるかしら?」
「・・ディア様、よろしい、の、ですか?」
「うん、必要な事だから。」


こくりと頷く。


「あの男は、私の敵だよ。これ以上に、相馬凪の情報を集める理由がいる?」


敵、なのだ。
例え、この世界でまだ何もされていなくとも、あの男の存在自体が私にとっての害悪。


「なら、早急に排除するべきでしょう?」


私のものに手を出す前に。


「かしこまりました、ディア様のお望みのままに。」


恭しく、リリスが首を垂れた。


「でも、1つだけ約束して?必ず私の元へ帰って来ると。」
「はい、約束いたします、ディア様。」


リリスが私の手を握る。


「私が帰る場所は、ディア様の所だけです。」
「ん、」


必ず、私の元へ帰ってきて。
私のリリス。


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