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第7章〜精霊編〜
幻影の主人
しおりを挟む目の前の魔族へ鑑定を発動させる。
名前:アリアナ
LV86
性別:女
年齢:132
種族:魔族
HP:32005/32005
MP:38650/38650
スキル
生活魔法、闇魔法、水魔法、幻影、気配察知、状態異常耐性、身体強化、魔力操作、意識操作
魔力操作
自分の魔力を操る。
意識操作
他人の意識を操る。
ふむ、なかなかのレベルね。
アリアナのレベルなら人間なんて簡単に倒せてしまえるだろう。
ただし、普通の人間にならだけど。
「へぇ、あなたの名前、アリアナさんと言うの?」
「なっ!?」
顔色を変える魔族の女性、アリアナ。
私が自分の名前を言い当てた事に、とても驚いた模様。
分かりやすくて良い。
「ふふ、驚きついでに、私の質問にもちゃんと答えて欲しいんだけど?」
「っっ、誰がお前になど答えるものか!」
吐き捨てるアリアナに微笑む。
「うん、貴方なら、そう言うって分かってた。」
素直に答えるなんて思ってない。
まぁ、当然よね?
「だから、アリアナ、貴方が素直に答えるだろう人物に聞いて貰うね?」
「・・何?」
訝しむ、アリアナ。
だか、遅い。
「ーーーーお願い、リリス。」
蠢く私の影。
アリアナへと放たれる、リリスの魔法。
『アリアナ。』
リリスの魔法が、アリアナに夢を見せる。
幸せな夢を。
「なっ、魔王、様?」
アリアナの中の、魔王の記憶を使い。
夢の中へ誘う。
「っっ、本当、に、魔王様、なの、で、ございますか?」
『ふふ、アリアナ、一体、私が他の誰に見えると言うの?』
歓喜に、アリアナが涙を滲ませる。
それが偽りとも知らず。
「っっ、あぁ、魔王様。尊きお方。アリアナは、ずっと、貴方様にお会いしとうございました。」
思考さえ奪う。
魔王様は死んでいなかったと。
もう魔王はいないと言う正常な判断さえ奪い、こちらの都合の良い傀儡としていく。
『私も会いたかった、アリアナ。だから、お願い、私の質問に答えてくれる?』
「はい、魔王様。何なりと。」
焦点の合わない瞳で、アリアナは虚空の幻影に幸せそうに笑った。
零れ落ちるアリアナの涙。
『なら、アリアナに最初の質問。』
素直に答えてね?
私の傀儡、アリアナ。
「ーー・・もう、良いわ。」
聞きたい事は全てアリアナに教えてもらった。
虚な瞳のアリアナを見下ろす。
「この子、もう要らない。処分して。」
私達に被害が無かったとは言え、皆んなへの気概を加えようとした事は事実。
アリアナを私が生かしてやる義理はない。
「ふふ、愛する魔王様に手をかけられなら、アリアナも嬉しいでしょう?」
最後の慈悲として、アリアナが愛する魔王の姿で終わらせてあげる。
アリアナの心臓へ刃を突き立てた。
「あっ、」
びくりと跳ねる、アリアナの身体。
だんだんと光を無くしていくアリアナの瞳。
「お休みなさい、アリアナ。」
「・・ま、おう、さま、おしたい、しておりま、した、」
幸福の中で、アリアナは生き絶えた。
安らかな表情のアリアナの遺体を空間収納の中にしまい、流れた血を魔法で綺麗に片付けた室内。
アリアナの遺体はルーベルンのギルドに引き渡して、国王陛下へ知らせてもらおう。
「ディオン、お父様達は大人しくしている?」
「あれらは、それぞれ別々の部屋の一室に監禁しております。エトワールの結界を張ったので、外に出るのは無理でしょう。」
ふむ、エトワールの結界なら、お馬鹿さん達に破られる可能性は絶対にないだろう。
隔離も万全。
「弟くんの洗脳も、アリアナが亡き今、解けているでしょうね。」
アリアナ自身から聞いた事だから、今頃は弟くんの洗脳も解けているだろう。
どうやら、洗脳中の間の記憶も残っているらしいから、今頃は後悔と自分が仕出かした事への恐怖心に苛まれているかもしれない。
「ディア様、あれらの処分はいかがなさいますか?」
「うふふ、彼等への罰は前から決めてあるから、ディオン、楽しみにしてて?」
ディオンへ微笑む。
きっと、ディオンも喜ぶだろう罰にするから。
「ひと段落した所で、ディオン?少し時間をもらっても良いかしら?」
「・・?はい?」
「あのね?ディオンに会わせたい人がいるの。」
「・・、私に、ですか?」
「そうよ。」
ディオンに頷き、部屋の扉へと視線を向ける。
「ーー・・中に入りなさい、ユリーファ。」
扉の外にいる子に声を掛けた。
開かれる扉。
「っっ、なっ、!?」
ディオンの瞳が驚愕に見開かれた。
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