リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第9章〜大会編〜

聖皇国パルドフェルドの動き

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気だるい身体を、ふかふかなベットに沈める。
私の隣には、眠るアレン。
その頬を撫でる。


「ーーーう、ん、ディア、様・・?」

 
うっすらと開く、アレンの瞳。
その瞳が私を見つめる。


「・・どう、されました?」
「ふふ、起こしちゃった?アレン、ごめんね?」
「いいえ、大丈夫です。」


甘く微笑むアレン。
アレンの頬を撫でていた手に口付けられる。


「・・・ねぇ、アレン?」
「はい、何でしょう、ディア様。」
「国の、両親、家族の事について、どうして何も聞かないの?」


私に何も聞かないアレン。
自分の死の偽装の後、どうなったのかさえ。


「気になるなら、教えるよ?」


両親さえ切り捨てさせたとは言え、アレンの偽装葬儀の後の様子ぐらい聞いても怒らないのに。


「いえ、必要ありません。」
「っっ、でも!」


知りたいと思うのが普通でしょう?
家族の事なんだし。


「ディア様?今の僕にとって、ディア様、貴方が全てだ。」
「・・・。」
「家族、を、気にならないと言ったら嘘になります。ですが、あの王宮へ戻りたいとは思っていません。」
「・・そう。」


アレンの胸元に擦り寄る。


「ご家族は、ご健康よ。アレンの死を悲しんではいるけど。」


アレンの胸元で呟く。
本当の家族にさえ死んだ事にしたアレン。
アレンの家族は、本当は生きているとう言う事を誰一人として知らない。
真実は闇の中。
ーーー私達だけが知る真実。


「・・あの王は、気が付いているかも、だけどね。」


小さく呟く。


「ディア様・・?」


これから先、アレンは家族に会えない。
その心臓に、家族に会わず、一切の接触を断つと言う誓約の楔が私の手によって打ち込まれているから。
これは、アレン自ら望んだ事。


『これは、ディア様への誓い。そして、愛の証。』


そう言って。


「愛してるわ、私のアレン。」
「僕も貴方の事を愛しています、ディア様。」



嬉しそうに、アレンが微笑んだ。


「ずっと、これからもディア様のお側にいさせてください。」
「ん、」


アレンの温もりの中、目を閉じる。
きっと、もう。
ーーーー私は大事な存在である、アレンの事を手放せない。
心地良い微睡みに身を任せた。


「ディア様。」


しばらく、アレンの腕の中でうとうとしていた私。
リリスの声で起こされる。


「んん、リリス?」
「起こしてしまい、申し訳ありません。」
「良いけど、どうしたの?」


目を擦り身を起こす。


「聖皇国パルドフェルドに動きがありました。」
「聖皇国パルドフェルドに?」
「はい、勇者召喚を行うようです。」
「勇者召喚?」


思わず眉根を寄せる。


「何の為に?」
「魔王が復活すると、神からのお告げがあったようです。その為、魔王を倒せる存在、勇者を異世界から召喚すると聖皇国パルドフェルドが全ての国に通達しました。」
「へぇ、」


神様からのお告げ、ねぇ。


「ディア様、魔王復活はどの国でも一大事です。聖皇国パルドフェルドが古の勇者召喚魔法を使うのも、致し方ない事かと。」


アレンがリリスの報告に補足する。


「アレン、勇者召喚って、古の魔法なの?」
「はい、そうです。確か、前回に召喚魔法が使われたのは、100年ほど前の事です。」
「あぁ、本で読んだわ。」


前回の召喚された勇者は、男性だったはず。


「アレン、その勇者召喚って、そんなに頻繁に行われるの?」
「いえ、国の危機の時だけです。国の危機を憂える神がお力を貸してくれ、勇者召喚は成功すると勉強を教えてくれた方から聞きました。」
「なら、今回も勇者召喚は成功する、と。」
「はい、神からのお告げがあったらな、確実でしょう。」


難しい表情でアレンが頷く。


「・・魔王の復活と勇者召喚、ねぇ。」


きな臭くなってきた。
新しい魔王が、この世界に生まれるのか。
それとも、100年前に勇者に倒されたとされる魔王が生きていたのか分からない。
が、魔王の復活が私の平穏な生活を脅かす事は必定。


「これまでの魔族との戦闘も、魔王復活の前触れなのかしら?」


だとしたら、とても面倒な事だ。


「しばらくは静観ね。勇者が優秀なら、私が何かする必要がないもの。」


私の子達に被害が出たら話は別だが。


「勇者召喚を見守りつつ、情報集めかしら?」


召喚された勇者が、あっさりと魔王を倒してくれるなら、それが良い。
魔王の討伐なんて面倒ごとは、勇者様に任せましょう。
それが、勇者のお仕事なのだから。


「リリス、聖皇国パルドフェルドの動きを重点的に監視してちょうだい。それと、召喚される者の事も詳しく知りたいわ。」
「かしこまりました。ディア様。詳しく情報を集めてまいります。」


リリスの身体が私の影に溶けていった。


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