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第二章 ウロボリア王立騎士団
閑話 プラムのさくせん2◆プラム視点
しおりを挟むわたしのなまえはプラム。
三さいで、こどもえんに通っている。
プラムは今日、とってもすごい仕事がある。ママとパパといっしょにまものをやっつけに行くのだ。ママとパパは知らないけれど、じつは今日のためにプラムはとっておきのアイテムをつくった。
アンジェリカちゃんと二人で、こどもえんでもらった紙をいっぱいくっつけて丸めた剣。
先生たちには「ママに見せようね」って言われたけど、プラムはリュックにかくした。だって、ママとパパがピンチのときにプラムがこれでお助けするから。
さいきんママとパパはいいかんじ。
パパはお家に帰るのが前より早くなった。
プラムはすっごくうれしい。
ママは何も言わないけど、たぶんママも嬉しいと思う。だってママは前よりたのしそうだし、パパがごはんを食べてるときもニコニコしてる。
かわいいママとかっこいいパパ。
強くてかしこいプラムの三人でさいきょうだね!
◇◇◇
「んきゃ~かぁわいい!頬っぺたもっちもち!」
「ぐぅ……」
「久しぶりだな、プラム。お兄さんのこと憶えてるか?」
「お兄さんってか、おっさんでしょう」
「おいコラァ!」
にぎやかなクレアとダース。
この人たちは、ママがお仕事でおそくなったときに一回だけプラムをむかえにきた。ママもパパもいなくてさみしかったけど、いっぱいしゃべるクレアと声がおっきなダースといっしょにいたから、プラムは泣かなかった。
その日は、パパがママをだっこしてかえってきたの。パパは王子さまみたいでかっこよかった。ママはパパがかっこいいときをいつも見てないから、ざんねん。
「プラムさん、飴ちゃん食べますか?」
「………いる」
「いちごとミントがありますよ」
「プラム、ミントがいい」
「大丈夫ですか?少し子供には辛いかもですが…」
「おとなだからいい」
プラムはミントが良かったのに、フィリップがくれたのはいちごのキャンディだった。
みんなプラムのことをこどもって言うけど、プラムがいつもこんなにみんなのこと見てるって知ったらぜったいビックリする。プラムはダースの服にタグがついてるのも知ってるし、フィリップのかばんに大きなブタのぬいぐるみが入ってることも知ってる。
プラムはいっつも見てるから。
ママとパパのことだって、いっつも。
「ねぇ、ローズの声がしないんだけどー?」
「そういや喋らねーな。腹痛か?」
「え…!僕、薬持ってますよ!」
「皆さん、大丈夫ですよ。少し静かにしましょうね」
いちばん前に座ったクレアとダースのことを後ろの列のフィリップがしかる。おくすりを持っているのはたぶんメナードだとおもう。プラムはメナードのことをあんまり知らない。パパは「しんじん」って言ってた。
プラムは窓を見るフリをしてこっそりとなりを向く。
プラムの手をにぎったママはあたまをこてんとパパの肩にのっけてねていた。パパはそとのけしきを見てたけど、プラムと目があってゆびをお口に当てた。
(パパ、シッ!だね……)
プラムはかしこいからわかる。
パパはたぶんすごくうれしいんだと思う。
プラムはいっつもママとパパを見てるけど、パパはもっとおしゃべりしたほうがいい。クレアやダースみたいにいっぱいお話したら、ママもきっともっとパパのことすきになるのになぁ。
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