リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第9章〜大会編〜

精霊王の謝罪

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この国の食文化は、まだまだ進んでいない。
日本にいた私としては、蒸す、揚げると言った料理方法もないことに驚きなのだ。


「なんなら、いつでも食べに来てください。お2人が食べた事のない料理やデザートを用意しますから。」


てな事で、お誘いしてみる。
精霊王達にも、知らない料理を味わっていただきたいと思う。
色々と良くしてもらっているしね。


「え?まだまだ私達が知らない色々な物が食べられるの?」
「このまま、ここへ住み着こうかしら?」
「そうね、こんなにも美味しい物が食べられるなら、それも良いかもしれないわ。」
「ふふ、毎日、こんなに美味しい物が食べられるなんて幸せよ。」


私のお誘いに乗り気な2人。
どうやら、光と闇の精霊王が、この屋敷に住み着きそうです。
それを聞いたら、他の精霊王達も住み着きそう。
華やかになるから嬉しいけどね。


「ーーーで、私達がここへ来た理由だけど。」


パウンドケーキも全部食べ終わり、口直しにお茶を飲んだ闇の精霊王が口を開く。
ついに本題のようだ。


「はい、お2人はどの様なご用でいらしたのでしょうか?」
「んー、そんな大層な事ではないのよ?」
「闇と私の加護をディアちゃんにあげようと思っただけなの。」


おっとりと、光の精霊王が付け足す。


「お2人からの加護を、私にいただけるのですか?」
「えぇ、私達の母神様であるニュクス様も、それをお望みだし、加護を授ける事に何の異論もないもの。」
「闇も、私も、ディアちゃんに喜んで加護を授けるわ。」
「ありがとうございます。」


心強い。
加護を下さと言う2人に感謝である。


「ーーーそれと、」
「私達がここへ来た理由がもう一つあるの。」
「もう一つ・・?」


目を瞬かせる。


「貴方の存在を見つけて、驚いたわ。」
「今日は私達、貴方にも会いに来たの、コクヨウ。」


2人の視線が、コクヨウへ向いた。
突然2人から視線を向けられたコクヨウが身動ぐ。


「・・・あの、僕に、ですか?」
「えぇ、そうよ。」
「ディアちゃんへ加護を授けるのとは別に、私達は貴方に会いに来たの。」


こくりと頷く2人。


「ーーー・・それは、コクヨウが持つ『闇に愛されし者』の称号が理由なのでしょうか?」


私は口を挟む。


「・・ん、その通りよ、ディアちゃん。」
「今日はその事で闇のが、コクヨウ、貴方に謝りに来たの。」


たちまち、しょんぼりと元気を無くす2人の精霊王。


「精霊王様・・?」


元気のなくなった2人に、困惑するコクヨウ。
困った様に眉を下げる。


「私の加護の所為で、貴方には辛い思いをさせたわ。」
「その事に最初、天界にいた私達は気付かなかったの。」


2人は肩を落とす。
すごい落ち込み様である。


「今まで天界にお2人はいたのですか?」
「えぇ、ニュクス様の所に、ね?」
「精霊王の中で、私達2人がニュクス様に呼ばれていたの。」


首を傾げた私に、2人は頷く。


「天界で、ニュクス様にディアちゃんの事を頼まれたわ。」
「まぁ、私もディアちゃんの事が気に入ったから加護を与えようと思ったのだけどね?」
「ニュクス様が・・?」


驚く。
この世界の女神として信仰される尊い存在の女神ご本人が、私の事を気にしてくださっていたなんて。


「ディアちゃんの事を天界から見ていて、コクヨウ、私達はその時に貴方の存在を知ったの。」
「気付くのが遅くなって、ごめんなさいね?」


2人がコクヨウに頭を下げた。


「何百年も昔は、まだ私達精霊を見る事の出来る子は多かったのよ?」


コクヨウに頭を下げた2人の精霊王が話し出す。
遠い昔の思い出を。
闇の精霊は嬉しそうに昔の事を懐かしむ。


「でも、最近では私達や下位の精霊の姿さえ人間達には見えなくなっていたの。寂しい事に、ね?」
「一部の種族を除いて、精霊の姿さえ見えなくなっていた。それは、仕方ない事。」
「そんな時、ある1人の男の子に闇のが出会ったの。」
「それがコクヨウ、遠い昔の貴方よ。」


寂しげな表情で2人は微笑む。


「遠い昔の、僕?」
「そう、前世の貴方と言った方がいいかしら?」
「私が見える人間の男の子に最初は驚いたけど、段々と私達は仲良くなったの。」
「それこそ、闇のが加護を与えるぐらいには、ね?」


ほう、なるほど。


「つまり、その時に与えた闇の精霊王様の加護が、生まれ変わったコクヨウにも適用されてしまった、と?」
「そう言う事ね。」


こくりと闇の精霊王が私の言葉に頷く。
闇の精霊王の加護。
それがコクヨウの瞳が黒くなってしまった理由。


「まさか、私の色が魔族の同じだからって蔑まれるなんて、思わないじゃない?」


闇の精霊王の瞳に怒りが宿った。


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