リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第9章〜大会編〜

アレンに会いに

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普通の人間なら、こうして己の義務を放棄するアレン王子の事を軽蔑するのだろう。
だが、私の胸にこみ上げるのは、愛おしさだった。


「私の為に全てを投げ出す貴方の思い、受け取らない訳がないでしょう?」


何よりも私が求め、欲する気持ち。
私へも深い愛。


「っっ、あぁ、ソウル嬢、まるで夢のようです。」
「夢ではないわ、私のアレン。」


歓喜するアレンに笑う。


「アレン、早く私だけのものになりなさい。」
「はい、ソウル嬢。」
「ディアで良いわ。」
「っっ、はい、ディア様。」


恍惚の表情で、アレンは私の手に擦り寄った。


「アレン?」
「はい、ディア様。」
「ーーー・・私の為に、死んで?」
「喜んで!」


笑顔でアレンが微笑んだ。
一か月後、ある訃報が国から発表される。
ーーーールーベルン国、第3王子アレンが亡くなったと。


「ディア様、お茶です。」
「アディライト、ありがとう。」


アディライトからお茶の入ったカップを受け取る。
そして、茶菓子に今日はクッキー。
国から第3王子アレンの訃報が正式に発表された日から2週間。
私の日常は、全く何も変わらない。


「はぁ、幸せ。」


のんびりしつつ、美味しいお茶とお菓子を味わう。
これを幸せ以外なんと呼べるだろう。


「そう言っていただけるなんて恐縮ですわ、ディア様。」


アディライトも嬉しそうな表情。
彼女達にとって、主人である私の幸せが一番の喜びだからだ。


「アレンの様子は?」


カップを置き、ディオンに問いかける。


「はい、ユリーファの報告によると、ティターニア国でレベル上げに勤しんでいるようです。」
「そう、今日にでもアレンの顔を見に行こうかしら?」


対外的には、死んだ事になっているアレン。
私達がアレンの死を偽装した日から、その顔を見ていない。


「それは、アレンも喜ぶ事でしょう。ディア様、是非そうしてあげて下さい。」


コクヨウも私の提案に賛成のよう。
死んだ事になっているアレンがルーベルン国にいるのはまずいので、しばらくはディオンの故郷であるティターニア国でレベル上げを頑張ってもらっている。
アレンの妹が外交で赴いているが、私の屋敷には結界で覆われているし、精霊達も協力してくれているので、兄妹が会う事もないからね。


「ふふ、アレンはどんな顔をしてくれるかしら?」


驚き。
そして、喜び?


「早くアレンに会いたいわ。」


楽しみで仕方ない。


「ーーーお待ちしておりました、ディア様。」


ティターニア国へ転移で飛んだ私達を出迎えるのは、この国の長であり、ディオンの妹である女王ユリーファ。
恭しく、頭を下げる。


「ユリーファ、頭を上げて?」
「はい、ディア様。」
「ふふ、久しぶりね、ユリーファ。元気にしてた?」


アレンを預けた時以来にユリーファに会う。
基本、私はルーベルン国にいる事が多いからね。


「本日は、アレンに会いに?」
「それもあるけど、」
「けど?」
「ユリーファにも会いに。」
「っっ、ありがとうございます、ディア様。」


歓喜に、ユリーファの顔が輝く。
うむ、可愛い。
ユリーファを愛でつつ、室内でアレンを待つ。
しばらく待てば、アレンが来る。


「ディア様!?」


室内に足を踏み入れ、驚きの声を上げるアレン。


「アレン、驚いた?」
「は、はい、驚きました。」


頷いたアレンは、嬉しそうな表情で私に駆け寄って来る。
その背後に尻尾が見えるのは私だけだろうか?
本当、和むわ。


「ディア様、一体どうされたのですか?」
「ふふ、アレンに会いに。」
「っっ、嬉しいです。」


途端に、歓喜に赤く染まる、アレンの頬。
あらあら、この子も可愛いわね。
眼福です。


「アレン、ここでの生活はどう?」
「とても充実していますね。王宮にいた頃にはなかった自由があって、幸せです。」
「そう、良かった。」
「ですが、」
「うん?」
「・・ディア様になかなか会えないのは辛いです。」


しょんぼりするアレン。
・・やだ、この子、私を悶え殺す気なの?


「ーーユリーファ。」
「はい、ディア様。」
「しばらく、アレンを借りるわ。」
「かしこまりました。どうぞ、ディア様の御心のままに。」
「皆んなも、ゆっくりしてていいわ。」
「「「「かしこまりました。」」」」


頭を下げるユリーファと皆んなの横を、アレンの手を引いて歩き出す。


「ディア様?」
「アレン、ご褒美をあげる。」


不思議そうな表情でついて来るアレンに微笑む。


「ご褒美、ですか?」
「そう、今日一日、アレンを可愛がってあげるわ。」


私の子を愛でるのも主人の大切な務め。
全力で可愛がりましょう。


「っっ、ディア様、大好きです!」
「私も好きよ、アレン。」


頬を染めるアレンを寝室へと連れ込んだ。


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