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第7章〜精霊編〜
知らされる事実
しおりを挟む首を捻る私。
オリバーの事を嫌っていないのに、コクヨウとディオンの2人は意地悪してたの?
「僕達のオリバーへのあれは、ディア様に敵意を向けた事に対するお仕置きです。」
「え!?」
「コクヨウの言う通りですよ?ルルーシェルにも、必要以上にディア様へ接近する事に対して禁止令が出ていますし。」
「はいっ!?」
ルルーシェルへ私への接近禁止令?
なんだ、それ。
私、それは初耳なんですけど?
愕然とする。
「ディア様に対してあの様に敵意を向けておいて、オリバーとルルーシェルの2人は、あれだけのお仕置きで済んでいる事を感謝して欲しいですね。」
「その事を2人も分かっているから、私達のお仕置きに何も文句を言わないのです。」
「ははっ、」
私の庇護下にいなければ、2人は間違いなく悲惨な事になっていたのね。
・・・怖ッ!
「2人も反省している事ですし、」
「ディア様が旅に出られる前に、オリバーの事をすっきりさせましょう。」
「うん、分かった。」
2人がオリバーの事を認めてくれるなら、私が躊躇する必要はない。
「明日はオリバーと一緒に過ごす。」
「はい、ディア様。」
「ディア様の御心のままに。」
「ありがとう、2人とも。」
笑う2人の安心できる腕の中に飛び込む。
ありがとう、私のこんな最低な我儘を許してくれて。
「僕達にお礼など不要です。貴方の幸せが僕達の何よりの望みなのですから。」
「ディア様の笑顔を守れれば、私達はそれで良いのです。」
2人の安心する腕の中で、どこまでも私はどろどろに甘やかされていく。
その安心する腕が、明日1つ増えるのだ。
うっとりと目を閉じる。
「・・さて、少し困ったわね。」
次の日の朝。
私は自室で悩んでいた。
「うーん、オリバーとの事についてコクヨウとディオンの2人からお許しが出たけど、なんと誘えば良いのかしら?」
悩む。
アディライトに朝の身支度をしてもらいながら、私は頭を悩ませる。
「ふふ、ディア様、素直なお気持ちをオリバーへ伝えたらよろしいのですよ。」
「素直な気持ち?」
「ディア様に好きだと言われて、抗える者などいると思いますか?」
「へ?普通にいるでしょ。」
世の中の全員が私に惚れるなんて、乙女ゲームやお話の中だけだ。
こちらの世界での私は容姿に優れたが、それで自惚れる事はない。
「・・・無自覚、なのですね。」
「え?」
小さくアディライトが呟く。
私の髪を梳くアディライトから、哀れむような眼差しを向けられた。
・・・あれ、なぜ?
「おほん、良いですか、ディア様?オリバーはディア様を愛しています。」
「・・うん。」
私の事を好きだって、言ってくれた。
それは信じてる。
「なら、そんなディア様のどんな誘いもオリバーにとってはご褒美。・・・くっ、オリバー、なんて羨ましいのでしょう!」
「・・ちょ、アディライト!?」
どうして涙目になるの?
最後の方は小声で、何て言ったのか分からなかったし。
「すみません、ディア様。少し感情が高まってしまいました。」
「う、うん、良いよ?」
「ありがとうございます。」
アディライトがにっこりと笑う。
「ディア様、今宵のご衣装はご期待下さいね?」
「衣装?」
「うふふ、ディア様が考案された衣装の中からオリバーを悩殺する物をご用意しますわ。」
「の、悩殺って、」
張り切るアディライトに顔が引き攣る。
「ふ、普通で良いよ?」
「まぁ、いけません。」
「なんで!?」
無常にも私の提案はアディライトなキッパリと拒否られてしまう。
いつも普通の服だよね?
何で今日は普通の服ではダメなの!?
「ディア様、今日はオリバーとの初めての夜なのですよ?」
「っっ、」
アディライトの言葉に私の頬が熱を持つ。
確かに、オリバーとは初めて一線を越える夜なのだけど、その行為自体は経験済みな訳で。
「うん、やっぱり普通の服で良いと思う。」
下手に変えるのは、ね?
「っっ、そんな、」
「ちょ、なんで泣きそうな顔なの!?」
今にも涙を流しそうな悲痛な顔のアディライトに身を引く。
「ディア様を美しく着飾れないなんて、そんなの、あんまりです!酷いですわ!」
「や、あの、」
「コクヨウとディオンの時も、私はディア様へご衣装をご用意が出来なかったのですよ!?」
アディライトが拳を握った。
・・あの、もしもしアディライトさん?
衣装1つで大袈裟過ぎない?
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