リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

文字の大きさ
上 下
311 / 424
第10章〜海竜編〜

アディライトからのお叱り

しおりを挟む




大事な可愛いいアディライトに対して暴言を吐くと言う事は、この私に喧嘩を売ったも同前。
喜んで、その喧嘩を買いましょう。


「で?生まれて来なければ良かったの続きは?」
「あっ、」


私からの殺気に、身体を震わせるサフィア。
その顔は青白い。


「ふふ、どうしたの?あんなに良く喋る口だったのに。」
「っっ、」
「ーーーねぇ、聞いているんだけど?」


身体を震わせるサフィアの前まで歩き、殺気を強める。


「ひっ、」


あまりの私の殺気に、腰を抜かすサフィア。
地面に座り込んでしまう。


「サフィア!?」


突如として座り込むサフィアに、驚くトム。
直に私から殺気を向けられているサフィアとは違い、トムには何もしていないので、困惑するのは当たり前の事。
トムの顔に困惑が広がるばかり。


「無様ね。」


そんなサフィアを冷ややかに見下ろす。


「お前如きが、私の可愛いアディライトの名前を呼ぶ事さえ烏滸がましい。」


アディライトが汚れる。
見る事さえしないでくれるかしら?


「分かったの?」
「ひっぅ、」


涙を目に滲ませたサフィアが、粗相をする。
漂うアンモニア臭。
あらら。


「なっ、どうしたんだよ、サフィア!?っっ、お前、」


気付いたトムも顔色を失う。
その目に宿るのは、婚約者への失望?


「どうやら、サフィアさんは具合が悪いみたいですね?」


私は殺気を霧散させる。
サフィアの粗相も見られたし、ね?
溜飲は下がった。


「トムさん、早くサフィアさんの事を家で休ませてあげたらいかがですか?」
「・・は、い、」


呆然自失状態のサフィアを嫌そうな顔で抱き上げ、トムは足早に街中の方へと去って行く。
婚約者に、ひどい対応ですね?
笑いを噛み締める。


「ふふ、サフィア、これで簡単に終わりなんかしないのに。」


せいぜい、今の平穏を存分に満喫してね?
束の間の安息なんだから。


「ーーーディア様?」


去って行くサフィア達の背中を笑いながら見送っていた私を、アディライトの声が呼んだ。


「うふふ、説明いただけますよね?」
「へ?」


私が振り向いた先。


「サフィアとトムの婚約の事、なぜ、ディア様がご存知だったのでしょうか?」


にこやかに。
しかし、全く目が笑っていないアディライトがいた。


「ひっ、」


・・あっ、これ、すごく怒ってる。
聖母のように微笑みを浮かべるアディライトの背後に、般若の顔が見えた気がした。


「ディア様、どう言う事なんですか?」
「ご、ごめんなさい!」


半泣きになる私。
あまりのアディライトの怖さに泣きそうである。


「まず、説明を。」
「はい!リリスから、サフィアとトムの2人の情報を得ました!」


あっさりとバラす。
これ以上、アディライトの怒りが燃え盛ったら危険なので。
主に、私の精神が!


「あら、うふふ、サフィアに対して、ディア様は何もしないとおっしゃったはずですが?」


ーーー私の聞き間違いでしょうか?
そんな声が聞こえた。


「・・いや、あの、自衛は必要かな?って、」
「ディア様?」
「はい、正直に言います!サフィアに何かしらの仕返しができたら良いなって思ってました!」
「コクヨウと、その顔は、どうやらディオンの2人もディア様の共犯ですね?」


呆れたようにアディライトが溜め息を吐く。


「お2人がおりながら、どうして、ディア様の事をお止めしないのです?」
「僕達がお止めしたら、ディア様は1人でしますよ?」
「アディライト、まさか、その方が良かったですか?」
「いえ、とても英断です。」
「ちょっと!?」


2人に対して私よりお咎めが少ない事に抗議の声を上げる。


「しかも、最後のひどくない?私を何をするか分からない危険人物だとでも思ってるの!?」
「「「そうでしょう?」」」


むくれる私にアディライト、コクヨウ、ディオンの3人の声が揃った。
何で!?


「さて、ディア様とじっくりお話ししないといけませんね?」


最後にアディライトが微笑んだ。
そのまま街の散策が中止になったのは言うまでもない。
街の散策を中止し、宿へと戻って来た私達。
アディライトが満面の笑みを浮かべる。


「で、お聞かせくださいますよね、ディア様?サフィアに何もしないと言う私へのお言葉を、嘘になさったんのですから。」


宿に戻った私は、逃げることも出来ずにアディライトに詰問されてしまう。


「あの様にサフィアの事を怒らせて、ディア様は何を考えているのでしょう?」
「え?サフィアで楽しく遊ぶ事だよ?」


当然でしょう?
即答すれば、アディライトの目が細まる。


「ダメです、ディア様。あの様な害虫に近寄ってはなりません。」
「うん、無理。」


まさかの、元親友のサフィアの事を害虫扱い。
私への暴言に、アディライトのサフィアへの怒りは収まらない様子。
しかし、無理なのだ。


「だって、私の迷惑になるならアディライトは目の前から消えるでしょう?」
「っっ、」


あぁ、ほら、否定しない。
だから嫌だった。


「アディライト?貴方の全ては、私のモノなんだよ?」


なのに、私から離れるの?
私を捨てて?


「私の迷惑になる?だから、離れるのが正解?」


私の元から消えるなど許さない。


「ふふ、ほら、そんな事になるなら、そうなる原因を取り除かないとね?」


アディライトを私から奪う原因は、ちゃんと取り除かなきゃいけないでしょう?
私だけのアディライト。


「貴方を私から奪う、どうでも良い存在は必要ないでしょう?」


なら、消さなきゃ。
私からアディライトを奪う存在や噂を。


「貴方が思うのは、私だけで良いの。そうでしょう、アディライト?」


他は捨てて?
アディライトの心が私だけになる様に、いらないものは全部消してあげるから。


「大好きよ、私のアディライト。」


だから、離れないで?
何があっても。


「っっ、ディア様、私も大好きです。」


瞳を潤ませるアディライトの身体に抱き付き、自分の腕の中に閉じ込める。
私の大事なアディライトの事を。


「アディライトを煩わせるものは、要らない。だってアディライトが考えて思うのは私だけで良いんだもの。」


仄暗く笑った。


「・・あら、雨?」


計画は進む。
楽しい私の望む通りの展開へ。
その日から、ルドボレーク国に嵐が訪れ、雨が止む事は無かった。


しおりを挟む
感想 148

あなたにおすすめの小説

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました

市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。 私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?! しかも婚約者達との関係も最悪で…… まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

女性の少ない異世界に生まれ変わったら

Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。 目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!? なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!! ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!! そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!? これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

波間柏
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

とある元令嬢の選択

こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。

孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi
ファンタジー
ルル8歳 赤子の時にはもう孤児院にいた。 孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。 それに貴方…国王陛下ですよね? *コメディ寄りです。 不定期更新です!

王女の夢見た世界への旅路

ライ
ファンタジー
侍女を助けるために幼い王女は、己が全てをかけて回復魔術を使用した。 無茶な魔術の使用による代償で魔力の成長が阻害されるが、代わりに前世の記憶を思い出す。 王族でありながら貴族の中でも少ない魔力しか持てず、王族の中で孤立した王女は、理想と夢をかなえるために行動を起こしていく。 これは、彼女が夢と理想を求めて自由に生きる旅路の物語。 ※小説家になろう様にも投稿しています。

処理中です...