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第6章〜宮廷編〜
処罰
しおりを挟む愕然とした表情で王命を受けた2人。
しばらくの間、王命の為に自分達の婚約者を探せなくなった事実を実感した模様。
あ、ほら、半狂乱になって2人がまた泣き出した。
「あらあら、」
すごく、楽しい光景じゃないか。
はは、ざまぁ。
散々我が儘し放題だったんだから、しっかり反省してくださいね?
「大丈夫、その身に流れる高貴な血筋だけを欲して、希少な求婚者様が現れるかもしれないもの。」
諦めるな、2人とも。
まだ結婚が出来る望みはあるさ。
「まぁ、あの様な言動をする2人なんか、私が親なら怖くて息子の嫁に迎えられないけどね。」
この様な場所で何か言葉を発言する重要性を認識していない間は、2人を結婚相手にしてくれる人は少なそうだけど。
下手したら道連れだもの。
次は賓客に対して何かやらかし、爵位も剥奪され、一家離散なんて事もあり得そう。
「衛兵、王名だ!さっさとこの場に相応しくない2人の事を連れ出せ!」
慈悲もない。
無情な王ミハエル様の命令で、泣き伏す2人がこの場から連れ出される事に。
しかし、ここにきてもめげないのが2人だ。
「お父様、許して!!」
「陛下、どうかお慈悲を!!」
最後まで、みっともなく喚くのを忘れない。
衆人の前ですよ、お2人とも?
ここで2人を簡単に許したら他国から王ミハエル様が愚王と呼ばれる事は確実。
「愚かなお前達に慈悲はない!しっかり自分達がした事を自覚し、謹慎中にしっかり反省しろ!」
そんな愚策を王ミハエル様は犯さない。
しっかりと言い渡す。
実の娘や姪が相手だろうと、断固たる罰を与える事を王ミハエル様は選択した。
「っっ、そんな!?」
「嫌です、陛下!」
喚く2人が兵によって連れ出されて行く。
去り行く姿も品位の欠片もない。
あれが王女?
高位貴族の令嬢の姿とは目を疑うばかりだ。
「皆、この度は愚かな娘と姪が騒がせて済まなかった。後ほど新たにSランク冒険者となった者を正式に紹介するが、先ずは、どうか、このまま今宵のパーティーを楽しんでくれ。」
王様の声に、止まっていた音楽も流れ出す。
パーティーの仕切り直しだね。
「あーぁ、残念。」
「その気持ちは分かりますが、ディア様が2人の事を煽ったから時間がなくなったのですよ?」
「計画では公爵令嬢経由で目的のカーシュ公と接触する予定でしたからね。」
「その目的のカーシュ公が出て来る前にディア様がお2人の暴言に対して全て反論してしまい、王様が登場してしまったのは計算外ですわ。」
コクヨウ達が苦笑する。
そう、もう少しで1番の獲物であるカーシュ公も私達の所に出てきそうだったのに惜しい事をした。
「だって、コクヨウの事を侮辱され、ディオンを置いて行けなんて言うのよ?」
キレるでしょう。
大事な2人にそんな事されたら。
「この場で力の限り暴れなかっただけでも感謝して欲しいぐらいだよ。」
話し合いだけで済ませた自分は偉い。
この場で血の雨を降らせて私の恐ろしさを知らしめても良かったんだから。
関係ない人達もいたから、この場は我慢した。
「うーん、王様もその可能性を考えて、さっさと2人を断罪したのかな?」
私が何にキレるか知っているもの。
その可能性はある。
「しかし、罰として謹慎か。嫁の貰い手は少なくなるだろうけど、後妻とか可能じゃない?」
処罰の内容は不服だが、一応、まだ2人は未成年。
多少のおいたは、まだ許されよう。
が、もう良い大人であるカーシュ公は問題外。
あの人が王位を狙い、反乱を企てれば国全体の問題に発展する。
「カーシュ公もディア様があのように切り返すとは思いもよらなかったのでしょう。無様に二の足を踏んで悔しそうな顔をしていましたね。」
「ふふ、ディオン、言葉が過ぎるわよ?」
まぁ、同意見だけど。
あのカーシュ公の顔は見ものだった。
「あの方の灯火も、あとわずか。せいぜい、無駄な夢を見つ続けていれば良いわ。」
自分の憎い弟からの断罪が、これからあの人を待っている。
その時、何を思うか。
「ふふ、持っているもの全てを失った時、一体、貴方はどうするのかしら?」
楽しみね?
くつりと私は笑う。
「と、そろそろあの者の事は終わりにして、ディア様、僕と踊っていただけますか?」
「あら、」
コクヨウから差し出さた手を見て微笑む。
「えぇ、喜んで、コクヨウ。」
その手を取った。
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