リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第8章〜外交編〜

従魔の催促

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息を飲む、コクヨウ。
可哀想な子達。
私の為だけに生きる、大切な家族。
どこにも逃げる事が出来ない、愛おしい存在達。


「ーー・・いいえ、ディア様が言うほど、僕達は可哀想でもありませんよ?」
「ん?」
「それが、僕達の幸せなのですから。だから決して、不幸でも、可哀想な存在でもありません。」


今の自分は幸せだと迷いなく言い切るコクヨウ。


「全員、ディア様の腕の中にいる事を願っている者達ばかりですからね。ディア様の腕の中が、自分達にとって、1番幸せとなれる場所なのです。」


同意とばかりに、ディオンが笑った。


「・・物好き。」


重い私の執着が幸せなんて。


「っっ、本当に、皆んなはバカよ。」


私の目から、涙か伝う。


「ディア様!?」
「どうしました!?」


突然の私の涙に慌てる2人が愛おしい。
この世界に来れて良かった。


「ふふ、今、とっても嬉しいから。」


涙が出てしまうの。
こんな幸せ、昔の私は知らなかった。


「これが、幸せなのね?」


あの頃の私には全く縁のなかった、幸せ。
与えられたかった、愛情。


「っっ、コクヨウ、ディオン!」


2人の腕の中に飛び込む。
すっぽり私を包み込む、2人の腕。


「だーい好き。」


今の私の何よりも大切な、家族。
そして、大事な人。


「ずっと、これから先も、私の側にいてね?」
「もちろんです。」
「言われなくても、お側を離れません。」
「ふふふ、」


すぐさま返ってくる返事に笑み崩れる。
幸せだ。
こんなにも、皆んなから私は惜しみない愛情を与えられて。
2人の腕の中で満たされた私。
王子達の事は、遠い記憶の彼方である。


「うん、仕方ない。」


私にとって、王子達は重要な事ではないので。
大事なのは、皆んなとの時間。
ーーごめんね?


「ディア様に邪な感情を持つものが増えそうなので、身の回りの強化をした方が良いでしょう。」


美味しい食事に舌鼓を打つ私。
そんな時だった。
ディオンが言い放ったのは。


「・・へ?」


食事を口に運んでいたフォークがとまる。
私の身の回りの強化?
首を捻る。


「ディオン、何で?」
「・・?ディア様の身を守る為ですが?」


当然とばかりのディオン。
そんなディオンを見ると、自分の方がおかしいんだって思えてくるから不思議。


「確かに、戦力の強化は必要がありますね。」
「ディア様の身に何かあってからでは、遅いですから。」
「「最優先事項!」」


コクヨウ、アディライト、フィリア、フィリオがディオンの提案に同意とばかりに頷く。
あれれ?


「いやいや、少し皆んな落ち着こう!?」


アスラに、ユエ、エトワール。
私の従魔達。
十分、強力だと思うんだけど?


「今だって、従魔は十分な戦力が私の回りにはいるよね!?」


逆に、過剰な戦力な気がするんだけど?
あれ、私の気のせいなの?


「・・ディア様。」
「な、何?」


コクヨウの強い眼差しに身を竦ませる。
こ、怖い。
私、何か悪いことしたかな?


「ディア様の身に何かあったら、一体、どうするつもりですか?」
「いや、何もないと、」
「ディア様?」
「・・はい、すいません。」


笑顔のコクヨウに、最後まで言わせてもらえませんでした。
・・なぜだ。
一応、私は主人だよね?


「お分りいただけて、良かったです。」


微笑む、コクヨウ。
・・うん、無理矢理だけどね?


「新しい従魔を増やしましょうね、ディア様?」
「・・はい。」


・・もう、私は何も言わぬ。
好きにして下さい。
肩を落とす。


「ディア様、新しい家族が増えるのですから、喜びましょう?」
「そう、ね。」


アディライトの言葉に頷く。
新しい従魔を増やすのは、そこまで悪い事ばかりじゃないのかな?


「分かった、新しい従魔を増やすわ。」


考えていた子がいるし。
この際、皆んなの従魔を増やす提案を受け入れますか。


「ーーさて、」


てな訳で、さっそく新しい家族となる従魔を作ろうと思うのだけど。


「うーん、ここじゃあ、無理、かな?」


従魔として、あの子を作るのであれば、もっと広い場所の方が望ましい。
その事を皆んなに伝えてみた。


「広い場所、ですか。」
「大きい従魔なのでしょうか?」
「「大きい?」」
「うん、大きいね。」


コクヨウ、アディライト、ファリアとフィリオの4人が首を傾げる。
この屋敷にも広い庭があるけど、私が作ろうとしている従魔だと狭いだろう。
屋敷の木々や花々が壊れかねない。


「では、ディア様。ティターニア国の屋敷ならよろしいのでは?」


との、ディオンの返答。


「なるほど。」


あそこなら、広さ的にも十分。
と言う訳で、食事を終えた私達はティターニア国の屋敷へと、さっそく飛んだ。


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