リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第6章〜宮廷編〜

愛妾疑惑

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王女と高位貴族のご令嬢が自国の王へ対して礼儀も忘れるとは。
こうして王様を前にして公爵と王家の娘が呆然と突っ立っているだけってどうなのだろうか?
礼儀作法は習っているよね?
貴族として、当然のマナーだと思うんだけど?


「我が娘と姪がソウル嬢に何をしたか詳しく教えてくれないか?」
「国王陛下、まず、この場での私の発言の許可をいただけますか?」


これ大事。
いくら私が平民であれ、王族の、まして王への発言の許可は必要。
もちろん第一王女や公爵令嬢は、あちらからマナーを守れていなかったので除外です。


「うむ、ソウル嬢の発言の許可しよう。」
「ありがとうございます。では、この場で何があったか発言してもよろしいのでしょうか?」


他国の人間の前だよ?
自国の恥を晒しても良いの?


「ソウル嬢の懸念は大変ありがたいが、他国の者がおる前での失態は、その場で断罪しておかねばならぬ。」


王様の顔が苦く歪む。
うん、この2人には相当な苦労をかけられてきたみたいですね。
他国の心証の為にも、この場で2人をきちんと断罪したいって事なのかな?


「かしこまりました。ですが、私だけのご説明だけでは公正とは言えませんので、この場にいらっしゃる他の方々にもご確認下さい。」


私は周囲へ視線を走らせる。
証人はたくさん。


「高貴なる方々が、この場で見て、聞いたありのままの事を国王陛下へ語って下さるでしょう。」


意味;嘘偽りを言うなよ?
である。


「一国の王への偽りなど、許されぬる事。この場にいるのは皆様、高貴なる方々ですので、もちろん理解されていいる事でしょうから私も安心してお話し出来ますわ。」
「「「っっ、」」」


口角を上げて釘を刺しながら笑う私に何人もが蒼白になり息を飲む。
はは、第一王女や公爵令嬢の肩を持とうとした人に釘を刺さない訳ないじゃないか。
バカだなぁ。


「それでは、この場で何があったのか誠悦ですが私が語らせていただきます。」
「「っっ、」」


第一王女と公爵令嬢である2人の少女の顔が絶望に染まる。
始まる、ちくりと言うなの王ミハエル様への説明。
私悪くないし?
ただ真実を話しているだけである。
誰にも責められる事もないので、ありのまま話していく。


「まず、今日私が着ている衣装の色に付いて2人から非難されました。国王陛下からは何も衣装の色について言われておりませんでしたが、いけなかったでしょうか?」
「いや、構わない。暗黙の了解で黒の衣装は着ていないだけで、特に法で禁止している訳ではないからな。」


王ミハエル様からの了承を得る。
これで、今着ている私の衣装への非難は無くなるね。
では、次だ。


「その後は、お2人から下賤な身でこの場にいる事を非難され、さっさと帰る様に言われたのですが、本日は王命にて呼ばれておりましたので留まりました。その時に、その、」


視線を王ミハエル様から逸らす。


「今日のお披露目パーティーへの招待状を身体を使って得たのだと言われましたの。その、つまり、私は国王陛下の寵愛を得た、と。」


ヤバくない?
これ、本気の不敬罪です。
私が誰から招待状を得たか知らなかったとは言え、一国の王を誑かした発言をしてしまった2人。
一国の王女と公爵令嬢が、だ。


「何?」


不愉快さを醸し出す王ミハエル様。
当然であろう。
リリスからの報告によると王ミハエル様と王妃様は相思相愛の関係であり、王子も3人生まれていたのに側妃を迎えたのは周囲からの無理矢理の圧力からだったのだとか。
その圧力も主にカーシュ公の一派からだったらしい。


「私はいつから国王陛下の愛妾となったのでしょうか?本日のパーティーは、私のSランク冒険者となったお披露目と聞いていたのですが、国王陛下の愛妾になる事の打診の場だったのですか?」


あり得ない事と知りながら、私は困った様に微笑んだ。
王妃様を心から愛する王ミハエル様が私の事を愛妾にする訳がない。
側妃も嫌々娶ったぐらいなのだから。


「ふふ、国王陛下と王妃様の仲睦まじさは有名ですのに、可笑しな話ですね?何故、私が陛下の愛妾と考えたのか不思議でなりませんわ。」


私を愛妾とするとしても、国王としての政略結婚だろう。
利益の為に私を妻とする。
そこに愛情はない。
しかし、私の本意でない事を王ミハエル様がする訳が無いのだ。
私を愛妾として自国に取り込むよりも、多少の自由を与えた方が得策と知っているから。


「陛下、事実確認されてから、きちんと皆様に私が愛妾になどならないと宣言してくださいませ。そうしないと、暴れてしまう子達がおりますので。」


王ミハエル様と王妃様の夫婦仲も良好で、王子も3人もいるのに新しく側妃を娶る意味が全くわからん。
カーシュ公の妻の妹を側妃に据えた事を考えると、王ミハエル様を籠絡させて政を自分達の好きに動かしたかったのかな?


「出来ないのであれば、失礼な事と存じますが、その様なお呼び出しであれば本日のパーティーに私はこれで欠席させていただきとうございます。国王陛下、とても不愉快だったと申し上げさせていただきますわ。」


満面の笑みを浮かべる。


「そして、その様な不快な事を想像して発言する様な方とは今後一切関わりたくございません。えぇ、。」
「っっ、!?」


表情が強張る王ミハエル様。
Sランク冒険者である私、しかも危険な従魔であるアスラとユエを他国へと流出すると仄めかした事に気がついたんだから当然だろうけど。


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