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第9章〜大会編〜
ゲルマン王との会談
しおりを挟む頭を下げ、ゲルマン王に敬意を示す。
「これは、陛下。御身がご無事で良うございました。」
相手は王族ですから。
「っっ、あ、あぁ、ありがとう。」
そんな私にゲルマン王も動揺しつつ、頷く。
顔を上げ、その目を見つめる。
「陛下、私はただの冒険者でございます。それ以上でも、以下でもございませんわ。」
「ただの?はは、魔族を倒せる者が、ただの冒険者である訳があるまい。何にせよ、そなたには感謝する。」
「もったいないお言葉です、陛下。」
「うむ、後日、そなた達には、それ相当の褒美を取らせよう。」
「ありがとうございます。」
全ては、自分の為にした事なんだけど?
まぁ、それでも褒美をくれると言うならありがたく貰いますとも。
「皆の者、魔族は倒された!しかし、今回の大会は中止とする。後日改めて、審査の続きと優勝者の発表を行おう!」
ゲルマン王の宣言で中止になる大会。
残念だが、致し方ない。
兵士に意識を刈り取ったゲスナンの身柄を預けてしまう。
「ルミア、残念ね?」
「いえ、ディア様から魔族の話は聞いていたので、こうなるかもしれないと考えていましたので。」
「そう?」
「これで、ゲスナンは地位も名誉も全てを失いました。私は満足です。」
去り行くゲスナンの背に、ルミアは一瞥だけ目を向けると、視線を逸らす。
「ふふ、強がりを言って。」
「え?」
「本当は鍛治師として、ルミアはゲスナンを倒したかったんでしょう?」
その為に、ずっとルミアは頑張ってきたのだから。
「・・そう、ですが、良いんです。」
「うん?」
「ああして最後に、ゲスナンが魔族の力を借りたのは、私の作品が自分よりも良いものだったからだと思いますから。」
誇らしげなルミア。
「それに、悔しがるゲスナンの顔は見れましたし。」
「ふふ、そうね。」
あの顔は、本当に見ものだった。
爆笑もの。
「あとはゲスナンの末路がどうなるか、楽しみに待っていますよ。」
楽しげに、ルミアが微笑んだ。
「あらあら、ルミアも強かになったものね。」
「ふふふ、お嫌いですか?ディア様は、こんな私が。」
「まさか!とても魅力的よ、ルミア。」
惚れ直してしまいそう。
「さぁ、帰りましょう、ルミア。」
手を差し伸べる。
「はい、ディア様!!」
その手に、ルミアの指が重なった。
暫く休日を満喫していた私達は、あの大会襲撃から3日後、ゲルマン王から正式に王城へと招かれた。
案内されたのは、会見の間。
「もう一度、感謝を述べさせてくれ。魔族を退けてくれた事、誠に感謝する。」
「ありがとうございます。」
そこで、ゲルマン王から直々にまたもや感謝の言葉を送られる。
ゲルマン王からの感謝の言葉に、頭を下げた。
・・・周りからの視線が痛い。
「ソウル嬢は、Sランク冒険者だとか。さすが、魔族を倒しただけの事はある。優秀なのだな。」
「お褒め頂き、恐縮です。」
調べられている。
この短時間に私の事を調べる手腕。
さすがは、一国を統べる王と言うべきだろう。
「今回の功績を称え、ソウル嬢に褒美を取らせよう。何か褒美に欲しいものはあるか?」
「では、褒賞として、この国で私達が住める土地を下さいませ。」
工房の家もあるが、折角なら土地を褒賞に貰おう。
「ふむ、土地とな?」
「はい、この国での拠点を作りたいと存じます。お許しいただけますでしょうか?」
モルベルト国は優秀の人材の宝庫。
土地だけ貰い、自分好みの屋敷を建てるのも楽しそうだ。
「ほう、Sランク冒険者が我が国に拠点を作ると言うのは願ってもない話しだ。喜んで、褒賞として土地を用意しよう。」
「ありがたき幸せにございます。」
拠点の土地ゲット。
これで、その土地で自分の好きなように屋敷を作れる!!
「他にも褒賞として白金貨100枚を渡そう。」
おう、お金も?
ゲルマン王は太っ腹だね。
「後ほど、宰相から報奨金を受け取るが良い。」
「はい、ありがとうございます。」
ほくほくで頭を下げる。
お金はいくらあっても良いからね。
屋敷の製作資金に使おう。
「陛下、1つお聞きしたい事があるのですが、発言の許可をいただけますでしょうか?」
「ふん?何だ?」
「大会についてなのですが、審査の方はどうなるのでしょう?」
「うむ、確かソウル嬢の奴隷が今回の大会に出場していたのだったな?」
「はい、ですので気になりまして。」
あの大会は、トウカのお披露目の場所だったのだ。
どうなるのか気になるではないか。
「あの場にいた者達との協議をし、厳選なる審査の後、優勝者を決めたいと思っている。」
「左様ですか、審査の結果をお待ちしております。」
まだ優勝の可能性はあるのね。
結果が楽しみ。
「ソウル嬢。其方に提案があるのだが。」
「??はい、何でしょう?」
「其方、私に仕える気はないか?」
「はい?」
・・・何ですと?
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