リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第9章〜大会編〜

2人の名前

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好意で与えた加護。
それが、不運な事に迫害へと繋がってしまった。
2人の精霊王は首を傾げる。


「今世の貴方の方が、私の加護への親和性が強いのかしら?」
「昔の貴方は、闇魔法が使えるだけだったのよ?」


黒い瞳を持って生まれて来てしまったコクヨウに、不思議そうな2人。


「本当なら、あの子の生が終わった時、私が与えたその加護は失われるはずったの。」
「想定外の事に、同じ魂の質のまま生まれ変わるなんて、私も驚いたわ。」
「その所為で、私の加護も消えぬまま、今世に生まれてきたコクヨウには辛い思いをさせてしまったのだけど。」
「まさか、今世の貴方に加護が身体に現れれしまうなんて思わなかった。」
「闇の精霊王様、僕は気にしていませんよ。」


落ち込む闇の精霊王の2人にコクヨウが笑みを浮かべた。


「っっ、でも!!」
「コクヨウ、貴方は私達に怒っても良いのよ?」
「いえ、この加護のおかげで僕はディア様の会えましたので、むしろ頂いた加護に感謝しております。」


コクヨウが頭を下げる。


「闇の精霊王様、前世の僕に加護をくださり、ありがとうございます。」
「・・もう、そんな良い子な所も、昔とちっとも変わらないわね。」
「ふふ、闇の良かったね?」


2人は泣きながら、安堵した様にコクヨウに笑った。


「コクヨウ、なんて良い子なの!!」


1人、感動に打ち震える私。
あまりの素晴らしさに、コクヨウの事を世界中の皆んなへ自慢したくなってしまう。
だから気がつかなかった。


「あらあら、コクヨウったら、ずるい事を。」
「本心をああも覆い隠して、ディア様に良い所だけを見せるなんて強かですね。」
「「腹黒~??」」


ひっそりと交わされる4人の密談を。
感動する私は気付かず。


(えっ、今のって本心じゃなかったの!?)
(あの純粋だった昔のあの子は、どこ行った!!?)


闇と光の精霊王達だけに聞こえていた。
内心で冷や汗を流す2人。


「ふふ、今日はお2人にお会いできて本当に良かったです。」


腹黒コクヨウ、精霊王と呼ばれる彼女達を敬愛する妻の為に利用する事さえ厭わない男である。
末恐ろしい。


「ーーーっっ、そ、そう、それは良かったわ。」
「そうね、長居は迷惑だろうし、早めにここへ来たもう一つの理由も片付けましょう!!」


不自然に2人はコクヨウから視線を逸らす。
変な2人である。


「ねえ、加護を与える前にディアちゃんに一つお願いがあるの!」
「水の達の様に、私達にも名前をちょうだい?」


私の方へと身を乗り出す2人。


「・・名前、ですか?」


目を瞬かせる。


「だって、ディアちゃんが水の達に名前をあげたのでしょう?」
「そんなのずるいわ!!」
「ディアちゃんから私達も名前が欲しいの!」
「私達だけ仲間外れなんて嫌よ!」


唇を尖らせる2人。


「分かりました、私で良かったら。」
「ありがとう!」
「嬉しいわ!」


期待に2人の瞳が輝く。


「うーん、闇の精霊王様、は、」


闇の神。


「あっ、闇の神へカティアか取って、カティアはどうでしょう?」
「カティア?ふふ、とても良い名前だわ。」


気に入ってくれた様子。


「では、次は光の精霊王様ですね。」


光の神。


「・・光は、輝き、アグライアから取り、ライアではいかがです」
「えぇ、私も気に入ったわ。」


こちらも、名前を気に入ってくれた様子。
名前を貰ってご機嫌となった2人は私に加護を与えたて、笑顔で帰路につくのであった。


「んー、盾、が、欲しいわね。」


他の4人の精霊王からと、今回の闇と光の2人からの加護も得た私。
ますますこれで、冒険者として行動する私達の力は増す事だろう。
しかし、いざという時は、結界のアンクレットがあるので、最悪の事態は防げるだろう。
が、油断はできない。


「私達のメンバーの中に、盾役がいないのよね。」


いるとした、エトワール。
守護の要である。


「と言っても、エトワールは結界の魔法に特化した子だからなぁ。」


悩ましい所だ。
今の所は問題ないが、ここら辺でまた新たに戦力の強化を考えるのも良いのかもしれない。


「では、ディア様は新たに従魔を得られるのですか?」


側に控えるコクヨウが首を傾げる。


「そう、ね、できれば。」


出来る事なら、これからも従魔はたくさん増やしたいと思っている。
後で後悔するより、今できる事をしよう。


「よし、そうと決まったら、さっそく新しい従魔を迎え入れましょうか。」


優先順位は、盾役。
前からぴったりの子を考えていたんだよね。
安全な屋敷の中で、目を瞑る。


「ーーー私の元へ。」


私の足元に浮かぶ、魔法陣。
光を増す。


『・・・私の事を呼ぶのは、誰ですか?』


頭の中に声が響いた。


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