リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第9章〜大会編〜

休息の要求

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良い笑顔のアディライトに唖然とする。
戦力に、回復、そして鍛治。


「・・・わぁ、」


頬を引攣らせ、言葉を無くす。
これ、一国さえも簡単に落とせそうな感じよね?
あとは食料さえ自分達で用意ができれば、国に頼らず、辺鄙な山や森の中で暮らせていけそうだし。


「ですから、少しはディア様も、ゆっくりとお休み下さい。」
「でも、」


他の皆んなも頑張っているんでしょ?
なら、私だけ休めないよ。


「ディア様?」
「ヒッ、」


断ろうとして、アディライトの顔を見た私は悲鳴を上げる。
強張る、私の顔。


「ゆっくり、休まれますよね?」
「・・あぁ、うん、そうするよ、アディライト。」


目を逸らす。
アディライトの背後に夜叉が見えた気がした。
・・こ、怖い。
今のアディライトに逆らってはいけない。


「まぁ、ディア様にご納得いただけてよかったです。」
「・・うん、そうだね。」


アディライトに無理やり言わされたような・・?
笑顔のアディライトに口を噤む。


「ふふ、コクヨウとディオンのお2人がディア様のお側におりますので、ご安心下さいね?」
「ーー・・はい。」


しっかり、私の見張りも確保済みなのね。
がっくり肩を落とす。


「さぁ、ディア様、寝室へ行きましょう。」
「・・うん。」


もう、アディライトの好きにして。
アディライトによって、私は強制的に寝室に押し込められるのだった。


「ディア様、ほどほどになさって下さいね?」
「無理は禁物です。」


コクヨウ、ディオンの2人にも諭される私。


「はい、反省します。」


項垂れる。
なんの反論もしない。


「明日も1日、ディア様はお休みですからね?」
「明日も!?」


コクヨウの宣言に目を剥く。


「それは、もちろんそうですよ、ディア様。」
「今の貴方には、休息が必要です。」
「ぐぬぬ。」


2人に何も言い返せない。


「明日は、オリバーも来ますので4人でまったりしましょうね?」
「楽しみですね、ディア様?」
「うぅ、それは、楽しみ、だけど、」


それで良いのかしら?
釈然としない。


「・・僕達とゆっくりするのは、嫌ですか?」
「・・私達は、ディア様に嫌われてしまったのですね。」


寂しげな声を出す2人。
目も伏せられる。


「へ?ち、違うよ!?」


誤解だから!
慌てて、2人に否定する。


「では、僕達と一緒に休んでいただけますか?」
「良いですよね、ディア様?」
「もちろん!」


2人にこくこくと頷く。
そんな顔を2人にさせるなんて、私のバカ!


「ふふ、良かった。」
「嬉しいです、ディア様。」


たちまち笑顔が広がる、2人の顔。
あれ・・?


「もしかして、嵌められた・・?」


の、私?
あの寂しげな顔は、一体、2人ともどうした!?


「・・はて、何の事でしょう?」
「・・ディア様の気のせいでは?」


私から目を逸らし、明後日の方を向く2人。


「・・怪しい。」


じっとりと、疑いの目を2人に向ける。


「ごほん、ディア様、明日は何をして過ごしましょうか?」
「1日、ディア様のお好きな読書で良いのでは?」
「良いですね、そうしましょう。」


てきぱきと、明日の過ごし方が2人によって決まる。


「ディア様、それで良いですか?」
「嫌なら、コクヨウと他の事を考えますよ?」
「ん、読書で良いよ。」


笑顔の2人に、これ以上の追求は止める。
心から2人が私を思っての事だと分かっているから怒れない。


「2人とも、一緒に明日はゆっくりしようね?」
「「はい!」」


嬉しげな2人の顔に、抵抗する事を止めた。
急遽、1日暇になった私。
強制的に何もやる事がなくなったで、ティターニア国の湖畔の屋敷の中で一日読書に勤しむ。
アレンに会えた事は嬉しかったけどね。
そのアレンも、今は迷宮へレベル上げに行っていて、いないのだけど。


「ーーー・・ん?」


読んでいた本から私は顔を上げる。


「これ、は、」
「精霊・・?」


私と同じようにコクヨウとディオンも虚空を見つめ、唐突に現れた精霊の存在に声を上げる。


「ふむ、この魔力はサーラ達のものじゃないね。」


現れたのは、私達の親しみのない神気。
と、言うことはーーー


「では、これは闇と光の精霊の魔力かも知れません、ディア様。」
「そうね、ディオン。私もその2人の魔力だと思うわ。」
「えぇ、そして、」
「このとてつもない魔力は、サーラ達と同等な存在。つまり、闇と光の精霊王の魔力ね。」


半端ない神気だもの。
高位精霊である事は間違いないので、サーラ達を除いて、精霊王で会っていないのは闇と光だけ。


「一体、闇と光の精霊王が私達に何の用かしら?」


この里は、精霊が多い。
だから、闇と光の精霊が、しかも王が姿を現わしても可笑しくはないのだが、この屋敷へと向かって来ているのが問題だ。


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