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第2章 第1異世界人発見
第11話
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今、俺は非常に困惑している……。何故?それは、目の前に居る三人が、俺に対して一斉に平伏して、綺麗な土下座?を決めているからだ……。
俺の掌から溢れ出した光は、辺り一面を白く染め上げ、やがて淡雪のように消えていった……。
「お…、おおっ!?傷が?身体が……っ!! 」
光が消え去った後、爺さん?が受けた矢傷は跡形も無く消え去っていた。それどころか、
「何と!? 信じられませぬ!長年患っていた、腰痛まで治っておりまするぞ! 」
胸元を広げ、自ら傷を確認し、次いで腰に手を当てて右に左に上半身を捻りながら驚嘆の声を上げる爺さん?。
『なあ、アイ。アレってもしかして……? 」
『ハイ……。申し訳ありません、先程サーチした時に、思ったよりも傷の状態が悪かったものですから、つい補正無しのまま《治癒》を…… 』
やっぱりか、となると、アレはもう「《治癒》(×20倍)」と呼ぶべきもので、恐らくは、もはや回復系の初級魔法程度の効果ではないんだろうな……。
「爺っ! 」
「レイナルド様! 」
女の子達が、元気になった爺さん?に取り縋り、わんわんと子供のように泣き始めてしまった。
二度と会えなくなるかもしれない、そんな瀬戸際だったんだ。張り詰めていたものが、とうとう切れてしまったんだろうな。
「これこれ、姫様。もう立派な御歳なのですから、幼な子のように泣くものではありませんぞ? 」
「だって~~!爺~!うわぁぁぁぁん、よがった!皆んなが無事で~~! 」
「姫様~!レイナルド様~!よかったです~~!うえぇぇぇん! 」
「まったく…、家臣であるラーナまで大泣きするとは何事じゃ……、さあさあ、二人共、もう泣き止みなされ!大事な事を忘れておりまするぞ? 」
「……グスッ……大事な事?」
コテン、と小首を傾げてキョトンとするお姫様。何だか本当に子供っぽいな?混乱し過ぎて軽く幼児退行してるみたいだな…。
「姫様……、爺めは情けのうございますぞ?学院で副会長まで務めておられる御身が、そのような事でどうされますか…… 」
元気になった途端、苦言を言ってお姫様を窘める爺さん?。何だか苦労人臭がするなぁ、アラン大尉を思い出すよ……。
「まったく!姫様、我等はまだ、其処に居られる大恩人に、お名前すら伺っておらんのですぞ? 」
「「…あっ!?」」
………で、冒頭の状況な訳だ。
「まあまあ、顔を上げてくれよ、気持ちは分かったから、そこまで畏まらないでくれ 」
「いいえ!そういう訳には参りません!見も知らぬ私共の為に危険を顧みずの御助勢ばかりか、我が家臣の命までも救って頂きました。にも関わらず、御礼の言葉すら忘れて数々の失態、許される事ではありません! 誠に申し訳ありませんでした!御立腹の事とは思いますが、そこを曲げて、お願い申し上げます。何卒お許し下さい! 」
うわ~~、武士だ。武士がいるよ!「検索ワード【武士・異世界・お姫様・ダークエルフ】?」属性盛り過ぎで絶対出て来ないよ!?
そう思って、改めてよく見れば、脚こそ丈夫そうなブーツを履いているものの、全体的な格好は何と無く和服っぽい。上着は前合わせだし、裾の方はブーツの中へと入れているが、ゆったりした感じのズボン…もしかして袴なのか?おまけに、この持って回ったような堅苦しい言葉遣い……。極め付けは彼女らの持つ武器だ。今は鞘に納められているが、緩やかに反りの入った細身の片刃剣…いや、アレはもう刀と呼ぶべきだろう。
そう考えてみると、このお姫様の髪型、最初はポニーテールだと思ってたが、時代劇の女性剣士みたいに、髷風に結い上げているのか?
「あの……? 」
色々と考え込んでいた俺に、少しだけ顔を上げたお姫様が、不安気に声をかけてくる。
「あ、ああ、すまん。ちょっとだけ考え事をしてたんだ。それで、さっきも言ったけど顔を上げてくれよ。 別に何も怒っていないし、そんなふうにされてたらかえって困る。堅苦しいのは苦手なんだ。な、頼むよ? 」
そう言うと、まだ納得していない様だったがやっと顔を上げてくれた。だが、本気で醜態を晒したと思ってるのか、まだ恥じ入っている様子が抜け切らない。
膝を折り、目線の高さを合わせてからお姫様に話しかける。
「ありがとう。でも、そんなに気にしないでくれ。女の子が悪い奴に襲われてたら、助けるのが当たり前だろう?だからもういいよ。
俺は大翔、玖珂 大翔だ。よろしくな 」
何だか、放っておくと延々と謝り続けそうだったので、先に自分から名乗りを上げておいた。
「あ!わ、私はセイリア・キサラギと申します。この度は、危ないところを助けて頂き、本当にありがとうございました! 」
お姫様に続き、爺さん?が口を開く。
「某はキサラギ家 家老、レイナルド・ゴーロゥと申します。先程は、不様を曝したこの老骨をお救い頂き、感謝の言葉も見つかりませぬ。また、この度は窮地に立たされた姫様をお救い頂いた事、家臣一堂に成り代わり、心より御礼申し上げます。誠にありがとうございました 」
そう言って、もう一度地面に両手を着いて、深々と頭を下げて来る。
「姫様は我がキサラギ家の宝、御屋形様よりお預かりした姫様に、もしもの事があれば、例えこの皺腹を掻っ捌こうとも、到底贖えきれぬ事になるところでございました!心より、……心より!御礼申し上げまする!! 」
礼を言っている最中に、感極まったのか、はらはらと漢泣きをしながら感謝してくる爺さん?。
「皺腹」?……どこが!?
ここで、ダークエルフの男性、爺さん?こと「レイナルド・ゴーロゥ」の容姿についてもう一度言及しておこう。
サラサラの銀髪はストレートロング。エルフらしい非常に整った容姿をしたイケメンである。
当然、皺なんて一つも無い。なのに「爺」!? 違和感がハンパ無いことこの上ない!
なぜ、ずっと「?」がついていたのか……おわかりいただけただろうか……?
後日聞いたんだが、これでも御歳862歳。そりゃ確かに爺さんだわ……。
ーー閑話休題ーー
まあ、俺の内心の葛藤は置いといて……、やっぱり武士。お侍様である。こりゃ言っても聞かないな……。
「お姫様…セイリアさんの謝罪も、レイナルドさんの感謝も素直に受け取る。だから、俺からの頼みだ、顔を上げて、どうかもう立ちあがってくれ 」
セイリアに向け、立ち上がる事を促す為に右手を差し出す。
「おおっ!姫様!」
「はい!ありがとうございます!」
一瞬戸惑った様子だったが、恥ずかしそうに顔を赤らめながらも俺の手を取り、立ち上がってくれた。やれやれ、やっと話を進めれそうだな。 時代劇って観るのは結構好きなんだが、登場人物になると、こんなに面倒くさいのか……。
「ところでさ、」
「はい!何でございますか、ヒロト様? 」
何だ!? 何か急にお姫様が距離を詰めてきた感があるんだが?
「いや、ね? さっき、「気配察知」でセイリアさん達を見つけた時は三人だったけど、お姫様の護衛に二人きりじゃ少な過ぎるだろ?最初はもっと人数が多かったんじゃなかったのか?って気になってさ。もし、そうなら、あとの人達は大丈夫なのかな?って。 」
「「「…あっ!? 」」」
マジで忘れてたのか!?おいおい……。レイナルドさん、それじゃあお姫様の事を叱れないぜ?
三人(+俺)は、慌てて来た道を引き返し、急いで最初の襲撃ポイントだった場所へと向かったのだった。
結果だけ言うなら、幸いにも護衛の二人は命を取り留め、大事に至ることは無かった。何本もの矢をその身に受けて、かなりの出血はしていたが、元々護衛として厳しい訓練を積み重ね、強靭な身体であったこと、レイナルドさんのように、致命傷を負っていなかったことが幸いした。
倒れている二人の元へと到着し、急いでアイに頼んでサーチをかけ怪我の程度を確認。刺さっていた矢も、返しの付いたタイプでは無かったので、そのまま引き抜き、すぐさま《治癒》(×3倍)での治療を施した。
ただ、《治癒》によって怪我は全快したとはいっても、流した血や、失った体力までは戻らない。すぐには動くことは出来ない為、しばしここで小休止という事になった。
聞けば、セイリアさんはこの森の奥にあるダークエルフの『隠れ里』より、遠く離れた王都の魔術学校に通っていて、今回襲われたのは、久々の里帰りをした後、学校に戻る途中でのことらしかった。
「そうですか……、ですが、王都の場所は、ここからまだ大分遠いんですよね? なら、一族のお姫様が襲われたという一大事ですし、皆さんの身体の事も心配です。今は普通に振る舞っていても、セイリアさんだって、少なくないショックを受けたと思います……。どうでしょう?報告の意味合いでも、一度、里に戻るのが賢明ではないですか? 」
護衛の二人の体力が回復するのを待つ間、俺はこの一団の纏め役であるはずのレイナルドさんに、そう話を振ってみた。
「お心遣い痛み入ります。そうですな……、ふむ。それが良いでしょう。王都へは、未だしばしの長旅、この様なザマでは、充分な警護もできませぬ。それに、ヒロト様の申される通り、事は一大事。貴族のバカ息子が絡んでいる以上、御屋形様を通じて正式に国王陛下に抗議を申し立て、狼藉者共を断罪して頂かなくてはなりません!一刻も早く学院に戻りたい姫様には申し訳ないが、一度里へと戻り、万全の体制を整えなければなりませんな 」
まあ、そうだな。それが一番いいだろう。……と、なると…、
「そうですね、是非そうして下さい。せっかく格好良く助けることができたのに、また別の野盗に狙われでもしたらいけませんから 」
「はっ、はっ!…その節は、誠に… 」
あ、いかん。レイナルドさんが恐縮してしまった。え~と……、
「そう言えば、此処から王都へは、どれくらいかかるんですか? 」
「ああ、そうですな……。このまま真っ直ぐ森を抜けると、すぐ側に「デイジマ」という小さな村が御座います。
その村より、街道を通って東に馬車で二週間余り、其処に我が国ロードベルグの王都「グランベルグ」が御座います。…ヒロト様は、何か王都に御用でもお有りなのでございますか? 」
不審がられないように、事前にアイと考えた「設定」を織り交ぜて説明する。
「いや、特に用がある訳じゃないんですが、実は俺、今まで親父と二人っきりで山奥に住んでたんですよ。ただ、訳あって山を降り、旅に出たばかりでして… 」
「「訳」ですか…、お聞きしても? 」
「ああ、大した事じゃありません、親父が亡くなりまして 」
「それは…!? 事情も知らず、不躾な事を申しました。お赦し下され… 」
レイナルドさんが、痛ましげな面持ちで頭を下げる。
……いえ、ごめんなさい、本当に謝らなきゃいけないのは、俺の方なんです。うぅん…、レイナルドさんの、本当に申し訳なさそうな顔を見ていると、良心ポイントがゴリゴリ削れていく気がするよ…ゴリゴリ…。
でも、本当の事は言えないし、親父の事とか、半分は本当の事なので、勘弁して下さい。
「いや、気にしないで下さい。もう気持ちの整理はついてますから。今は、若い頃の親父のように冒険者になって、武者修行をしながら色んな土地を旅して、色々な経験をしてみたい、と思っているんです 」
「そうですか、武者修行をしながら、ですか。素晴らしい!流石でございますな! 」
あれ?なんか喰いつく位置がズレてるような?まあ、いいか。
「ええ、ですから王都への道のりの情報を教えて頂いて、本当に助かりました 」
にっこりと笑って礼を言い、言葉を続けた。
「それはそうと、護衛の人達の具合はどうですか?ある程度回復したのなら、そろそろ出発しないと。いくら慣れた森でも、暗くなってからでは危険が増します 」
「そうですな…、お前達!いつまで休んでおるのだ!もうよいであろう、出立致すぞ!」
レイナルドさんが、座り込んでいた護衛の二人に声をかけると、二人は慌てて立ち上がり、こちらに駆け寄って来て、セイリアさん、レイナルドさんの前で跪いた。
「護衛である我々が、一番の足手纏いとなってしまい、誠に面目次第もございません。お陰様で、息を整える事が出来ました。いつでも大丈夫でございます 」
「同じく、某も何の問題もございません 」
この二人は、レイナルドさん、つまり、ゴーロゥ家の直臣だそうで、如何にも真面目そうな方が、カークス・サンダンス、Lv48の槍使い、どこかチャラそうな印象の方がスケール・サーキ、同じくLv48の剣士だ。
この二人、本来ならダークエルフの里の若手戦士の中でも特に”デキる”方らしい。が、今回、そんな手練である二人が早々と倒されてしまったのには理由がある。
鏃に、痺れ薬らしきモノが塗られていたのだ。”毒”ではなかったのは、誤射してしまった時にセイリアを誤って殺してしまわない為だろう。
元々、エルフ族は”状態異常”などのバッドステータスに対して強い抵抗力を持つらしいのだが、今回はかなり強力、かつ即効性だった事、しかもそれを複数本打ち込まれてしまった事で効果が増し、襲撃早々に倒されてしまったようだ。
この辺りは連中、「墓場の風(笑)」が巧かったと言える。一人ひとりは大したことはなかったが、セイリア達を追い込んだ手際を見ると、それなりには統制の取れた傭兵団だったんだろう。
しかし、気配察知に優れたダークエルフに奇襲を成功させた事といい、痺れ薬を塗った矢を用意していた事といい、奴等の仕事には”淀み”がなかった。連中がいつも「狩場」にしている場所ならともかく、ここはダークエルフ達の森だ。いくら依頼を受けたからといっても、土地勘の無い奴等の仕事にしては用意周到過ぎる。
これは、あまり考えたくは無いが、内通者がいるな……。後でそれとなくレイナルドさんに話してみよう……。
しかし、世の中何が幸いするかってのは本当に分からない。二人が倒されてしまった事で、一番の使い手であるレイナルドさんまでが負傷してしまい、逃げざるを得なかった。しかし、だからこそ俺の「気配察知」の範囲内に引っ掛かり、俺が駆け付ける事が出来たという訳だ。
まあ、こうして見ている限り、もしも万全であったなら、この三人だけで問題はなかっただろうと思う。さっきの頬傷の男達からは全く感じなかった、脅威ってヤツをヒシヒシと感じるしな。
レイナルドさんは勿論の事、レベルが下のはずの、カークスとスケールからでさえ、侮れないものが伝わってくる……。
ちなみに、治療を終えた直後に、カークスとスケールの二人が、「腹を切ってお詫びを!」と、お約束をやらかしたのは言うまでもない。
俺の掌から溢れ出した光は、辺り一面を白く染め上げ、やがて淡雪のように消えていった……。
「お…、おおっ!?傷が?身体が……っ!! 」
光が消え去った後、爺さん?が受けた矢傷は跡形も無く消え去っていた。それどころか、
「何と!? 信じられませぬ!長年患っていた、腰痛まで治っておりまするぞ! 」
胸元を広げ、自ら傷を確認し、次いで腰に手を当てて右に左に上半身を捻りながら驚嘆の声を上げる爺さん?。
『なあ、アイ。アレってもしかして……? 」
『ハイ……。申し訳ありません、先程サーチした時に、思ったよりも傷の状態が悪かったものですから、つい補正無しのまま《治癒》を…… 』
やっぱりか、となると、アレはもう「《治癒》(×20倍)」と呼ぶべきもので、恐らくは、もはや回復系の初級魔法程度の効果ではないんだろうな……。
「爺っ! 」
「レイナルド様! 」
女の子達が、元気になった爺さん?に取り縋り、わんわんと子供のように泣き始めてしまった。
二度と会えなくなるかもしれない、そんな瀬戸際だったんだ。張り詰めていたものが、とうとう切れてしまったんだろうな。
「これこれ、姫様。もう立派な御歳なのですから、幼な子のように泣くものではありませんぞ? 」
「だって~~!爺~!うわぁぁぁぁん、よがった!皆んなが無事で~~! 」
「姫様~!レイナルド様~!よかったです~~!うえぇぇぇん! 」
「まったく…、家臣であるラーナまで大泣きするとは何事じゃ……、さあさあ、二人共、もう泣き止みなされ!大事な事を忘れておりまするぞ? 」
「……グスッ……大事な事?」
コテン、と小首を傾げてキョトンとするお姫様。何だか本当に子供っぽいな?混乱し過ぎて軽く幼児退行してるみたいだな…。
「姫様……、爺めは情けのうございますぞ?学院で副会長まで務めておられる御身が、そのような事でどうされますか…… 」
元気になった途端、苦言を言ってお姫様を窘める爺さん?。何だか苦労人臭がするなぁ、アラン大尉を思い出すよ……。
「まったく!姫様、我等はまだ、其処に居られる大恩人に、お名前すら伺っておらんのですぞ? 」
「「…あっ!?」」
………で、冒頭の状況な訳だ。
「まあまあ、顔を上げてくれよ、気持ちは分かったから、そこまで畏まらないでくれ 」
「いいえ!そういう訳には参りません!見も知らぬ私共の為に危険を顧みずの御助勢ばかりか、我が家臣の命までも救って頂きました。にも関わらず、御礼の言葉すら忘れて数々の失態、許される事ではありません! 誠に申し訳ありませんでした!御立腹の事とは思いますが、そこを曲げて、お願い申し上げます。何卒お許し下さい! 」
うわ~~、武士だ。武士がいるよ!「検索ワード【武士・異世界・お姫様・ダークエルフ】?」属性盛り過ぎで絶対出て来ないよ!?
そう思って、改めてよく見れば、脚こそ丈夫そうなブーツを履いているものの、全体的な格好は何と無く和服っぽい。上着は前合わせだし、裾の方はブーツの中へと入れているが、ゆったりした感じのズボン…もしかして袴なのか?おまけに、この持って回ったような堅苦しい言葉遣い……。極め付けは彼女らの持つ武器だ。今は鞘に納められているが、緩やかに反りの入った細身の片刃剣…いや、アレはもう刀と呼ぶべきだろう。
そう考えてみると、このお姫様の髪型、最初はポニーテールだと思ってたが、時代劇の女性剣士みたいに、髷風に結い上げているのか?
「あの……? 」
色々と考え込んでいた俺に、少しだけ顔を上げたお姫様が、不安気に声をかけてくる。
「あ、ああ、すまん。ちょっとだけ考え事をしてたんだ。それで、さっきも言ったけど顔を上げてくれよ。 別に何も怒っていないし、そんなふうにされてたらかえって困る。堅苦しいのは苦手なんだ。な、頼むよ? 」
そう言うと、まだ納得していない様だったがやっと顔を上げてくれた。だが、本気で醜態を晒したと思ってるのか、まだ恥じ入っている様子が抜け切らない。
膝を折り、目線の高さを合わせてからお姫様に話しかける。
「ありがとう。でも、そんなに気にしないでくれ。女の子が悪い奴に襲われてたら、助けるのが当たり前だろう?だからもういいよ。
俺は大翔、玖珂 大翔だ。よろしくな 」
何だか、放っておくと延々と謝り続けそうだったので、先に自分から名乗りを上げておいた。
「あ!わ、私はセイリア・キサラギと申します。この度は、危ないところを助けて頂き、本当にありがとうございました! 」
お姫様に続き、爺さん?が口を開く。
「某はキサラギ家 家老、レイナルド・ゴーロゥと申します。先程は、不様を曝したこの老骨をお救い頂き、感謝の言葉も見つかりませぬ。また、この度は窮地に立たされた姫様をお救い頂いた事、家臣一堂に成り代わり、心より御礼申し上げます。誠にありがとうございました 」
そう言って、もう一度地面に両手を着いて、深々と頭を下げて来る。
「姫様は我がキサラギ家の宝、御屋形様よりお預かりした姫様に、もしもの事があれば、例えこの皺腹を掻っ捌こうとも、到底贖えきれぬ事になるところでございました!心より、……心より!御礼申し上げまする!! 」
礼を言っている最中に、感極まったのか、はらはらと漢泣きをしながら感謝してくる爺さん?。
「皺腹」?……どこが!?
ここで、ダークエルフの男性、爺さん?こと「レイナルド・ゴーロゥ」の容姿についてもう一度言及しておこう。
サラサラの銀髪はストレートロング。エルフらしい非常に整った容姿をしたイケメンである。
当然、皺なんて一つも無い。なのに「爺」!? 違和感がハンパ無いことこの上ない!
なぜ、ずっと「?」がついていたのか……おわかりいただけただろうか……?
後日聞いたんだが、これでも御歳862歳。そりゃ確かに爺さんだわ……。
ーー閑話休題ーー
まあ、俺の内心の葛藤は置いといて……、やっぱり武士。お侍様である。こりゃ言っても聞かないな……。
「お姫様…セイリアさんの謝罪も、レイナルドさんの感謝も素直に受け取る。だから、俺からの頼みだ、顔を上げて、どうかもう立ちあがってくれ 」
セイリアに向け、立ち上がる事を促す為に右手を差し出す。
「おおっ!姫様!」
「はい!ありがとうございます!」
一瞬戸惑った様子だったが、恥ずかしそうに顔を赤らめながらも俺の手を取り、立ち上がってくれた。やれやれ、やっと話を進めれそうだな。 時代劇って観るのは結構好きなんだが、登場人物になると、こんなに面倒くさいのか……。
「ところでさ、」
「はい!何でございますか、ヒロト様? 」
何だ!? 何か急にお姫様が距離を詰めてきた感があるんだが?
「いや、ね? さっき、「気配察知」でセイリアさん達を見つけた時は三人だったけど、お姫様の護衛に二人きりじゃ少な過ぎるだろ?最初はもっと人数が多かったんじゃなかったのか?って気になってさ。もし、そうなら、あとの人達は大丈夫なのかな?って。 」
「「「…あっ!? 」」」
マジで忘れてたのか!?おいおい……。レイナルドさん、それじゃあお姫様の事を叱れないぜ?
三人(+俺)は、慌てて来た道を引き返し、急いで最初の襲撃ポイントだった場所へと向かったのだった。
結果だけ言うなら、幸いにも護衛の二人は命を取り留め、大事に至ることは無かった。何本もの矢をその身に受けて、かなりの出血はしていたが、元々護衛として厳しい訓練を積み重ね、強靭な身体であったこと、レイナルドさんのように、致命傷を負っていなかったことが幸いした。
倒れている二人の元へと到着し、急いでアイに頼んでサーチをかけ怪我の程度を確認。刺さっていた矢も、返しの付いたタイプでは無かったので、そのまま引き抜き、すぐさま《治癒》(×3倍)での治療を施した。
ただ、《治癒》によって怪我は全快したとはいっても、流した血や、失った体力までは戻らない。すぐには動くことは出来ない為、しばしここで小休止という事になった。
聞けば、セイリアさんはこの森の奥にあるダークエルフの『隠れ里』より、遠く離れた王都の魔術学校に通っていて、今回襲われたのは、久々の里帰りをした後、学校に戻る途中でのことらしかった。
「そうですか……、ですが、王都の場所は、ここからまだ大分遠いんですよね? なら、一族のお姫様が襲われたという一大事ですし、皆さんの身体の事も心配です。今は普通に振る舞っていても、セイリアさんだって、少なくないショックを受けたと思います……。どうでしょう?報告の意味合いでも、一度、里に戻るのが賢明ではないですか? 」
護衛の二人の体力が回復するのを待つ間、俺はこの一団の纏め役であるはずのレイナルドさんに、そう話を振ってみた。
「お心遣い痛み入ります。そうですな……、ふむ。それが良いでしょう。王都へは、未だしばしの長旅、この様なザマでは、充分な警護もできませぬ。それに、ヒロト様の申される通り、事は一大事。貴族のバカ息子が絡んでいる以上、御屋形様を通じて正式に国王陛下に抗議を申し立て、狼藉者共を断罪して頂かなくてはなりません!一刻も早く学院に戻りたい姫様には申し訳ないが、一度里へと戻り、万全の体制を整えなければなりませんな 」
まあ、そうだな。それが一番いいだろう。……と、なると…、
「そうですね、是非そうして下さい。せっかく格好良く助けることができたのに、また別の野盗に狙われでもしたらいけませんから 」
「はっ、はっ!…その節は、誠に… 」
あ、いかん。レイナルドさんが恐縮してしまった。え~と……、
「そう言えば、此処から王都へは、どれくらいかかるんですか? 」
「ああ、そうですな……。このまま真っ直ぐ森を抜けると、すぐ側に「デイジマ」という小さな村が御座います。
その村より、街道を通って東に馬車で二週間余り、其処に我が国ロードベルグの王都「グランベルグ」が御座います。…ヒロト様は、何か王都に御用でもお有りなのでございますか? 」
不審がられないように、事前にアイと考えた「設定」を織り交ぜて説明する。
「いや、特に用がある訳じゃないんですが、実は俺、今まで親父と二人っきりで山奥に住んでたんですよ。ただ、訳あって山を降り、旅に出たばかりでして… 」
「「訳」ですか…、お聞きしても? 」
「ああ、大した事じゃありません、親父が亡くなりまして 」
「それは…!? 事情も知らず、不躾な事を申しました。お赦し下され… 」
レイナルドさんが、痛ましげな面持ちで頭を下げる。
……いえ、ごめんなさい、本当に謝らなきゃいけないのは、俺の方なんです。うぅん…、レイナルドさんの、本当に申し訳なさそうな顔を見ていると、良心ポイントがゴリゴリ削れていく気がするよ…ゴリゴリ…。
でも、本当の事は言えないし、親父の事とか、半分は本当の事なので、勘弁して下さい。
「いや、気にしないで下さい。もう気持ちの整理はついてますから。今は、若い頃の親父のように冒険者になって、武者修行をしながら色んな土地を旅して、色々な経験をしてみたい、と思っているんです 」
「そうですか、武者修行をしながら、ですか。素晴らしい!流石でございますな! 」
あれ?なんか喰いつく位置がズレてるような?まあ、いいか。
「ええ、ですから王都への道のりの情報を教えて頂いて、本当に助かりました 」
にっこりと笑って礼を言い、言葉を続けた。
「それはそうと、護衛の人達の具合はどうですか?ある程度回復したのなら、そろそろ出発しないと。いくら慣れた森でも、暗くなってからでは危険が増します 」
「そうですな…、お前達!いつまで休んでおるのだ!もうよいであろう、出立致すぞ!」
レイナルドさんが、座り込んでいた護衛の二人に声をかけると、二人は慌てて立ち上がり、こちらに駆け寄って来て、セイリアさん、レイナルドさんの前で跪いた。
「護衛である我々が、一番の足手纏いとなってしまい、誠に面目次第もございません。お陰様で、息を整える事が出来ました。いつでも大丈夫でございます 」
「同じく、某も何の問題もございません 」
この二人は、レイナルドさん、つまり、ゴーロゥ家の直臣だそうで、如何にも真面目そうな方が、カークス・サンダンス、Lv48の槍使い、どこかチャラそうな印象の方がスケール・サーキ、同じくLv48の剣士だ。
この二人、本来ならダークエルフの里の若手戦士の中でも特に”デキる”方らしい。が、今回、そんな手練である二人が早々と倒されてしまったのには理由がある。
鏃に、痺れ薬らしきモノが塗られていたのだ。”毒”ではなかったのは、誤射してしまった時にセイリアを誤って殺してしまわない為だろう。
元々、エルフ族は”状態異常”などのバッドステータスに対して強い抵抗力を持つらしいのだが、今回はかなり強力、かつ即効性だった事、しかもそれを複数本打ち込まれてしまった事で効果が増し、襲撃早々に倒されてしまったようだ。
この辺りは連中、「墓場の風(笑)」が巧かったと言える。一人ひとりは大したことはなかったが、セイリア達を追い込んだ手際を見ると、それなりには統制の取れた傭兵団だったんだろう。
しかし、気配察知に優れたダークエルフに奇襲を成功させた事といい、痺れ薬を塗った矢を用意していた事といい、奴等の仕事には”淀み”がなかった。連中がいつも「狩場」にしている場所ならともかく、ここはダークエルフ達の森だ。いくら依頼を受けたからといっても、土地勘の無い奴等の仕事にしては用意周到過ぎる。
これは、あまり考えたくは無いが、内通者がいるな……。後でそれとなくレイナルドさんに話してみよう……。
しかし、世の中何が幸いするかってのは本当に分からない。二人が倒されてしまった事で、一番の使い手であるレイナルドさんまでが負傷してしまい、逃げざるを得なかった。しかし、だからこそ俺の「気配察知」の範囲内に引っ掛かり、俺が駆け付ける事が出来たという訳だ。
まあ、こうして見ている限り、もしも万全であったなら、この三人だけで問題はなかっただろうと思う。さっきの頬傷の男達からは全く感じなかった、脅威ってヤツをヒシヒシと感じるしな。
レイナルドさんは勿論の事、レベルが下のはずの、カークスとスケールからでさえ、侮れないものが伝わってくる……。
ちなみに、治療を終えた直後に、カークスとスケールの二人が、「腹を切ってお詫びを!」と、お約束をやらかしたのは言うまでもない。
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こんな感じだし、制度はそろそろ撤廃されそうだし。アカデミーを卒業したら制度の通りに結婚するのだろうか。
これは、薬術の魔女と呼ばれる薬以外にほとんど興味のない(無自覚)少女と、何でもできるが周囲から認められず性格が歪んでしまった魔術師の男が制度によって出会い、互いの関係が変化するまでのお話。
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