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28.メスの気持ち ※
しおりを挟むダリアは腹ペコの動物みたいに僕の身体を食い尽くした。突かれるたびに目の奥では火花が飛んで、僕はその温くて深い快楽にもっと浸ろうと瞳を閉じる。
何もかもぐっちゃぐちゃだった。
後ろからされている時は顔が見えないから不安だけど、正常位で月明かりが照らすダリアの顔は僕の羞恥心を煽るから、きっと見えない方が良い。
そんなことを考えながらギュッと目を閉じていたら、自身を僕から引き抜いて、ダリアの手が僕の腰を掴んだ。そのままドスンッと下ろされたのは彼の両腿の上。僕は目前に迫る肌色にドギマギしながら黄色い目を見上げた。
「え……ダリア…?」
返事をしない狼はなんでもない様子で硬度を保った肉棒を僕の尻に当てがう。情けない声と共に僕の穴はダリアの一部を呑み込んだ。
「あっ、あ、深い……!」
自分の体重が掛かって気を抜くと最奥まで一気に沈んでしまいそうだったので、慌てて僕は足に力を入れる。
正直言うともう達しすぎてさっきから僕の分身からは何も出ていない。空っぽになるとはこのことだろう。何も発射する気配はないのに、不思議なことにまだ勃ち上がっている小さな己を僕は慌てて隠すように手で押さえた。ダリアの怪物のような男根を前にすると、僕は自分のものがひどく恥ずかしく思える。
「ヒューイ、好きだ」
「………っん」
耳の下で囁かれる愛の言葉は、くすぐったい。
ゾクゾクするような初めての感覚に僕は自分がどんな顔をすれば良いのか分からなかった。ダリアはどうしてこんなに素直に僕を想ってくれるんだろう。
(結婚する相手が居るのに……)
頭をよぎったのは今朝方見た高貴な女の姿。華奢で、女性らしい身体のラインで、言葉遣いだって綺麗だった。彼女はダリアと結婚すると言っていたのだ。
喉の奥が熱くなって、心臓が痛んだ。
一つずつ宝物を並べるみたいにダリアは僕の肌の上にしるしを残す。僕はその赤い痕が愛おしい狼に付けられたものだと思うと素直に嬉しかった。だけど、どうしたって彼の結婚の話が気になる。
「ねぇ、ダリア……」
「ん?」
「今日女の人が訪ねて来たよ。返事を聞かせてほしいって言ってた」
「返事?」
「なんか…ダリアと結婚するって…」
もじもじと言葉を続けると、ダリアは少しだけ間を取って困ったように頭を掻いた。
僕は優しい狼を苦しませたくなくて何か気の利いた御祝いを伝えようとしたけれど、上手く出来ない。そもそもこんな状態で言うことではなかったと今更ながら思う。いよいよ沈黙が怖くなった頃、ダリアはゆっくりと口を開いた。
「そういう関係ではない」
「え……?」
「恋人じゃない。昔彼女が森で迷った時に助けたことがあって、それで恩を返そうとしているだけだ」
「そうなの?」
「嫉妬してくれたのか?」
カッとなって僕は身を引く。
離れることなんて許さないと言う様子で、ダリアは僕の腰を強い力で元の位置に戻した。熱い肉剣が腸壁を擦って、僕はまた高い声で啼く。
激しさを増す抽挿に意識が飛んでいきそうで、慌ててダリアの背中に手を回した。縮まる距離を気にする余裕なんか無いぐらい、その快楽は僕を責め立てた。
「ん、あんっ!なんか変、身体おかしいよ……!」
射精欲とはまた違う何かが奥の方からどんどん上へと這い上がって来る。分からないままに僕はただ、ダリアに突かれてひたすらに声を漏らした。
「待って、おねがい、あっ、イク…っ」
きゅんっと身体が縮むような感覚。
耐え切れないぐらい震えて、僕はダリアにしがみついた。
見下ろした自分の控えめな雄は相変わらず勃起状態にあるものの、何も出てはいない。訳が分からずに首を傾げていると、ダリアがおかしそうに笑いながら僕の頭を撫でた。
「ヒューイ、前立腺でイケるようになったんだな」
「……どういうこと?」
「これからもっと楽しめるってこと」
困惑する僕を抱き締めて、強い狼は意地悪な笑みを浮かべる。どういう意味かと問いただす前に僕の視界は反転した。
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