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第二章 エバートン家の別荘
23.知識と経験▼
しおりを挟むルシウスの手は驚くほど優しかった。
ふわりふわりと壊れものを扱うように優しく双丘を撫でるから、私はまるでマッサージでもされているような気分だった。身体の中の汚いものが出て行くみたいに、穏やかな心地良さに包まれる。
男女の行為がこういった柔らかなものであるなら、私は喜んで受け入れたい。姉たちに聞いた話では、主に夜間に行われるその儀式は、初めはひどく苦痛で涙を流すものだという。随分と違うじゃないの、と安心していると、バスローブから侵入してきたルシウスの指が胸の頂を押さえた。
「……っはぅ!?」
奇妙な動物の鳴き声のような声が出た。逃げ惑う私の腰を彼は左腕で押さえ込んで、また執拗に指先で突起を掠める。
「ん…あ、あ、それダメっ!」
「シーア…感じてるの?」
「……ちがっ、そんなんじゃ…!」
トントンと規則的に弾かれると、連動するように腰が動いた。
「嬉しい。俺の手でシーアが反応してくれるなんて」
「……っはぁ、あ、耳…!?」
やわく両胸を揉みしだかれながら耳の中に舌を入れられると、もう何がなんだか分からなかった。聞いていた話と違う。苦痛で涙を流すというよりは、これは、まるで。
夢見心地で荒い息を繰り返す私を仰向けにさせて、ルシウスはローブの紐を解く。露わになった白肌を隠そうと手を伸ばすよりも先に、ピンと張った先端が口に含まれた。
「…んあ……っ!」
「すごい…コリコリしてるね、気持ちい…?」
「ああっ、ルシウス、いや、」
「嘘吐き。じゃあこっちに聞いてみる?」
「ーーーっひぁ!?」
脚の間から差し込まれた指が、そっと秘部を撫でた。
自分でも分かっていた。トロトロと何かが溢れるように太腿を濡らしていたこと。それがどういったものかは知らないけれど、ルシウスから与えられる刺激が原因であることは明白で、私はただ彼に気付かれないように脚を閉じていたのに。
「いや、そっちはダメなの、まだ…!」
「そうだね。楽しみは取っておこう」
暗闇の中で、ルシウスが指に絡み付いた蜜を舐め取るチュッという音がして、私は恥ずかしくて泣きたくなる。
「もう少し胸、触ってもいい?」
「ダメだって……っあ、ああ!」
「シーアの声…可愛い」
口の中で転がされた胸の突起は、焼き切れそうなほどジリジリする。絶え間無く与えられる快感に甘く脳が痺れた。
だから、用心しようと思ったのだ。
あんなに熱い目で見ていたルシウスの手に捕まったら、どうなるかぐらい想像できたはずなのに。結局逃げることなんて出来なかった。
脚に当たる彼自身が大きさを増していることは、既に分かっている。私の奥深くから湧き上がるこのズクズクした痛みを治める方法も、本当は知識として既知のこと。
「……キスさせて、ルシウス」
私の胸から舌を離してルシウスは驚いた顔を見せた。
その頬に手を添えて、深く口付ける。
精一杯の好意がどうか、届くように願って。
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