5 / 45
05 飯炊き女はメイドになる3★
しおりを挟む「どうかしたか?」
ケロッとした顔のネロが首を傾げる。
オリヴィアは動揺を悟られないように努めながら、記憶の中の朧げなそれの形を引っ張り出そうとしていた。自分とて生娘なわけではない。経験人数が多いわけではないけれど、おおよそのことは理解しているつもりでいた。
だけども、どうだろう。
未だかつてこんなものを相手したことはない。
「あ、続きは明日にしましょう」
「は?」
「もう夜も遅いですし、私は明日六時に起きて陛下の朝ごはんを作る予定があるのです。寝不足をしては寝坊する恐れがありますから」
「お前はここで止めろと言うのか?」
ヒクッとネロの口角が上がるのを見た。
もちろんオリヴィアとしても出来れば最後まで務めを全うしたい。けれども、暫くご無沙汰であった自分の身体には少しばかり荷が重い気がする。
「陛下、簡潔に言いますが私には大き過ぎます」
「そんなことを言わないでくれ」
「命の危険を感じるので今日はご遠慮したいです。陛下がメイドを寝取る特殊なプレイを楽しみたいのは理解出来ますが、今晩はどうかお鎮めください」
「おい、皆まで言うな。鎮めたくても鎮まらない」
「しかし………」
オリヴィアはうんうんと頭を悩ませる。
その間にもどういうわけか上を向いて反り返るブツは大きさを増しているように見えた。お願いだから一旦冷静になってほしい。鉄仮面の皇帝なんだから、己の分身ぐらい容易く機嫌を取ってくれれば良いものを。
悩み続けるオリヴィアの方をちらっと見遣ると、ネロは「こういうのはどうだ」と口を開いた。
「なんですか?」
「お前は見たところ良い脚をしている。挿れなくて良いから、少しだけ挟めてくれないか?」
「………確認ですけど、陛下って皇帝の自覚あります?」
「自覚?まぁ、一応あるが」
王宮に勤める他の女たちが知ったら卒倒しそうだ。
天下の皇帝様が彼の息子の憤りを鎮めるために飯炊き女ごときに素股をお願いしている。それいったいなんて地獄絵図。もういっそ高級娼婦でも呼んだらどうか。
しかし、報酬のためには仕方ない。
むしろ合体の手間が掛からない分、感謝。
「分かりました。私は不慣れなので陛下がリードしてください。とりあえず横になれば良いですか?」
「そうだな。すまないが、失礼する」
言い終わる前に背後からぬっと見知らぬ何かが太ももに押し当てられた。短いスカートを託し上げて、大きな手がオリヴィアの尻肉を揉む。
「………っひゃ!」
「お前は胸ではなく尻に栄養が行ったようだな。色々な女を抱いて来たが、肌のキメが細かくて良い」
「分析はいいので早く終わっていただけますか!」
「分かった」
ぐぐっと下着越しに太いものが擦れる。
こんな行為ではたしてネロは気持ち良くなっているのだろうか、と恐る恐る首を回した先で目を閉じて悦に浸る顔があったので絶句した。
「……あぁ…オリヴィア、」
「………ッ!」
ゾクゾクする。
体格差のある身体で押し潰されながら、オリヴィアは頭がぼうっと熱を持ったみたいに感じた。鉄仮面と恐れられていた我が君主が、堪え切れないように短く息を吐く。
(なんでそんな顔をするの?)
ネロは額から汗を流しながらオリヴィアの背中に顔を近付ける。不意にうなじを舐め上げられて変な声が漏れた。
「へ、陛下……!っやぁ…!」
「ご主人様と呼んでみてくれないか?」
「…………」
「後生の頼みだ。恥じる必要はない」
仮にも皇帝である彼には少し恥じらいを持ってほしい。
しかしながら、伸びて来た手が前に回って胸の辺りをそわそわと動くので、もう何もかもどうでも良くなってきた。やがて両の乳房がすっぽりとネロの手に納まる。
「……ご…主人さま…?」
「あぁ、良いな。すごく良い」
「ご主人様、手の動きが、なんだか…!」
「うん?」
そろりそろりと丸く膨らんだ球体を優しく撫でていたネロの手が、急にギュッと突起を摘む。ビリリッと鋭い刺激が走ってオリヴィアの腰が文字通り浮いた。
「───っんぁ…!?」
頭の中が真っ白になる。
いったいどういうことだろう。分かっているのは自分が履いている下着がどうやらこれ以上は使いものにならなくなったということ。皇帝は満足げに喉を鳴らして腰の動きを速めた。
「オリヴィア、少し漏らしたな。下着を汚してしまってすまない。あと少しで終わるから我慢できるか?」
「が…まん……?」
聞き返すとネロはにこりと笑う。
返答はなく、ただ大きな両手がオリヴィアの腰を押さえた。
「っは、可愛い……期待以上だよ、オリヴィア」
「まって、あ、いやだ、はやいのだめ…ッ!」
「…………っ、出る」
ドクッと熱いものが股の間でじんわりと広がる。
オリヴィアは肩で息をしながら、自分の後ろで同じく荒い息を繰り返すネロの姿を見つめた。いつもより乱れた白い髪がオリヴィアの肌に触れそうだ。
そっと指先を伸ばしてその頭に触れてみる。
と、瞬時に起き上がったネロが鋭い目を向けた。
「あ……ごめんなさい、綺麗で…」
「綺麗……?」
「陛下の髪が、美しかったので」
しどろもどろのオリヴィアの言い訳を聞いてネロは少しだけ驚いた顔をして見せた。しかしすぐに「そんなことか」とそっぽを向いてしまう。
宙ぶらりんになった右手をどうしたものかと見つめていたら、ネロは再び青い瞳でこちらを見た。
「こんなものでよければ、いくらでも触って良い」
「………っふふ、ありがとうございます」
オリヴィアはその言い方に一人笑って、飽きるまで大きな白い猫の毛を撫でた。ネロもまた、目を閉じて気持ち良さそうにしていたから、そこまで嫌ではなかったのだと思う。
482
お気に入りに追加
992
あなたにおすすめの小説
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
執着系皇子に捕まってる場合じゃないんです!聖女はシークレットベビーをこっそり子育て中
鶴れり
恋愛
◆シークレットベビーを守りたい聖女×絶対に逃さない執着強めな皇子◆
ビアト帝国の九人目の聖女クララは、虐げられながらも懸命に聖女として務めを果たしていた。
濡れ衣を着せられ、罪人にさせられたクララの前に現れたのは、初恋の第二皇子ライオネル殿下。
執拗に求めてくる殿下に、憧れと恋心を抱いていたクララは体を繋げてしまう。執着心むき出しの包囲網から何とか逃げることに成功したけれど、赤ちゃんを身ごもっていることに気づく。
しかし聖女と皇族が結ばれることはないため、極秘出産をすることに……。
六年後。五歳になった愛息子とクララは、隣国へ逃亡することを決意する。しかしライオネルが追ってきて逃げられなくて──?!
何故か異様に執着してくるライオネルに、子どもの存在を隠しながら必死に攻防戦を繰り広げる聖女クララの物語──。
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞に選んでいただきました。ありがとうございます!】
泡風呂を楽しんでいただけなのに、空中から落ちてきた異世界騎士が「離れられないし目も瞑りたくない」とガン見してきた時の私の対応。
待鳥園子
恋愛
半年に一度仕事を頑張ったご褒美に一人で高級ラグジョアリーホテルの泡風呂を楽しんでたら、いきなり異世界騎士が落ちてきてあれこれ言い訳しつつ泡に隠れた体をジロジロ見てくる話。
若社長な旦那様は欲望に正直~新妻が可愛すぎて仕事が手につかない~
雪宮凛
恋愛
「来週からしばらく、在宅ワークをすることになった」
夕食時、突如告げられた夫の言葉に驚く静香。だけど、大好きな旦那様のために、少しでも良い仕事環境を整えようと奮闘する。
そんな健気な妻の姿を目の当たりにした夫の至は、仕事中にも関わらずムラムラしてしまい――。
全3話 ※タグにご注意ください/ムーンライトノベルズより転載
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる