リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

文字の大きさ
上 下
178 / 424
第6章〜宮廷編〜

牽制と売り込み

しおりを挟む



微妙な表情になる王家一家。
だってさ、この会場で初めて絡んで来たのがあの常識の欠片さえなかった第一王女様達だよ?
他の人は遠巻きに見てくるだけだったし。


「・・ソウル嬢」
「はい、国王陛下、なんでしょう?」
「その、すまなかった。」


あらあら。
気まずそうに目を逸らす王ミハエル様へ微笑む。


「私がSランク冒険者となろうが、国で最も高貴なる方が簡単に謝罪の言葉を紡いではいけません。貴方様の事を認めない者達に侮られますよ?」


まだカーシュ公一派は健在。
カーシュ公が裁かれる日まで、王ミハエル様には頑張ってもらわなくては。


「これは必要な事だから良いのだ。ソウル嬢との友好の為なら、こうして私は何度でも頭ぐらい下げよう。」


その瞳が語る。
私の逆鱗に触れれば国が滅ぶと危惧していると。
この国を守る為なら、自分の意地もプライドも捨てて私との友好を取るのだと告げられる。


「私は両陛下も、第二王女殿下の事も困らせたい訳ではありません。が、あの者達を野放しにするなら、その限りでは有りません。」
「・・自身が動く、と?」
「もちろん、不要な火の粉がこちらに向かうのであれば私自身が動きますわ。」


当然でしょう?
もう被害は受けているんだから。


「ですから、彼女達の事をきっちり教育をしてくださいね?」


私の可愛い子達を奪おうとして?
来たくもなかったパーティーに出れば、さっさと帰れと言われる。


「次はありません。ここまでされて私が寛容でいられるのも、そろそろ限度がありますから。」


よく耐えた自分。
褒めてもいいと思うんだけど?


「カーシュ公の事もそうです。国王陛下、カーシュ公を裁くのに、あれは十分役に立ったのでは?」
「っっ、やはり、あれは、そなたかッ!」
「ふふ、」


目を見開く王ミハエル様へ私は微笑んだ。
カーシュ公の悪事の証拠を届けたのは私だと言葉にして認めてないよ?
ただ、微笑んだだけ。


「・・はぁ、かの者の事は明日、全て終わらせる。既に主要な貴族達を集めてあるからな。」
「左様、ですか。ふふ、明日は無事に終わると良いですね?」
「・・・ソウル嬢、不吉な事を言わんでくれ。」


嫌そうに王様が顔を歪める。


「あら、私は心配しているのですよ?手負いの獣はみっともなく最後に足掻くと申しますし。」


あれ、じゃあね?


「今回は何があっても許されん。裁かれるには十分な悪事の証拠も揃っている事だしな。」
「そう、ですか。」


なら、王ミハエル様のお手並み拝見といきますか。
頑張って下さいね?
私に国を滅ぼされたくなければ。


「ーー・・で、第二王女殿下の疑問にはお答えにならないのですか?」
「!?」


固まる王様。
やだなぁ、この話を終わらせるなんて誰も言ってないぞ?


「・・・そなた、」
「なんでしょう?」
「良い性格をしておるな。」
「まぁ、ふふ、ありがとうございます。」


それ、褒め言葉ですよ?
談笑を続ける私達。
王ミハエル様達は、あえて私の所にいるのだろう。


「陛下。」
「ん?なんだ?」
「私は役に立ちました?他国への牽制になったなら良いのですが。」


周囲へ見せつける為に。
Sランク冒険者となった私達との仲を示せば、安易に無茶な要求は出来まい。


「・・・ふぅ、ソウル嬢、そなたは鋭いな。」
「あら、私は愚かに見えました?」


心外だわ。
ほら、私を軽視する様な発言にコクヨウ達も王ミハエル様に対して剣呑な眼差しになってるし。
憤っているらしい。


「コクヨウ、ディオン、アディライト。」
「っっ、すみません。」
「ディア様、お許しを。」
「反省しております。」


コクヨウ達3人の名前を呼んで咎めれば、その剣呑さもなくなる。
うん、良い子。


「陛下、3人が大変ご無礼いたしました。どうかお許しを。」


王ミハエル様へ向き直り、頭を下げる。
すぐさまの謝罪。


「気にするな。私の言い方も悪かった。」
「ありがとうございます。」


これで私達の粗探しを目論んでいる人達への攻撃は防げただろう。


「陛下、使えるものは利用する。それは悪い事とは思いません。」


王として正しい判断と言える。


「ですが、私達は人の多い場所は得意ではないのです。」


私達は庶民の人間ですよ?
いきなり貴族のパーティーへ駆り出されるのは、いかがなものか。


「許せ、ソウル嬢。その分、後ろ盾となり王の力で愚か者達を牽制しよう。」


周りを見渡して王ミハエル様が言い放つ。
最強の後ろ盾を得た様だ。


しおりを挟む
感想 147

あなたにおすすめの小説

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?

青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。 そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。 そんなユヅキの逆ハーレムのお話。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

皆で異世界転移したら、私だけがハブかれてイケメンに囲まれた

愛丸 リナ
恋愛
 少女は綺麗過ぎた。  整った顔、透き通るような金髪ロングと薄茶と灰色のオッドアイ……彼女はハーフだった。  最初は「可愛い」「綺麗」って言われてたよ?  でも、それは大きくなるにつれ、言われなくなってきて……いじめの対象になっちゃった。  クラス一斉に異世界へ転移した時、彼女だけは「醜女(しこめ)だから」と国外追放を言い渡されて……  たった一人で途方に暮れていた時、“彼ら”は現れた  それが後々あんな事になるなんて、その時の彼女は何も知らない ______________________________ ATTENTION 自己満小説満載 一話ずつ、出来上がり次第投稿 急亀更新急チーター更新だったり、不定期更新だったりする 文章が変な時があります 恋愛に発展するのはいつになるのかは、まだ未定 以上の事が大丈夫な方のみ、ゆっくりしていってください

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

処理中です...