45 / 76
第四章 蛇と狼と鼠
45.横恋慕の恋泥棒▼
しおりを挟む正解なんてよく分からなかった。
大人たちが言うように、善悪で物事を判断するのであれば、きっとルシウスの行動を私は許すべきではない。無理矢理に仕組まれた横恋慕の一途な情に絆されるなんて、どうかしている。
でも、それで良いと思った。
溺れることは覚悟の上で受け入れるのだから。
「……シーア…夢みたいだ、」
何度も肌の上に落とされる接吻は、赦しを乞うようだった。私は濡れた服の上からルシウスの肩を掴んで、ただその心地良い愛撫に身を任せる。
いつも以上に敏感な身体は絶え間なく与えられる甘い刺激にただただ悦びの声を漏らすだけで、私はぬるくなった湯船の中で自分が溶けていくような気がした。
「……貴方のせいよ、」
「?」
「貴方が私にそんな目を向けるから、私は…」
「どんな目?」
私の両手を取ってルシウスは自分の顔へと近付ける。
「ドロドロの目、ずっと見てたら変になりそう」
「そうなってくれたらいいのに」
責任は取ってくれるのだろうか。水を吸ったブラウスを脱がせてルシウスは私の鎖骨の上に赤い痕を残す。ゆっくりと下へ降りていく唇は、ピンク色の下着の上で止まった。
「外しても良い?」
こくりと頷くと、すぐに背中に回った手がホックを外した。
恥ずかしくなって湯船の中に身を沈めると、ルシウスの両手に引っ張り上げられる。
私の身体をバスタブの縁に押さえつけるようにして、ルシウスは柔らかな胸に顔を沈めた。水槽の中の金魚みたいに私は何度も口をパクパクさせる。小さな抵抗や受け止めきれなかった快感は音となって浴室の空気を揺らした。
「……っん、ルシウス…」
「可愛い…どんな顔も全部見せてほしい」
「あ、そんなに噛んじゃ……っああ!」
痺れるような甘い痛みが胸の頂を襲う。
ルシウスは片手で大きく膨らみ全体を揉みしだきながら、空いた手を私のスカートの中に差し入れた。
チャプン、と水面が揺れる。節くれ立った指がショーツの上から割れ目をなぞると、お湯ではない何かが水に溶け出しているようで、思わずギュッと目を閉じた。
「大丈夫だよ、今日は挿入しない」
「本当…?」
「無理はさせたくない。君の準備が出来るまで待つよ」
「…そんなの一生掛かっても訪れないかも」
「それは辛いなぁ、」
笑いながら、指で柔らかい肉の上を擦られると脳の奥まで電流が走ったように気持ちよくなった。
「ルシウス…驚かないで聞いて」
「どうしたの?」
「私、ロカルドから媚薬を盛られたの。本当はずっとすごく身体が暑くて気持ち悪い」
「……シーア、」
「どうしたら良いか教えて…?」
「………っ」
ルシウスの喉が上下して、瞳の中にぼんやりと光が灯ったのが見てとれた。
もっと触ってほしい。もっともっといっぱい。
遠慮がちに優しく触れる手が好きだったけれど、今はそれでは物足りなく感じていた。上りきれない軽い刺激の連続は、まるで生殺し状態で、こんなこと直接は言えないけれど、もっと本能を剥き出しにして求めて欲しかった。
「お願い、ルシウス……」
大きな手に自分の指を絡ませる。
精一杯の懇願を込めて見つめると、ルシウスは観念したように目を閉じた。
50
お気に入りに追加
1,548
あなたにおすすめの小説
男友達を家に入れたら催眠術とおもちゃで責められ調教されちゃう話
mian
恋愛
気づいたら両手両足を固定されている。
クリトリスにはローター、膣には20センチ弱はある薄ピンクの鉤型が入っている。
友達だと思ってたのに、催眠術をかけられ体が敏感になって容赦なく何度もイかされる。気づけば彼なしではイけない体に作り変えられる。SM調教物語。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
淫らなお姫様とイケメン騎士達のエロスな夜伽物語
瀬能なつ
恋愛
17才になった皇女サーシャは、国のしきたりに従い、6人の騎士たちを従えて、遥か彼方の霊峰へと旅立ちます。
長い道中、姫を警護する騎士たちの体力を回復する方法は、ズバリ、キスとH!
途中、魔物に襲われたり、姫の寵愛を競い合う騎士たちの様々な恋の駆け引きもあったりと、お姫様の旅はなかなか困難なのです?!
迷い込んだ先で獣人公爵の愛玩動物になりました(R18)
るーろ
恋愛
気がついたら知らない場所にた早川なつほ。異世界人として捕えられ愛玩動物として売られるところを公爵家のエレナ・メルストに買われた。
エレナは兄であるノアへのプレゼンとして_
発情/甘々?/若干無理矢理/
亡くなった王太子妃
沙耶
恋愛
王妃の茶会で毒を盛られてしまった王太子妃。
侍女の証言、王太子妃の親友、溺愛していた妹。
王太子妃を愛していた王太子が、全てを気付いた時にはもう遅かった。
なぜなら彼女は死んでしまったのだから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる