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第9章〜大会編〜
エイル
しおりを挟む頭の中に響く声に耳を傾ける。
その間も、魔法陣へ自分の魔力を注ぐ事は止めない。
「私は、ディア、貴方を欲するもの。」
手を伸ばす。
「大事なものを守る為に、貴方の力を貸して。」
その為に、貴方を望む。
『ご主人様の強き願い、確かに受け取りました。』
足元の魔法陣が一層、光り輝く。
「ーーーっっ、」
自分の魔力がごっそりと抜ける感触と倦怠感に呻き声を上げて、ふらりと横に身体が傾ぐ。
「・・ディア様、大丈夫ですか?」
「コ、クヨウ、」
うっすらと目を開ければ、心配げなコクヨウの顔が。
力なく微笑む。
「ん、何とか大丈夫、よ。」
まだ倦怠感は身体にあるが、大量に失った魔力が回復したら、マシになるだろう。
形容範囲。
「・・それにても、ディア様はまたすごい従魔を得ましたね。」
ディオンが感嘆の吐息を吐く。
「ふふ、でしょう?」
私は彼女の方へと視線を向けた。
「これから末長くよろしくね、ヴァルキリー。」
「はい、ご主人様。」
背中に翼を生やした彼女、ヴァルキリーが優しく目尻を下げる。
北欧神話の戦乙女。
これからの迷宮攻略の戦いにおいて、これほど相応しい子はいないでしょう?
「ヴァルキリー、私の事はディアと呼んで?」
「かしこまりました、ディア様。」
ヴァルキリーが頷く。
「貴方に、私が名前を付けて良いかしら?」
「もちろんです。」
私の方へと身を乗り出してくるヴァルキリー。
「どうか、お願いします。」
「うん、任せて!」
前から名前の候補は考えていたんだよね。
「ヴァルキリー、貴方の名前は、今日からエイルよ。」
古ノルド語で「援助」や「慈悲」 という意味。
彼女に相応しい名前だと思う。
「エイル、それが私の名前、なのですね。」
胸に手を当て、頬を緩ませたヴァルキリー、エイルが自分の名前を噛み締める。
「気に入ってくれた?」
「はい、ディア様、ありがとうございます。」
満面の笑みを浮かべるエイル。
「我が名はエイル。貴方様の盾であり、刃でございます。」
恭しく首を垂れた。
今日から新しい従魔、ヴァルキリーのエイルが私達の家族に加わりました。
久しぶりに自分のステータスを呼び出す。
名前:ディアレンシア・ソウル
LV111
性別:女
年齢:16
種族:人族
称号:世界を渡りし者、神に見守られし者
HP:46940/46940
MP:40210/40210
スキル
言語理解、空間収納、鑑定、経験値倍増、マップ、気配察知、危険察知、隠蔽、状態異常耐性、体力回復上昇、魔力回復上昇、攻撃力上昇、防御力上昇、身体強化、精神耐性、全属性魔法、詠唱破棄、武器作成、思考加速、剣術、体術、転移、従魔召喚、スキル付与、スキル改変、リバイブ、経験値共有、魔道具製作
ユニークスキル
創造魔法
従魔:リリス
従魔:アスラ
従魔:ユエ
従魔:エトワール
従魔:ヴァレンティーナ
従魔:エイル
ステータスにも、エイルの名前が加わり、私の従魔も6となった。
攻撃、防御と完璧の布陣。
ここにコクヨウにディオン、アディライトにフィリアとフィリオが加われば、新しく魔王が復活しようとも負ける事はないだろう。
他の子達もレベル上げを優先させているので、安心。
「うん、完璧。じゃあ、エイル。」
「はい、何でしょう?」
「今日はエイルの歓迎会も兼ねて私の家族を紹介するね。」
今は、エイルも私の大事な家族。
皆んなにお披露目です。
「私の新しい従魔、エイルだよ。皆んな、仲良くしてね?」
その夜は、新しく家族となった従魔のヴァルキリーであるエイル歓迎会を催して、ティターニア国の湖畔の庭に皆んなを集めて、お披露目をする。
翼を生やしたエイルは皆んなに大絶賛。
「「「さすが、女神であるディア様の従魔!!」」」
との事。
本当にブレない子達である。
今日は無礼講で、テーブルの上に大量に用意された料理を各自好きなように取れるようにしてあるので、皆、自由に過ごしている。
たまにはこうして、綺麗な夜空の下で、家族の皆んなでわいわいしながら食事も楽しくて良いものだ。
「あっ、ロッテマリーと、ルルーシェル、ちょっと良い?。」
他のみんな同様、楽しんでいる2人の事を手招く。
「はい、ディア様。」
「私達に何か御用でしょうか?」
嬉しそうな表情を隠す事なく私の元へ走り寄る、ロッテマリーとルルーシェルの2人。
変わりない2人の私への崇拝に苦笑いを浮かべる。
忠犬ハチ公みたいだ。
「少しの間、2人には私達と一緒にモルベルト国の迷宮に入ってもらうよ。」
前から気になっていた事。
屋敷にいる全ての子達の教育を任せきりで、2人のレベルがあまり上がっていない事に。
最近は新人の教育と戦闘の指導ばかりで、2人は迷宮でも見守る方が多くて、実際にモンスター達と戦う事が少ないないもんね。
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