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第7章〜精霊編〜
第2妃と王家の闇
しおりを挟むここにきて、王妃様の陰謀説が浮上。
しかも、第2妃の発言。
上に立つ者の発言は、時に人を動かすものだ。
「リリス、第2妃の王妃様陰謀説発言を信じる者はいたの?」
「いません。いかに王妃様が皆に信頼されているか周知され、第2妃への人望の無さが浮き彫りとなりました。」
「ふふ、でしょうね?」
あの聡明な王妃様が元王女の事で陰謀を張り巡らせる理由がないもの。
第2妃が王妃様の陰謀だと騒ぐだけ、その愚かさと低能さが周囲へ知れ渡るだけ。
王家の恥だ。
「しかも、それだけではなく王妃様とディア様が結託しての陰謀だとの事でしたので、全力で対応させていただきました。えぇ、第2妃のその口が2度と余計な事を話せないように全力で私の力の全てを使い対応させていただきましたとも。」
良い笑顔のリリス。
しかし、その瞳は笑っていない。
あらら。
第2妃は本気でリリスの事を怒らせているじゃないか。
「私と王妃様が結託してって、第2妃もバカなの?元王女の所業は自分自身でした事でしょうに。」
「バカなのです、ディア様。」
リリスが頷いた。
元公爵令嬢だった第2妃。
罪人となったカーシュ公の義理の妹でもある。
「元王女の母親だけの事はありますね。自分がなると信じていた場所にいる王妃様の事を、今でも憎んでいるのですから。」
「自分がなると信じていた?第2妃は王妃になりたかったの?」
私は首を捻った。
「公爵令嬢だった姉と妹であった第2妃の2人が当時の王太子の妃候補だったのですが、その時に1番の才媛だった今の王妃様が選ばれた様です。姉と一緒に自分達は王太子妃、将来の王妃となると周囲へ豪語していたみたいですね。」
その口元に失笑が浮かぶ。
「本当に似たもの親子と言えましょう。第2妃となってからも王妃様の事を陥れようと企んだりもしていたみたいですし、王様も今回の証拠を喜んでいるのでは無いでしょうか?」
「確かに王様からの手紙を読んでいても、こちらを批難している様な感じではないわね。」
むしろ喜んでいる?
妻である王妃様の事を溺愛する王ミハイル様にとって、第2妃は邪魔だったのかも。
第2妃ふあの元王女の母親なんだし、色々と苦労もありそうだ。
「うふふ、私は不貞の証拠を置いて、後は一緒に疑問の手紙で囁いただけ。『第一王女は本当に王の子なのか』と。」
「あらあら、王様の王妃様への寵愛は深いみたいだから、今回の証拠を使って第2妃を排除するでしょうね。第2妃は自業自得だわ。」
因果応報。
第2妃にぴったりの言葉だ。
「王室の為に第2妃の不貞の件は国民には伏せられる様です。時期を見て第2妃は病死として闇に葬られる事でしょう。」
「本当は病死と見せかけて第2妃を亡き者にする、王室の隠された真実か。怖いわね、王室って所は。」
第一王女が王ミハイル様の本当の子供かどうかなんて、真実はどうでも良い事。
その疑いがある事が何よりも問題なのだ。
王家は血を重んじる。
娘の身体に王家の血が流れていないかも知れないと言う、母親の不貞の証拠があったら?
「王の妻として第2妃は失格だわ。不貞の証拠がある以上どんなに第2妃が自分の潔白や王の娘だと叫んでも信じる人はいないわね。」
「ふふ、前から第2妃の周りの者達を幻惑して情報を集めた甲斐がありました。ディア様を貶める様な発言をした第2妃も排除が出来ましたから。」
満面の笑みのリリス。
カーシュ公の件があってから、義理の妹である第2妃の周囲も探っていたのだろう。
「理由は分かったわ、リリス。ご苦労様。」
「はっ、」
労えば、リリスが影の中に沈む。
「・・ふふ、第2妃、ですか。私もお相手したかったですわ。」
冷やかな笑みをアディライトが浮かべる。
「もう終わった事よ、アディライト。少ない日々を過ごすだけの第2妃の事なんて気にしないの。」
「ディア様は優しすぎます。ご自分の事を侮辱されたと言いますのに。」
唇を尖らせるアディライト。
「そうやってアディライト達が私の代わりに怒ってくれるもの。第2妃が私の事を何と言おうとも構わないわ。」
「私達が何か言われたらディア様は怒りますのに、ご自分の事には寛容と言いますか、無関心ですね。」
私の事を侮辱や貶める様な発言こそ、自分は何よりも許せないのにと、口惜しそうにアディライトが呟く。
「ふふ、それが私なのよ。」
私は立ち上がった。
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