312 / 424
第10章〜海竜編〜
閑話:サフィアの恋、そして増悪(前編)
しおりを挟む アカリエの工房に来た私を、アカリは歓迎してくれる。そもそも歓迎してくれないって事の方があり得ないけど。
「今日は、珍しく早いね。どうかしたの?」
「師範から合格を貰って、【双剣】のスキルが取れるようになったから来たって感じ。ここなら、落ち着いて考えられるかなって」
「なるほどね。私なら、ハクちゃんから話を聞いているから、安心して話せるもんね」
「そういうこと」
私はメニューを開いて、スキル一覧を見る。そこには、ウィンドウに書かれていた通り、【双剣】のスキルが増えていた。そして、もう一つ見た事のないスキルが増えている事に気が付いた。
「【血装術】?」
「何それ? それも師範のところで稽古したから?」
「ううん。字的に血関係だから、【吸血鬼】とか【操血】が関係していると思う」
私は、【双剣】と【血装術】の説明を見る。
────────────────────────
【双剣】:対となる短剣の扱いに補正が入る。レベルが上がると、技を習得出来る。
【血装術】:武器に血を纏わせる事が出来る。攻撃力、耐久力、効果時間は、【吸血鬼】【血装術】のレベルに依存する。収得の際、【操血】【硬質化】を統合する。【操血】【硬質化】の効果は、【血装術】に継承される。
────────────────────────
どうやら、【操血】と【硬質化】が一定レベルに達した事で、二つのスキルを統合強化させる事が出来るようになったみたい。
「血が武器に転用出来るみたいだね。それにしても、統合か……私は、まだ見たこと無いなぁ」
「【操血】と【硬質化】がなくならないのは、ホッとしたかな。二つとも、本当に便利なスキルだったし」
「確かにね。でも、【操血】はともかく、【硬質化】は、また取れるんじゃない?」
「ああ、アサルトバードから?」
「うん」
【操血】は、スキル収得で取ったけど、【硬質化】はアサルトバードから吸血して取ったものだ。だから、また【硬質化】を獲得出来る可能性があるのではと、アカリは考えたみたいだ。
「う~ん、多分ないと思う。統合って事は、【血装術】は、【操血】でもあり【硬質化】でもあるって事だろうから、【血装術】の経験値になると思う」
「そういう考え方も出来るね。取り敢えず、デメリットはないみたいだから、取ってみて良いんじゃないかな?」
「うん。そうだね」
アカリの後押しもあって、私は、【双剣】と【血装術】を収得する。
────────────────────────
ハク:【剣Lv36】【短剣Lv33】【双剣Lv1】【格闘Lv23】【拳Lv6】【蹴りLv7】【魔法才能Lv21】【支援魔法才能Lv21】【吸血鬼Lv28】【血装術Lv1】【夜霧Lv9】【執行者Lv31】【豪腕Lv10】
控え:【HP強化Lv30】【物理攻撃強化Lv28】【速度強化Lv31】【運強化Lv19】【脚力強化Lv40】【毒耐性Lv1】【麻痺耐性Lv3】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv1】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv1】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv1】【消化促進Lv13】【言語学Lv9】
SP:54
────────────────────────
統合したおかげで、スキルスロットに空きが出来た。これは、ちょっと助かったかもしれない。スキルに関して考える時間が、また出来たから。
「あっ……」
「どうしたの?」
自分のスキルを見ていたら、一つ気が付いた事があった。
「師範との稽古の時、夜だったから、【夜霧】使えば良かった……」
道場が明るいから、時刻夜である事を失念していた。というか、【夜霧】自体、あまり使わないから、つい存在を忘れてしまう。これがあれば、師範の攻撃を避けつつ、そのまま攻勢に出られたかもしれない。
「まだまだ、スキルの有効活用が出来てないなぁ」
「まぁ、難しいよね。戦闘中って、色々考えられないもん。終わってからの方が冷静に見られるしね」
「まぁ、次に繋げられるって思えば良いか」
「うん。前向きに行こう」
アカリと話しながら、お互いに笑い合う。アカリが辛い時には、私が励まして、私が落ち込んだら、アカリが励ましてくれる。長年幼馴染みをしているから、互いに互いを助け合うのが、普通になっている。
本当にアカリと幼馴染みで良かった。一人で考えていたら、もっと卑屈になっていたと思う。
そんな事を考えていると、アカリが手を鳴らす。
「取り敢えず、新しい武器を作ったら教えてね。腰装備を改良したりするから」
「うん。オッケー」
双剣を作ったら、それも腰にぶら下げる事になるだろうから、その分の改良かな。何にせよ、アカリが作るのだから、不安は一つもない。
「後は、双剣の極意が知りたかったら来いって言われたのと、普通に稽古もつけてくれるんだってさ。ある意味至れり尽くせりって感じ」
「そうなんだ。双剣の極意っていうのは、【双剣】を取ったら、受けられるのかな?」
「多分、一定レベルは必要だと思う。極意ってくらいだし、ものすごく上げないといけないかな」
「もしかして、最大レベルまで?」
「最大レベルって、どのくらい?」
スキルの最大レベルの情報は、私にはない。私よりも詳しいアカリなら、何か知っているかなと思って訊いてみたけど、アカリは首を横に振った。
「ごめんね。私にも分からないや」
「まぁ、そうだよね。始まって二ヶ月とかそこらだし。まだ最大レベルまで達した人はいないか。進化だって、ここ最近出て来たくらいだし」
「うん。条件が結構難しいからね。【裁縫師】とか三千個も防具とか作らないといけないし」
「うぇっ!? 三千か……まぁ、確かに、【吸血鬼】も千体のモンスターを吸血するって感じだったし、進化には、基本的に千単位が必要なのかもね」
他のスキルにも進化の可能性があるとするなら、特定の行動を千単位でする必要があるかもしれない。
「って事は、また千体を吸血しないといけないのかな。結構早く条件達成出来そう」
「でも、【吸血鬼】って進化したスキルでしょ? もっと特別な条件とかもあるかもよ。今度は万単位とか」
「……いや、もう吸血は慣れたから良いけどさ。特別な条件か……考えられるのは、やっぱり昼間での活動かな」
「一番辛い状況で、何かをするとかはあり得るかもね」
「昼間の活動も、ちゃんとやろっと。それじゃあ、ラングさんのところに行って来るね」
「うん。いってらっしゃい」
スキルの確認とかも終えたので、【双剣】のための武器をラングさんに作って貰うため、アカリエを出る。
また戦闘スタイルを変えないといけないというのは、ちょっと大変だけど、基本的なものは変わらない。中心にあるのは、【吸血鬼】だ。違うのは、短剣が一本か二本かだけ。
「新しい事が出来るようになるのは、楽しいな。早く作って貰おっと」
まず初めの目標は、師範とジャイアントトードに常勝する事。そして、熱帯の攻略だ。
「今日は、珍しく早いね。どうかしたの?」
「師範から合格を貰って、【双剣】のスキルが取れるようになったから来たって感じ。ここなら、落ち着いて考えられるかなって」
「なるほどね。私なら、ハクちゃんから話を聞いているから、安心して話せるもんね」
「そういうこと」
私はメニューを開いて、スキル一覧を見る。そこには、ウィンドウに書かれていた通り、【双剣】のスキルが増えていた。そして、もう一つ見た事のないスキルが増えている事に気が付いた。
「【血装術】?」
「何それ? それも師範のところで稽古したから?」
「ううん。字的に血関係だから、【吸血鬼】とか【操血】が関係していると思う」
私は、【双剣】と【血装術】の説明を見る。
────────────────────────
【双剣】:対となる短剣の扱いに補正が入る。レベルが上がると、技を習得出来る。
【血装術】:武器に血を纏わせる事が出来る。攻撃力、耐久力、効果時間は、【吸血鬼】【血装術】のレベルに依存する。収得の際、【操血】【硬質化】を統合する。【操血】【硬質化】の効果は、【血装術】に継承される。
────────────────────────
どうやら、【操血】と【硬質化】が一定レベルに達した事で、二つのスキルを統合強化させる事が出来るようになったみたい。
「血が武器に転用出来るみたいだね。それにしても、統合か……私は、まだ見たこと無いなぁ」
「【操血】と【硬質化】がなくならないのは、ホッとしたかな。二つとも、本当に便利なスキルだったし」
「確かにね。でも、【操血】はともかく、【硬質化】は、また取れるんじゃない?」
「ああ、アサルトバードから?」
「うん」
【操血】は、スキル収得で取ったけど、【硬質化】はアサルトバードから吸血して取ったものだ。だから、また【硬質化】を獲得出来る可能性があるのではと、アカリは考えたみたいだ。
「う~ん、多分ないと思う。統合って事は、【血装術】は、【操血】でもあり【硬質化】でもあるって事だろうから、【血装術】の経験値になると思う」
「そういう考え方も出来るね。取り敢えず、デメリットはないみたいだから、取ってみて良いんじゃないかな?」
「うん。そうだね」
アカリの後押しもあって、私は、【双剣】と【血装術】を収得する。
────────────────────────
ハク:【剣Lv36】【短剣Lv33】【双剣Lv1】【格闘Lv23】【拳Lv6】【蹴りLv7】【魔法才能Lv21】【支援魔法才能Lv21】【吸血鬼Lv28】【血装術Lv1】【夜霧Lv9】【執行者Lv31】【豪腕Lv10】
控え:【HP強化Lv30】【物理攻撃強化Lv28】【速度強化Lv31】【運強化Lv19】【脚力強化Lv40】【毒耐性Lv1】【麻痺耐性Lv3】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv1】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv1】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv1】【消化促進Lv13】【言語学Lv9】
SP:54
────────────────────────
統合したおかげで、スキルスロットに空きが出来た。これは、ちょっと助かったかもしれない。スキルに関して考える時間が、また出来たから。
「あっ……」
「どうしたの?」
自分のスキルを見ていたら、一つ気が付いた事があった。
「師範との稽古の時、夜だったから、【夜霧】使えば良かった……」
道場が明るいから、時刻夜である事を失念していた。というか、【夜霧】自体、あまり使わないから、つい存在を忘れてしまう。これがあれば、師範の攻撃を避けつつ、そのまま攻勢に出られたかもしれない。
「まだまだ、スキルの有効活用が出来てないなぁ」
「まぁ、難しいよね。戦闘中って、色々考えられないもん。終わってからの方が冷静に見られるしね」
「まぁ、次に繋げられるって思えば良いか」
「うん。前向きに行こう」
アカリと話しながら、お互いに笑い合う。アカリが辛い時には、私が励まして、私が落ち込んだら、アカリが励ましてくれる。長年幼馴染みをしているから、互いに互いを助け合うのが、普通になっている。
本当にアカリと幼馴染みで良かった。一人で考えていたら、もっと卑屈になっていたと思う。
そんな事を考えていると、アカリが手を鳴らす。
「取り敢えず、新しい武器を作ったら教えてね。腰装備を改良したりするから」
「うん。オッケー」
双剣を作ったら、それも腰にぶら下げる事になるだろうから、その分の改良かな。何にせよ、アカリが作るのだから、不安は一つもない。
「後は、双剣の極意が知りたかったら来いって言われたのと、普通に稽古もつけてくれるんだってさ。ある意味至れり尽くせりって感じ」
「そうなんだ。双剣の極意っていうのは、【双剣】を取ったら、受けられるのかな?」
「多分、一定レベルは必要だと思う。極意ってくらいだし、ものすごく上げないといけないかな」
「もしかして、最大レベルまで?」
「最大レベルって、どのくらい?」
スキルの最大レベルの情報は、私にはない。私よりも詳しいアカリなら、何か知っているかなと思って訊いてみたけど、アカリは首を横に振った。
「ごめんね。私にも分からないや」
「まぁ、そうだよね。始まって二ヶ月とかそこらだし。まだ最大レベルまで達した人はいないか。進化だって、ここ最近出て来たくらいだし」
「うん。条件が結構難しいからね。【裁縫師】とか三千個も防具とか作らないといけないし」
「うぇっ!? 三千か……まぁ、確かに、【吸血鬼】も千体のモンスターを吸血するって感じだったし、進化には、基本的に千単位が必要なのかもね」
他のスキルにも進化の可能性があるとするなら、特定の行動を千単位でする必要があるかもしれない。
「って事は、また千体を吸血しないといけないのかな。結構早く条件達成出来そう」
「でも、【吸血鬼】って進化したスキルでしょ? もっと特別な条件とかもあるかもよ。今度は万単位とか」
「……いや、もう吸血は慣れたから良いけどさ。特別な条件か……考えられるのは、やっぱり昼間での活動かな」
「一番辛い状況で、何かをするとかはあり得るかもね」
「昼間の活動も、ちゃんとやろっと。それじゃあ、ラングさんのところに行って来るね」
「うん。いってらっしゃい」
スキルの確認とかも終えたので、【双剣】のための武器をラングさんに作って貰うため、アカリエを出る。
また戦闘スタイルを変えないといけないというのは、ちょっと大変だけど、基本的なものは変わらない。中心にあるのは、【吸血鬼】だ。違うのは、短剣が一本か二本かだけ。
「新しい事が出来るようになるのは、楽しいな。早く作って貰おっと」
まず初めの目標は、師範とジャイアントトードに常勝する事。そして、熱帯の攻略だ。
2
お気に入りに追加
2,258
あなたにおすすめの小説
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?


クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

女性の少ない異世界に生まれ変わったら
Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。
目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!?
なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!!
ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!!
そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!?
これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる