リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

文字の大きさ
上 下
190 / 424
第7章〜精霊編〜

第2妃と王家の闇

しおりを挟む


ここにきて、王妃様の陰謀説が浮上。
しかも、第2妃の発言。
上に立つ者の発言は、時に人を動かすものだ。


「リリス、第2妃の王妃様陰謀説発言を信じる者はいたの?」
「いません。いかに王妃様が皆に信頼されているか周知され、第2妃への人望の無さが浮き彫りとなりました。」
「ふふ、でしょうね?」


あの聡明な王妃様が元王女の事で陰謀を張り巡らせる理由がないもの。
第2妃が王妃様の陰謀だと騒ぐだけ、その愚かさと低能さが周囲へ知れ渡るだけ。
王家の恥だ。


「しかも、それだけではなく王妃様とディア様が結託しての陰謀だとの事でしたので、全力で対応させていただきました。えぇ、第2妃のその口が2度と余計な事を話せないように全力で私の力の全てを使い対応させていただきましたとも。」


良い笑顔のリリス。
しかし、その瞳は笑っていない。
あらら。
第2妃は本気でリリスの事を怒らせているじゃないか。


「私と王妃様が結託してって、第2妃もバカなの?元王女の所業は自分自身でした事でしょうに。」
「バカなのです、ディア様。」


リリスが頷いた。
元公爵令嬢だった第2妃。
罪人となったカーシュ公の義理の妹でもある。


「元王女の母親だけの事はありますね。自分がなると信じていた場所にいる王妃様の事を、今でも憎んでいるのですから。」
「自分がなると信じていた?第2妃は王妃になりたかったの?」


私は首を捻った。


「公爵令嬢だった姉と妹であった第2妃の2人が当時の王太子の妃候補だったのですが、その時に1番の才媛だった今の王妃様が選ばれた様です。姉と一緒に自分達は王太子妃、将来の王妃となると周囲へ豪語していたみたいですね。」


その口元に失笑が浮かぶ。


「本当に似たもの親子と言えましょう。第2妃となってからも王妃様の事を陥れようと企んだりもしていたみたいですし、王様も今回の証拠を喜んでいるのでは無いでしょうか?」
「確かに王様からの手紙を読んでいても、こちらを批難している様な感じではないわね。」


むしろ喜んでいる?
妻である王妃様の事を溺愛する王ミハイル様にとって、第2妃は邪魔だったのかも。
第2妃ふあの元王女の母親なんだし、色々と苦労もありそうだ。


「うふふ、私は不貞の証拠を置いて、後は一緒に疑問の手紙で囁いただけ。『第一王女は本当に王の子なのか』と。」
「あらあら、王様の王妃様への寵愛は深いみたいだから、今回の証拠を使って第2妃を排除するでしょうね。第2妃は自業自得だわ。」


因果応報。
第2妃にぴったりの言葉だ。


「王室の為に第2妃の不貞の件は国民には伏せられる様です。時期を見て第2妃は病死として闇に葬られる事でしょう。」
「本当は病死と見せかけて第2妃を亡き者にする、王室の隠された真実か。怖いわね、王室って所は。」


第一王女が王ミハイル様の本当の子供かどうかなんて、真実はどうでも良い事。
その疑いがある事が何よりも問題なのだ。
王家は血を重んじる。
娘の身体に王家の血が流れていないかも知れないと言う、母親の不貞の証拠があったら?


「王の妻として第2妃は失格だわ。不貞の証拠がある以上どんなに第2妃が自分の潔白や王の娘だと叫んでも信じる人はいないわね。」
「ふふ、前から第2妃の周りの者達を幻惑して情報を集めた甲斐がありました。ディア様を貶める様な発言をした第2妃も排除が出来ましたから。」


満面の笑みのリリス。
カーシュ公の件があってから、義理の妹である第2妃の周囲も探っていたのだろう。


「理由は分かったわ、リリス。ご苦労様。」
「はっ、」


労えば、リリスが影の中に沈む。


「・・ふふ、第2妃、ですか。私もお相手したかったですわ。」


冷やかな笑みをアディライトが浮かべる。


「もう終わった事よ、アディライト。少ない日々を過ごすだけの第2妃の事なんて気にしないの。」
「ディア様は優しすぎます。ご自分の事を侮辱されたと言いますのに。」


唇を尖らせるアディライト。


「そうやってアディライト達が私の代わりに怒ってくれるもの。第2妃が私の事を何と言おうとも構わないわ。」
「私達が何か言われたらディア様は怒りますのに、ご自分の事には寛容と言いますか、無関心ですね。」


私の事を侮辱や貶める様な発言こそ、自分は何よりも許せないのにと、口惜しそうにアディライトが呟く。


「ふふ、それが私なのよ。」


私は立ち上がった。

しおりを挟む
感想 147

あなたにおすすめの小説

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?

青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。 そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。 そんなユヅキの逆ハーレムのお話。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

皆で異世界転移したら、私だけがハブかれてイケメンに囲まれた

愛丸 リナ
恋愛
 少女は綺麗過ぎた。  整った顔、透き通るような金髪ロングと薄茶と灰色のオッドアイ……彼女はハーフだった。  最初は「可愛い」「綺麗」って言われてたよ?  でも、それは大きくなるにつれ、言われなくなってきて……いじめの対象になっちゃった。  クラス一斉に異世界へ転移した時、彼女だけは「醜女(しこめ)だから」と国外追放を言い渡されて……  たった一人で途方に暮れていた時、“彼ら”は現れた  それが後々あんな事になるなんて、その時の彼女は何も知らない ______________________________ ATTENTION 自己満小説満載 一話ずつ、出来上がり次第投稿 急亀更新急チーター更新だったり、不定期更新だったりする 文章が変な時があります 恋愛に発展するのはいつになるのかは、まだ未定 以上の事が大丈夫な方のみ、ゆっくりしていってください

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

処理中です...