【完結】初夜をすっぽかされたので私の好きにさせていただきます

おのまとぺ

文字の大きさ
上 下
71 / 76
第五章 エバートン家の花嫁

71.二匹の終焉▼

しおりを挟む


 熱に浮かされたように身体を重ねて、痛みの逃し方や、より強い快楽の得方が徐々に分かってきた。キスされると呼応するようにお腹の奥がきゅんとする。だから、何度も何度もねだるように唇を求めた。

「……っあ、また気持ちい、そこいっぱい、」
「シーア、好き…ここ?」
「んっ、そう、それ……!」

 的確な場所を確認するように擦られると腰がガクンと揺れる。それが達するということなのだと、ようやく理解してきたけれど未だに慣れない。鈍い痛みと共に押し寄せる抗いがたい悦びに、気付けば囚われていた。


「………ん、シーア…っ、」
「あ、ああっ……!」

 つたない私たちの初夜は、ルシウスの吐精によって終わりを迎えた。腹の上に出された乳白色の液体は生温かく、それが本当に彼の身体から出たのだと思うと不思議だった。

 上体を起こすと、まだピクンピクンと動く雄の姿が目に入る。あまり可愛くはないと思っていたけれど、これが自分の中に入っていたのだと思うと、少しばかり愛しく感じた。そっと手で触れてみると、ルシウスは苦しげに身動みじろいだ。

「ごめん、まだ敏感で、」

 そう言って片手で顔を覆うから、滅多に見れない彼の恥じらう姿をもっと見てみたくて、私は揺れ動く先端をチロっと舐めてみる。

「……少し苦いのね」
「汚いよ、そんなことしなくて良い」
「貴方はいつも舐めてくれるわ」
「俺がするのとは違う」
「どうして?嫌なの…?」
「嫌じゃないけど……」

 困ったように目を閉じるルシウスの意思に反するように、項垂れていた彼の分身は私の手の中でムクリと起き上がった。突然のことに驚いて手を離す。

「え、なんでまた…?」
「一度で終わる方が難しいよ、ごめん」
「どうするの?」

 言った瞬間にハッとする。どうするも何も、それを鎮める方法は一つしかない。こんな馬鹿な質問をわざわざ口に出してするなんて、煽るようなもの。

 案の定、ルシウスは狡い顔をして私の目を覗き込む。
 伸びて来た手がサラサラと私の髪を遊んで、唇に触れた。

「シーアは、どうしたい?」

 誘うような低い声で聞かれると、もう何も言えない。ただギュッと目を閉じて私はルシウスに抱き付いた。どうやら思いは伝わったようで、また様子を伺うように熱を持った剛直が押し当てられる。

「……っはん、あ、あ…!」
「ん、痛くない?」
「痛くな、い……おく、おくまでして、」
「奥がイイ?」
「そう、おく突かれたら、すっごいチカチカするの…っお…!?」

 ぬるりと肉杭を引き抜かれたかと思うと、一気に最奥まで挿し込まれてヒュッと喉が鳴った。そのまま腕を引かれてルシウスの上に座らせられると、自分の体重でより深みへと沈む。

 何がなんだか分からない。やっと戻って来ていた理性が霞のように消えていく。下から突き上げられながら、胸の頂を吸われると頭の中は真っ白になった。

「……っあ…あ、え…?」
「シーアまたイっちゃったね、嬉しい」
「わたし、もう……待って、今それダメっ!」

 惚けていたらズリズリと親指で蜜穴の上の芽を擦られて、腰が弓なりに反った。

「…っ……締まる、」

 勢いよく引き抜かれたルシウスの雄から、また白濁した液体が出る。私の腹に擦り付けられる熱のこもったそれを、呆然と眺めながら脱力する身体に従ってベッドに倒れ込んだ。

 もう何も考えたくない。
 停止した思考と共に意識を手放した。


しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす

まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。  彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。  しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。  彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。  他掌編七作品収録。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します 「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」  某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。 【収録作品】 ①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」 ②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」 ③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」 ④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」 ⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」 ⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」 ⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」 ⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」

旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます

おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。 if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります) ※こちらの作品カクヨムにも掲載します

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

わたしのことがお嫌いなら、離縁してください~冷遇された妻は、過小評価されている~

絹乃
恋愛
伯爵夫人のフロレンシアは、夫からもメイドからも使用人以下の扱いを受けていた。どんなに離婚してほしいと夫に訴えても、認めてもらえない。夫は自分の愛人を屋敷に迎え、生まれてくる子供の世話すらもフロレンシアに押しつけようと画策する。地味で目立たないフロレンシアに、どんな価値があるか夫もメイドも知らずに。彼女を正しく理解しているのは騎士団の副団長エミリオと、王女のモニカだけだった。※番外編が別にあります。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

処理中です...