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第4章 闇の聖獣 クーガ
第24話
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「玖珂 大翔様、無礼を承知でお願いが御座います。何卒、お聞き届け頂きたい…… 」
そう言って、”お座り”の姿勢で頭を下げてきたんだが、【精霊樹】で捉えた反応は、何と噂の《クーガ》だった。
しかも何やら俺に頼みがあると来た。というか、この里に住む者は精霊まで喋り方が堅いのか?う~ん、俺はもっとざっくばらんな方がいいんだがなぁ……?
「いきなり「頼みがある」と言われてもなぁ…、アンタの方が俺よりよっぽど色々出来るんじゃないのか? 」
「何を仰います。我等は確かに上級精霊ではありますが、所詮は闇の精霊様の眷属でしが御座いません。しかし、貴方様は最高神のお一人が直接お招きした………」
ダァーーーーシュッ!!
ちょっ!? おまっ! 何さらっとトンデモ無い秘密を口走ってくれてやがんだ、コイツはっ!?
ガシッと《クーガ》にヘッドロックを決めて、笑わない微笑みでその長い耳に口を寄せて小さな声で囁くように言う。
「ちょーっと黙ろうか?頼みがあるんだろ? ペラペラペラペラ余計な事をくっちゃべってんじゃねえぞ? それとも…、力づくで黙らせて欲しいか?ん?ん? 」
「も、申し訳ありません!………もしや内緒にしてみえたのでしょうか? 」
やっと自分が余計な事を喋ってしまっていたと分かったのか、慌てて口を噤む《クーガ》。
真っ黒なクセに青くなったように見えるのは気のせいだろうが………。
ふとセイリアを見れば、守護聖獣様の出現だけでも驚きなのに、突然の俺の”暴挙”とも言える行動に、完全にフリーズしてしまっている。………どうすんだよコレ………。
「まったく………、はあ、まあいい。で、「頼み」ってのは何なんだ?言ってみろよ」
これ以上いらん事は言うんじゃ無いぞ?と、視線で釘を刺しながら開放してやり話の先を促すと、やたらと恐縮しながら「頼み」について話し始めた。
「はっ!玖珂 大翔様には誠にご迷惑を… 『いいから!さっさと話せ!! 』 …はっ!申し訳ありません!! 現在、この里が嘗て無い程の危機に曝されようとしております。このままでは里人達に少なくはない犠牲が出るでしょう。これを回避する為に、是非御身の御助力を賜りたく… 」
いかんな?恐縮し過ぎて返って回りくどくなっている。しかも堅い、堅すぎる………。
「分かった。その”危機”とやらを具体的に教えてくれ。ただ、もっと砕けた話し方で頼むよ。話し辛くてしょうがない 」
「砕けたですか?むぅ…、善処致します 」
まだ堅いがまあいいか?
「それで?」
「はい、実は今、そこな娘を売ろうとした裏切り者の男が蒔いた魔獣寄せの餌【邪釣餌】によって、万を超す魔獣がこの秀真の國に向かって進軍して来ております。未だ幾ばくかの猶予はありますが、もしこのまま何も手を打たずに群れが到達すれば、里に甚大な被害が出る事は間違いありません 」
《クーガ》から聞かされた話の内容は、確かにトンデモない”危機”だった。
「な…っ!? それはまことなのですか、《クーガ》様!? 」
セイリアが真っ青になって口元を戦慄かせている。
「うむ、森中に存在する精霊達からの報告だ、間違い無い。既にジェイーネの爺にも手の者から【邪釣餌】の報告が入っているだろう 」
「そんな…っ!? 」
《クーガ》から聞かされた緊急事態に、どんどんセイリアの顔から血の気が引いていくのが分かる。
「それで?俺は何をすればいいんだ? 」
「ありがとうございます。この里のサムライ達は屈強です。ですが、このまま普通に戦っては多数の犠牲が出るでしょう。ヒロト様には、私と共に里の外へと赴き、里に到達する魔獣の数を極力減らして頂きたいのです 」
なるほどな。だが、結構な無茶を言う。《クーガ》の言葉を信じるなら、相手は万を超えている数なんだが?
「分かった…、と言いたいが、少し無理があり過ぎないか?二対万だぞ? 」
俺の言葉に、ハッとした顔になったセイリアが慌てて口を挟んできた。
「恐れながら!《クーガ》様、ヒロト様は確かにお強いです。しかし、それはあまりに無謀で御座います!」
俺の身を案じてくれているのだろう、セイリアはその身を僅かに震わせながら、しかし聖獣に対しての”畏れ”を必死に堪えながら《クーガ》に訴えかけた。
「ふむ…、里長の娘よ、もしや昼間のジェイーネの爺との試合が、この御方の実力の全てと勘違いしてはおらんか? 」
「…っ!? それはどういう? 」
「あんなモノは、この御方の実力の一部でしかない。ヒロト様がその気になればこの里程度、一瞬で火の海に沈むであろうよ 」
またいらん事をペラペラと…!
だが、まあ万を超す魔獣と戦うというのなら、《クーガ》の口からこう言ってもらった方が心配させなくていいかもしれんな。
驚きに固まっているセイリアを取り敢えず横に置き、再度《クーガ》へと話しかける。
「それくらいでいいだろ?だが、俺とお前だけで、この里の周囲全体の面倒は見れないぞ?そこはどうするんだ? 」
いくら五千人程度の小さな里と言っても、それなりには広い。魔法による”面”の攻撃をしたところで、たとえ壁があったとしても背後から里に入り込まれたらアウトだ。
「はい、そこは抜かりありません。地の精霊、森の精霊達に頼み、木を動かし土を盛り上げて、北と南の門の方向からしか里に近づく事は出来ないようにしております。そして、里のサムライ達には比較的弱い魔獣の集まる南側を、ヒロト様には森の奥に面し、強力な魔獣が集まるであろう北側の守りをお願いしたいのです 」
よく考えているな、いくらこの里のサムライ達が精強だと言っても、里の全周囲を警戒、防衛しながらでは満足には戦えない。しかし、一定方向に敵が固まっているのなら、不意打ち等を気にする事無く火力、戦力を集中することが出来る。
「分かった。あと、先に言っておくぞ。俺が手加減無しで魔法を放ったら、結構な範囲の森が更地になるぞ?それはいいのか? 」
これは言っておかなければならないだろう。あのプテラゴン達の居た山で、魔法の試し撃ちをした際には、ハッキリ言って地形が変わった。おまけに此処は森の中だ。火系の魔法を放てば火事の心配だってあるだろう。
こうした森は、破壊するのは一瞬で出来るが、再生するにはまた長い年月を必要とするからだ。
俺の問いにほんの少し躊躇いはしたものの、覚悟を決めた目で《クーガ》は答えた。
「致し方ありません。此処は【精霊樹】もある聖地にも等しい場所。魔獣共に踏み荒らさせる訳にはいかないのです。況してやその様な場所で、”子供達”の血を流すことなどあってはなりません!! それに、事が済めば地や緑の精霊達が【精霊樹】の為に頑張って再生を促すでしょう。普通よりも何十倍も早く森は再生するはずです。どうぞ存分に御力を発揮なさって下さい 」
それを聞いて安心した。それに、”子供達の血を流させてはならない”か………。いいじゃないか、気に入ったぜ。
「よし、猶予はあまり無いんだったな? なら、すぐに動こう。え~と、”名前”は何て言うんだ? 」
そう言えばまだ名前を聞いていなかったな?いつ迄も《クーガ》のままでは呼び難いだろう。
「”名前”ですか?申し訳ありません、我々【精霊】には個別の名前は無いのです 」
「そうなのか? ん~?呼びにくいな、じゃあ、今だけでも俺が仮の名前で呼んでもいいかな? 」
「なっ!名前を付けて頂けるのですか!? どうぞ!如何様にでもお呼び下さい!! 」
俺がそう提案を持ちかけると、何だか凄い勢いで食いついてきた。何だかものすごくキラキラして期待に満ちた目で見詰めてくるんだが…?
「ヒ、ヒロト様!?名前を付けるのですか!? 」
何だかセイリアが慌てている感じだけど、何かおかしな事でもあるのか?
「娘!要らぬ事を言うで無い!! 急いでいるのだ!暫し黙っておれ!! 」
「ひっ!?もっ、申し訳ありません! 」
ガァウッ!!と威嚇した感じで《クーガ》がセイリアを嗜める。
「こらっ!俺の可愛い許嫁を虐めるんじゃねえよ !」
「はっ!?も、申し訳ありません!!」
今度は逆に縮こまる《クーガ》に赤くなってモジモジしだすセイリア。いつもながら話が進まない………。
『名前かあ?単純な見た目だと「クロ」かな?けどまた安直だってアフィーに言われそうだしなぁ………。アイ、何か良いの無いかな? 』
『そうですね…。では、「クロ」を準えて「ノワール」なんてどうですか? 』
おお!さすがアイだ!「ノワール」ね、もっと縮めて「ノワ」………「ノア」!!
『「ノア」なんてどうだ? 』
『いい名前ですね!いいんじゃないですか? 』
正に脳内会議で決定した名前を《クーガ》 にどうかと尋ねてみる。
「『ノア』なんてどうだ? 」
俺が名前を告げた途端、《クーガ》の身体が強い光を帯びる。しかし、それも一瞬で収まった。
しかし、今度は『ノア』と俺の間に強い魔力のパスが生まれたのを感じる。
「おおぉぉっ!? ”私の名前”は『ノア』!!大変良い名です。ヒロト様、ありがとう御座います!これよりはこの『ノア』、誠心誠意、粉骨砕身の決意でヒロト様に御仕え致します。宜しくお願い申し上げます!! 」
途轍もなく感激した声で、更に平身低頭で従者宣言をしてくる『ノア』。
「はぁ!?いったい何のことかさっぱり分からんのだが? 」
「あの…、ヒロト様。精霊に”名を与える”という事は、契約を結び配下に置く、と言うことなのです。ですが、まさか《クーガ》様の方から望んで契約精霊になられるなんて………!? とてもではありませんが、信じられません……… 」
何だと!?聞いてないぞそんな事は!
「くぉらっ!! ノア!知ってて黙ってやがったな!質の悪い悪徳商法じゃねえかっ!? 」
「も、申し訳ありません!! アクトクショウホウが何かは分かりませんが、どうしてもヒロト様から名前を頂きたかったのです。どうかお許し下さい! 」
はぁ………、またもや一人?増えてしまった…。まあいい、強力な精霊みたいだし、心強い仲間が出来たと思えばいいか?それよりも、
「まあいいよ、それよりこんなところでグズグズしてるヒマは無いんだろ?そろそろ行くとしよう。そうだ、セイリア!そういう訳で俺達は北側に向かうよ。この事を爺さん達に伝えてくれるか?北側は任せてくれって 」
「お待ち下さい!ヒロト様!! 」
もうあまり時間も無いだろう。ノアを促して北側に向かう為、爺さんへの伝言をセイリアに頼もうとすると、慌てた様子で引き留めてきた。
「どうしたんだ、セイリア?もうあまり時間は無いと思うぞ。もし、引き留めるつもりなら…… 」
「いいえ、引き留める気はありません。クーガ…いえ、ノア様のお言葉にあった通り、今は私もヒロト様の御力を信じております。そうではなく、私も連れて行って欲しいのです!! 」
はっ!? いやいやちょっと待て、そんなのは絶対無理だろう!
「駄目だっ!! Lv37のセイリアでは連れて行けない。里の危機に居ても立っても居られないのは分かる。だが…『違います!そうじゃなくて!! 』…… 」
俺の言葉に被せるようにして、叫ぶようにセイリアは訴えてくる。
「そうじゃないんです!私は…、私はヒロト様と共に居たいんです!! 確かに里の事は心配です。ですが…、ヒロト様が死地に赴くというのに、私だけが安穏としてなどいられません! 決してお邪魔は致しません、お願いですからお側に居させて下さい! 」
必死な表情で縋り付いてくるセイリア。だが、逆に俺は余計に訳が分からなくなってしまった…。
「何故だ?この里には色々な想いも、沢山の思い出だってあるだろう。翻って、いくら出会いが強烈だったとしても何故そんなに俺に拘る?聞いただろ、北側は強力な魔獣が集まる。しかも戦力比はセイリアを加えたとしても三対万だぞ?行けば死ぬ確率の方が高いかもしれない。どうしても戦いたいなら爺さん達と南側で戦えばいいじゃないか? 」
わざわざ危険度の高い方へ行かなくても、その方が俺も安心して戦えるしな。そう思っての言葉だったのだが、セイリアはポロポロと涙を流しながら、睨むのではなくキッっと眥を吊り上げてその”想い”を俺に叩きつけるかのように叫んだ。
「馬鹿にしないで下さい! 私は武家の娘、例え出逢ってからの時間が短かかろうと、一度我が心に決めたのです。生涯この想い、誓いは変わりません! 私は…私は貴方の『妻』です!! 」
大声で泣くのではない。しかし滂沱と涙を流して、ただ一心に見つめてくるセイリアを俺は….、
セイリアの呼吸が止まってしまいそうになるほど強く抱きしめていた。
「すまなかった….。腹が決まっていなかったのは俺の方だな。分かった、お前は俺が守る。何があろうと、どんな事をしてでも絶対にだ!! 」
「….!? はい…はい!! どこまでもついて行きます! 」
セイリアも俺の背中に腕を回して、ギュっと想いの全てを伝えるように抱きしめ返してくる。
このままずっとこうしていたい…、そう思うほどの幸せな時間だったが、もう猶予は残っていない。名残惜しいが、引き剥がすようにしてセイリアから身体を離す。
「ノア!お前に初めての命令だ。セイリアを”護れ”。絶対にだ。毛ほどの傷を付けさせる事も許さん。…分かったな? 」
「ぎ、御意に御座います!御命必ず遂行致します! 」
ああ、つい”威圧”が漏れてしまったか。まあいいや、俺にとってかけがえの無い『妻』だ。死ぬ気で守ってもらおう。
「よし、じゃあセイリア、もう時間が無い。10分で装備を整えて来い。それから…、ラーナちゃん!そこにいるんだろう?出て来いよ 」
そう告げると、廊下の隅の暗がりからラーナちゃんが姿を現した。
「はい、御用は何でしょうか、”御主人様”。何なりと御命令をお申し付け下さい 」
跪いて頭を垂れるラーナちゃん。 ん?なんか俺の呼び方がおかしかった気がするが、まあ、今はいいか。
「今の話は聞いていたな? 俺はセイリア、ノア…《クーガ》と共に北側に行く。この事を爺さんやお父さん達に伝えてほしい。一応の警戒の者を除き、全ての戦力は南側に集めてくれて構わない。こちらは任せろってな。….ああ、それからセイリアの事は俺が”絶対”に守る。心配するな、って事も伝えてほしい。いいな? 」
「はっ!御命了承致しました。先代様、御屋形に御言葉をお伝え致します 」
もう一度、深く頭を下げるとスッと立ち上がり、足早に駆けていくラーナちゃん。
さて….…、あとは?
『アイ、魔法能力の全開”無制限”使用を許可する。《魔弾》の制御と俺が指定する魔法以外は使用に関しての判断も全て任す。全力全開で打っ放して構わん。殲滅戦だ、全て薙ぎ払え 』
『イエス、マイマスター。魔法の全開使用、自己判断による攻撃目標の設定、及び威力、範囲、弾種その他の方法等の決定権限を一時的に私に移します。マスターの《魔弾》及び指定魔法に関しては並列処理出来ますので全て問題ありません。….この里を、「セイリア」さんの大事な人達を、絶対に守りましょう、マスター!! 』
『ああ、頼りにしてるぞアイ。じゃあ、行くか?”出撃”だ! 』
『イエス、マスター!! 』
最も信頼の置けるパートナーも”やる気”は充分、こちらの準備は完了だ。アイと話をしながら、俺もアフィーから貰った装備を身に付け、腰に愛用の大型拳銃と新しい相棒『颶風』を差している内に、装備を整えたセイリアも戻ってきた。
「ヒ、ヒロト様?お顔が….… 」
横で見ていたノアが若干引いている感じが分かる。
ああ….、また”嗤って”いるんだな、俺は。
〈「どうしたヒロト?随分と楽しそうだな?」〉
〈「まーったく、このサル頭はどーしようもねーバトルジャンキーだなー 」〉
今の俺の顔を見たら、きっと親父や大輔はこう言って揶揄うんだろうな。いいぞ、だんだん気分が高まってきた….!
「よし、じゃあセイリア、ノア。….行こうか…! 」
少々バタついたが、冴え冴えとした月光の下、戦いへの一歩を踏み出す。
俺の〈気配察知〉にもそろそろ里の周辺へと辿り着いた魔獣の反応がちらほらと現れてきている。
気分が昂ぶる。血が滾る。
……さあ………やるか….……!
そう言って、”お座り”の姿勢で頭を下げてきたんだが、【精霊樹】で捉えた反応は、何と噂の《クーガ》だった。
しかも何やら俺に頼みがあると来た。というか、この里に住む者は精霊まで喋り方が堅いのか?う~ん、俺はもっとざっくばらんな方がいいんだがなぁ……?
「いきなり「頼みがある」と言われてもなぁ…、アンタの方が俺よりよっぽど色々出来るんじゃないのか? 」
「何を仰います。我等は確かに上級精霊ではありますが、所詮は闇の精霊様の眷属でしが御座いません。しかし、貴方様は最高神のお一人が直接お招きした………」
ダァーーーーシュッ!!
ちょっ!? おまっ! 何さらっとトンデモ無い秘密を口走ってくれてやがんだ、コイツはっ!?
ガシッと《クーガ》にヘッドロックを決めて、笑わない微笑みでその長い耳に口を寄せて小さな声で囁くように言う。
「ちょーっと黙ろうか?頼みがあるんだろ? ペラペラペラペラ余計な事をくっちゃべってんじゃねえぞ? それとも…、力づくで黙らせて欲しいか?ん?ん? 」
「も、申し訳ありません!………もしや内緒にしてみえたのでしょうか? 」
やっと自分が余計な事を喋ってしまっていたと分かったのか、慌てて口を噤む《クーガ》。
真っ黒なクセに青くなったように見えるのは気のせいだろうが………。
ふとセイリアを見れば、守護聖獣様の出現だけでも驚きなのに、突然の俺の”暴挙”とも言える行動に、完全にフリーズしてしまっている。………どうすんだよコレ………。
「まったく………、はあ、まあいい。で、「頼み」ってのは何なんだ?言ってみろよ」
これ以上いらん事は言うんじゃ無いぞ?と、視線で釘を刺しながら開放してやり話の先を促すと、やたらと恐縮しながら「頼み」について話し始めた。
「はっ!玖珂 大翔様には誠にご迷惑を… 『いいから!さっさと話せ!! 』 …はっ!申し訳ありません!! 現在、この里が嘗て無い程の危機に曝されようとしております。このままでは里人達に少なくはない犠牲が出るでしょう。これを回避する為に、是非御身の御助力を賜りたく… 」
いかんな?恐縮し過ぎて返って回りくどくなっている。しかも堅い、堅すぎる………。
「分かった。その”危機”とやらを具体的に教えてくれ。ただ、もっと砕けた話し方で頼むよ。話し辛くてしょうがない 」
「砕けたですか?むぅ…、善処致します 」
まだ堅いがまあいいか?
「それで?」
「はい、実は今、そこな娘を売ろうとした裏切り者の男が蒔いた魔獣寄せの餌【邪釣餌】によって、万を超す魔獣がこの秀真の國に向かって進軍して来ております。未だ幾ばくかの猶予はありますが、もしこのまま何も手を打たずに群れが到達すれば、里に甚大な被害が出る事は間違いありません 」
《クーガ》から聞かされた話の内容は、確かにトンデモない”危機”だった。
「な…っ!? それはまことなのですか、《クーガ》様!? 」
セイリアが真っ青になって口元を戦慄かせている。
「うむ、森中に存在する精霊達からの報告だ、間違い無い。既にジェイーネの爺にも手の者から【邪釣餌】の報告が入っているだろう 」
「そんな…っ!? 」
《クーガ》から聞かされた緊急事態に、どんどんセイリアの顔から血の気が引いていくのが分かる。
「それで?俺は何をすればいいんだ? 」
「ありがとうございます。この里のサムライ達は屈強です。ですが、このまま普通に戦っては多数の犠牲が出るでしょう。ヒロト様には、私と共に里の外へと赴き、里に到達する魔獣の数を極力減らして頂きたいのです 」
なるほどな。だが、結構な無茶を言う。《クーガ》の言葉を信じるなら、相手は万を超えている数なんだが?
「分かった…、と言いたいが、少し無理があり過ぎないか?二対万だぞ? 」
俺の言葉に、ハッとした顔になったセイリアが慌てて口を挟んできた。
「恐れながら!《クーガ》様、ヒロト様は確かにお強いです。しかし、それはあまりに無謀で御座います!」
俺の身を案じてくれているのだろう、セイリアはその身を僅かに震わせながら、しかし聖獣に対しての”畏れ”を必死に堪えながら《クーガ》に訴えかけた。
「ふむ…、里長の娘よ、もしや昼間のジェイーネの爺との試合が、この御方の実力の全てと勘違いしてはおらんか? 」
「…っ!? それはどういう? 」
「あんなモノは、この御方の実力の一部でしかない。ヒロト様がその気になればこの里程度、一瞬で火の海に沈むであろうよ 」
またいらん事をペラペラと…!
だが、まあ万を超す魔獣と戦うというのなら、《クーガ》の口からこう言ってもらった方が心配させなくていいかもしれんな。
驚きに固まっているセイリアを取り敢えず横に置き、再度《クーガ》へと話しかける。
「それくらいでいいだろ?だが、俺とお前だけで、この里の周囲全体の面倒は見れないぞ?そこはどうするんだ? 」
いくら五千人程度の小さな里と言っても、それなりには広い。魔法による”面”の攻撃をしたところで、たとえ壁があったとしても背後から里に入り込まれたらアウトだ。
「はい、そこは抜かりありません。地の精霊、森の精霊達に頼み、木を動かし土を盛り上げて、北と南の門の方向からしか里に近づく事は出来ないようにしております。そして、里のサムライ達には比較的弱い魔獣の集まる南側を、ヒロト様には森の奥に面し、強力な魔獣が集まるであろう北側の守りをお願いしたいのです 」
よく考えているな、いくらこの里のサムライ達が精強だと言っても、里の全周囲を警戒、防衛しながらでは満足には戦えない。しかし、一定方向に敵が固まっているのなら、不意打ち等を気にする事無く火力、戦力を集中することが出来る。
「分かった。あと、先に言っておくぞ。俺が手加減無しで魔法を放ったら、結構な範囲の森が更地になるぞ?それはいいのか? 」
これは言っておかなければならないだろう。あのプテラゴン達の居た山で、魔法の試し撃ちをした際には、ハッキリ言って地形が変わった。おまけに此処は森の中だ。火系の魔法を放てば火事の心配だってあるだろう。
こうした森は、破壊するのは一瞬で出来るが、再生するにはまた長い年月を必要とするからだ。
俺の問いにほんの少し躊躇いはしたものの、覚悟を決めた目で《クーガ》は答えた。
「致し方ありません。此処は【精霊樹】もある聖地にも等しい場所。魔獣共に踏み荒らさせる訳にはいかないのです。況してやその様な場所で、”子供達”の血を流すことなどあってはなりません!! それに、事が済めば地や緑の精霊達が【精霊樹】の為に頑張って再生を促すでしょう。普通よりも何十倍も早く森は再生するはずです。どうぞ存分に御力を発揮なさって下さい 」
それを聞いて安心した。それに、”子供達の血を流させてはならない”か………。いいじゃないか、気に入ったぜ。
「よし、猶予はあまり無いんだったな? なら、すぐに動こう。え~と、”名前”は何て言うんだ? 」
そう言えばまだ名前を聞いていなかったな?いつ迄も《クーガ》のままでは呼び難いだろう。
「”名前”ですか?申し訳ありません、我々【精霊】には個別の名前は無いのです 」
「そうなのか? ん~?呼びにくいな、じゃあ、今だけでも俺が仮の名前で呼んでもいいかな? 」
「なっ!名前を付けて頂けるのですか!? どうぞ!如何様にでもお呼び下さい!! 」
俺がそう提案を持ちかけると、何だか凄い勢いで食いついてきた。何だかものすごくキラキラして期待に満ちた目で見詰めてくるんだが…?
「ヒ、ヒロト様!?名前を付けるのですか!? 」
何だかセイリアが慌てている感じだけど、何かおかしな事でもあるのか?
「娘!要らぬ事を言うで無い!! 急いでいるのだ!暫し黙っておれ!! 」
「ひっ!?もっ、申し訳ありません! 」
ガァウッ!!と威嚇した感じで《クーガ》がセイリアを嗜める。
「こらっ!俺の可愛い許嫁を虐めるんじゃねえよ !」
「はっ!?も、申し訳ありません!!」
今度は逆に縮こまる《クーガ》に赤くなってモジモジしだすセイリア。いつもながら話が進まない………。
『名前かあ?単純な見た目だと「クロ」かな?けどまた安直だってアフィーに言われそうだしなぁ………。アイ、何か良いの無いかな? 』
『そうですね…。では、「クロ」を準えて「ノワール」なんてどうですか? 』
おお!さすがアイだ!「ノワール」ね、もっと縮めて「ノワ」………「ノア」!!
『「ノア」なんてどうだ? 』
『いい名前ですね!いいんじゃないですか? 』
正に脳内会議で決定した名前を《クーガ》 にどうかと尋ねてみる。
「『ノア』なんてどうだ? 」
俺が名前を告げた途端、《クーガ》の身体が強い光を帯びる。しかし、それも一瞬で収まった。
しかし、今度は『ノア』と俺の間に強い魔力のパスが生まれたのを感じる。
「おおぉぉっ!? ”私の名前”は『ノア』!!大変良い名です。ヒロト様、ありがとう御座います!これよりはこの『ノア』、誠心誠意、粉骨砕身の決意でヒロト様に御仕え致します。宜しくお願い申し上げます!! 」
途轍もなく感激した声で、更に平身低頭で従者宣言をしてくる『ノア』。
「はぁ!?いったい何のことかさっぱり分からんのだが? 」
「あの…、ヒロト様。精霊に”名を与える”という事は、契約を結び配下に置く、と言うことなのです。ですが、まさか《クーガ》様の方から望んで契約精霊になられるなんて………!? とてもではありませんが、信じられません……… 」
何だと!?聞いてないぞそんな事は!
「くぉらっ!! ノア!知ってて黙ってやがったな!質の悪い悪徳商法じゃねえかっ!? 」
「も、申し訳ありません!! アクトクショウホウが何かは分かりませんが、どうしてもヒロト様から名前を頂きたかったのです。どうかお許し下さい! 」
はぁ………、またもや一人?増えてしまった…。まあいい、強力な精霊みたいだし、心強い仲間が出来たと思えばいいか?それよりも、
「まあいいよ、それよりこんなところでグズグズしてるヒマは無いんだろ?そろそろ行くとしよう。そうだ、セイリア!そういう訳で俺達は北側に向かうよ。この事を爺さん達に伝えてくれるか?北側は任せてくれって 」
「お待ち下さい!ヒロト様!! 」
もうあまり時間も無いだろう。ノアを促して北側に向かう為、爺さんへの伝言をセイリアに頼もうとすると、慌てた様子で引き留めてきた。
「どうしたんだ、セイリア?もうあまり時間は無いと思うぞ。もし、引き留めるつもりなら…… 」
「いいえ、引き留める気はありません。クーガ…いえ、ノア様のお言葉にあった通り、今は私もヒロト様の御力を信じております。そうではなく、私も連れて行って欲しいのです!! 」
はっ!? いやいやちょっと待て、そんなのは絶対無理だろう!
「駄目だっ!! Lv37のセイリアでは連れて行けない。里の危機に居ても立っても居られないのは分かる。だが…『違います!そうじゃなくて!! 』…… 」
俺の言葉に被せるようにして、叫ぶようにセイリアは訴えてくる。
「そうじゃないんです!私は…、私はヒロト様と共に居たいんです!! 確かに里の事は心配です。ですが…、ヒロト様が死地に赴くというのに、私だけが安穏としてなどいられません! 決してお邪魔は致しません、お願いですからお側に居させて下さい! 」
必死な表情で縋り付いてくるセイリア。だが、逆に俺は余計に訳が分からなくなってしまった…。
「何故だ?この里には色々な想いも、沢山の思い出だってあるだろう。翻って、いくら出会いが強烈だったとしても何故そんなに俺に拘る?聞いただろ、北側は強力な魔獣が集まる。しかも戦力比はセイリアを加えたとしても三対万だぞ?行けば死ぬ確率の方が高いかもしれない。どうしても戦いたいなら爺さん達と南側で戦えばいいじゃないか? 」
わざわざ危険度の高い方へ行かなくても、その方が俺も安心して戦えるしな。そう思っての言葉だったのだが、セイリアはポロポロと涙を流しながら、睨むのではなくキッっと眥を吊り上げてその”想い”を俺に叩きつけるかのように叫んだ。
「馬鹿にしないで下さい! 私は武家の娘、例え出逢ってからの時間が短かかろうと、一度我が心に決めたのです。生涯この想い、誓いは変わりません! 私は…私は貴方の『妻』です!! 」
大声で泣くのではない。しかし滂沱と涙を流して、ただ一心に見つめてくるセイリアを俺は….、
セイリアの呼吸が止まってしまいそうになるほど強く抱きしめていた。
「すまなかった….。腹が決まっていなかったのは俺の方だな。分かった、お前は俺が守る。何があろうと、どんな事をしてでも絶対にだ!! 」
「….!? はい…はい!! どこまでもついて行きます! 」
セイリアも俺の背中に腕を回して、ギュっと想いの全てを伝えるように抱きしめ返してくる。
このままずっとこうしていたい…、そう思うほどの幸せな時間だったが、もう猶予は残っていない。名残惜しいが、引き剥がすようにしてセイリアから身体を離す。
「ノア!お前に初めての命令だ。セイリアを”護れ”。絶対にだ。毛ほどの傷を付けさせる事も許さん。…分かったな? 」
「ぎ、御意に御座います!御命必ず遂行致します! 」
ああ、つい”威圧”が漏れてしまったか。まあいいや、俺にとってかけがえの無い『妻』だ。死ぬ気で守ってもらおう。
「よし、じゃあセイリア、もう時間が無い。10分で装備を整えて来い。それから…、ラーナちゃん!そこにいるんだろう?出て来いよ 」
そう告げると、廊下の隅の暗がりからラーナちゃんが姿を現した。
「はい、御用は何でしょうか、”御主人様”。何なりと御命令をお申し付け下さい 」
跪いて頭を垂れるラーナちゃん。 ん?なんか俺の呼び方がおかしかった気がするが、まあ、今はいいか。
「今の話は聞いていたな? 俺はセイリア、ノア…《クーガ》と共に北側に行く。この事を爺さんやお父さん達に伝えてほしい。一応の警戒の者を除き、全ての戦力は南側に集めてくれて構わない。こちらは任せろってな。….ああ、それからセイリアの事は俺が”絶対”に守る。心配するな、って事も伝えてほしい。いいな? 」
「はっ!御命了承致しました。先代様、御屋形に御言葉をお伝え致します 」
もう一度、深く頭を下げるとスッと立ち上がり、足早に駆けていくラーナちゃん。
さて….…、あとは?
『アイ、魔法能力の全開”無制限”使用を許可する。《魔弾》の制御と俺が指定する魔法以外は使用に関しての判断も全て任す。全力全開で打っ放して構わん。殲滅戦だ、全て薙ぎ払え 』
『イエス、マイマスター。魔法の全開使用、自己判断による攻撃目標の設定、及び威力、範囲、弾種その他の方法等の決定権限を一時的に私に移します。マスターの《魔弾》及び指定魔法に関しては並列処理出来ますので全て問題ありません。….この里を、「セイリア」さんの大事な人達を、絶対に守りましょう、マスター!! 』
『ああ、頼りにしてるぞアイ。じゃあ、行くか?”出撃”だ! 』
『イエス、マスター!! 』
最も信頼の置けるパートナーも”やる気”は充分、こちらの準備は完了だ。アイと話をしながら、俺もアフィーから貰った装備を身に付け、腰に愛用の大型拳銃と新しい相棒『颶風』を差している内に、装備を整えたセイリアも戻ってきた。
「ヒ、ヒロト様?お顔が….… 」
横で見ていたノアが若干引いている感じが分かる。
ああ….、また”嗤って”いるんだな、俺は。
〈「どうしたヒロト?随分と楽しそうだな?」〉
〈「まーったく、このサル頭はどーしようもねーバトルジャンキーだなー 」〉
今の俺の顔を見たら、きっと親父や大輔はこう言って揶揄うんだろうな。いいぞ、だんだん気分が高まってきた….!
「よし、じゃあセイリア、ノア。….行こうか…! 」
少々バタついたが、冴え冴えとした月光の下、戦いへの一歩を踏み出す。
俺の〈気配察知〉にもそろそろ里の周辺へと辿り着いた魔獣の反応がちらほらと現れてきている。
気分が昂ぶる。血が滾る。
……さあ………やるか….……!
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