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第四章 蛇と狼と鼠
46.誰にも誰にも▼
しおりを挟む「……っ、ルシウス…」
ふわふわと湯の中に私を浮かせて、ルシウスの指がショーツの上から蜜壺の入口を撫でる。入りそうで入らない指が、焦ったくて思わず自分の手を添えた。
「早く…もっとして」
「シーアはせっかちだね」
「お願い、頭がおかしくなりそうなの」
自分よりも太い指を入口へと誘う。
水の中でもう意味なんて成さないショーツをずらして、ルシウスの指が少しだけ中に入った。
「………っあぁ、」
「痛くない?嫌ならすぐに言って」
「いやじゃない…もっと、してほしい」
「君を迎えに行って良かった。ロカルドがこんな姿を目にするなんて想像するだけで苦痛だ」
「ん…あ、ああ……ルシウス、」
「誰にも見せたくないんだ、シーア」
「あ、そこ…くすぐったい」
「ここ?」
クリクリと入口の上に隠れた小さな肉芽を弄られると、情けないほどに腰が跳ねた。びっくりして大きく目を見開く私の頭を、ルシウスは「大丈夫」と言いながら撫でる。
まったくもって大丈夫ではない。
初めての感覚が身体の中を支配している。
「なに…?貴方いったいなにを、」
「怖くないよ、力を抜いて」
「……っん、ああ、なんだか、変な感じ…」
「どんな感じ?」
「あっ、指でつまんじゃ…だめ!」
ルシウスの長い指がその小さな豆をキュッと押さえる。逃げ出したいのに巻き付いた彼の左腕はそれを許してくれない。だらしなく漏れる高い音が自分の声だと気付いた時には、もう意識が朦朧としていた。
「あ、あ……っ、ルシウス…」
「シーア、もっと聞かせて」
胸の先端を扱きながら割れ目を何度も指で擦られると、どんどん上り詰めるように気持ちが昂る。
「っああ、それ、気持ちい、両方すご、」
「水の中でも分かるよ。すごくぬるぬるしてる…」
「言わないで、あ、ぎゅってしちゃ…」
「ギュッてされるのすきなんだよね?可愛い、」
「ーーーっんあ!」
ルシウスが二本の指で硬くなった肉芽を摘む。
もうずっとまともな思考なんて出来ていないけれど、身体は馬鹿みたいにより強い刺激を求めるように熱を発していた。これがロカルドが飲ませた媚薬のせいだとしたら、本当に恐ろしいこと。
「……ルシウス、おねがい」
「どうしたの?」
「もっとほしいの…指、挿れて…?」
「怖くないの…?」
「貴方なら大丈夫、」
様子を窺うように、ルシウスの指がそろりと蜜壺の中に分け入る。少しずつ、少しずつ挿入されるゴツゴツした指の感覚に神経を集中しながら、私は小さな快感を拾い集めていた。
狭い道を進むにつれ、肉壁を擦る指の刺激も増す。
「……ぁあ、あ…指すごい…っん」
「締め付けきつい、痛くない…?」
「だいじょう、ぶ……っああ、」
今まで誰も侵入したことがないような場所まで、その指は慣らすように丁寧に触れる。絶え間なく漏れる声が恥ずかしくて、ルシウスに向き直った。
「キスしたいの…いい?」
「………っ!」
息を呑むルシウスの頬を包んで、困惑する碧色の瞳を見つめながら唇を重ねた。鳥のように軽く繰り返していたら、我慢ならなかったのか、頭の後ろに手を添えられて深く口付けられる。
キスしている間も、ルシウスの指は私の膣内を刺激するから、甘い痺れで頭はどうにかなってしまいそうだ。
欲張りな悪魔がもっと先を求めている。
私は唆されるように口を開いた。
「ルシウス、ベッドに行かない……?」
はしたないって思ってくれて結構。
踏み入れた足はもう抜けそうにない。
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