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第2章 第1異世界人発見
第8話
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一通りの戦力分析を終え、プテラゴン達の残骸をアイテムボックスに納めた俺達は、いよいよ人里を目指して移動をすることにした。
だが、ここは異世界、右も左も分からない。ましてやここは人里から遠く離れた森の中、いったい何処に行けば街や村があるのかサッパリ分からない……。
「こんな時はアレだな 」
地面に1メートル程の円を描いてきっちり四当分し、それぞれのマスに東、西、南、北と書き込んでから少し離れて、適当に落ちている小石を拾う。
『どうするんですか、マスター? 』
「こうするの、さっ! 」
俺が何をしているのか分からなかったのだろう、質問してきたアイに、拾った小石を描いた円の真上へと、山なりで放り投げるという行動で答えを示す。
小石は、四当分した円のマスの
中、「南」と書き込んだマスの所で止まった。
「よし!「南」へ向かおう 」
どうせ、何処に行けばいいのかも分からないんだ、なら、どの方向に向かおうと同じ事。俺は即席で作ったダーツの指し示した「南」へ向かうことに決めた。
人も通わぬ森やジャングルだろうと、必ず何かしらの獣道のようなものがあるもんだ。それを辿って行けば必ず川や池なんかの水場に出る。
それが川なら、下流に向かって進んで行けば、そのうち人里へと辿り着けるだろう。
まあ、例え何日野宿になろうと全く問題は無い。元々作戦行動時の野営なんかで野宿には慣れている。危険な猛獣が彷徨くジャングルでの野宿の経験も一回二回じゃない。ここが異世界で、猛獣の何倍も危険な魔獣が跋扈していようが、今は魔法があり、何よりアイがいる。さっきの戦力分析による現状の確認で、自分自身の戦闘力も格段にアップしている事も分かり、俺の心には一切の焦りも無かった。
数時間前の、テンパりまくっていた時とは違い、今の俺には、周りの風景を眺める余裕さえ出てきていた。
見知らぬ草花に、何処かで聞いたようなのに、その姿を見れば見たことも無いような極彩色の鳥達……。呑気に見えても意識を広げ、気配察知と索敵は忘れていないが、次々と現れる異世界ならではの光景に目を楽しませながら、アイと二人で会話をしながら進んで行く。
数時間後、邪魔な木の枝を鼻唄まじりに【風刃】で切り飛ばしていた時に、突然、俺の索敵範囲内に初めて人らしき反応が現れた。しかも複数人。
『マスター? 』
「アイ、人らしき反応があった。しかも複数人だ。ここから2キロ先、2時の方向だな。行って見よう!」
……しかし、2~3人の少人数の後ろを、少し離れて10人ほどの大人数が移動している。……これは、アレだな……、追われているのか?
たぶん厄介事が待っているんだろうな?と半分確信にも似た思いを抱きながらもアイにそう告げると、森の中でも極力音を立てないようにして反応のあった方向へと走り出した……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
全く父上にも困ったものだ!
私はセイリア・キサラギ、王都の王立高等魔術学院に籍を置く三回生で、学院では学生の代表である「統制会」の副会長の役職も務めさせて頂いている。
未だ若輩にして修行中の身であるダークエルフの未熟者なれど、学院の為、学院に集う生徒一人ひとりの為に粉骨砕身、日々努力しているつもりだ。
そんな折、王都から遠く離れた森の中にある里の父上より、遣いの者がやって来た。その手に携えられた父上からの手紙には、『お祖父様が体調を崩され、私に会いたがっている。ここ暫くは伏せっていてお元気もないので、久しぶりに帰って来て、顔を見せて元気付けてあげて欲しい』という内容が認められていた。
我がキサラギ家は武門の誉れも高く、齢九百歳を過ぎたお祖父様だったが、いつもお元気で、正に質実剛健、里に居た頃にはいつも剣の稽古をつけて頂いていたが、一本とて取れた事は無かった。
あのお祖父様が……。
私は直ぐに学院と統制会に事情を話した上で、しばらくの休学届けを申請し、家令のレイナルド、護衛兼侍女の狼獣族の少女ラーナ、その他の供の者数名と共に急いで里へと戻ったのだが……。
里のある森を目指して馬車を飛ばす。私達エルフ族には風の精霊の加護がある為、通常なら二週間かかる道程を10日余りで走破して、森の側にある小さな村へと辿り着いた。これ以上は馬車では行けないので、馬と馬車の護衛として三名程を残し、レイナルドとラーナの他には二名の供だけを連れて森へと分け入る。
ここからは徒歩で半日余り、他所者除けの結界を通り抜けると、唐突に隠蔽魔法の効果が途切れ、森が開ける。懐かしき我が故郷、ダークエルフの隠れ里だ。
里へと足を踏み入れた途端、色々な想いが溢れ出して、居ても立っても居られなくなった私は、生まれ育った屋敷に向かい足を早めた。
「お祖父様!ご無事ですかっ!? セイリア、只今帰参致しました! 」
屋敷へと飛び込み、家中の者達の挨拶への返答もそこそこにお祖父様のお部屋へと行ってみれば、お祖父様は縁側でお茶を飲みながら、のんびりと書を読まれているところだった。
「なんじゃ、セイリア?キサラギ家の娘がバタバタと騒々しい、どうしたのじゃ、いったい?学院はどうした? 」
「えっ!? は?……あれ? お祖父様、ご病気では……無かったのですか? 」
私の言葉に眉根を寄せ、怪訝な表情でお祖父様が尋ねてくる。
……………………あれぇ!?
「病気?ああ、暫く前に腹を壊しはしたのぉ……いや、アレは参った。しかし病気と呼ぶほどのものでは無いぞ? 」
「ですがっ!先日父上より手紙が届き、お祖父様が体調を崩されて伏せっておられると!お元気だったお祖父様のご病気と聞き、矢も盾もたまらず帰参して参ったのです! 」
私が事の次第をお話しすると、ピクリと片眉を跳ね上げたお祖父様は、すぐに家中の者を呼んだ。
「なるほどの……、読めたわ、あの馬鹿息子が。誰か!誰かある!ランドの馬鹿者を今直ぐ儂のところに呼んで参れ!! 」
お祖父様の声に召使いの者が直ぐに現れ、父上を呼びに走る。すると、暫くして父上がお祖父様のお部屋に現れた。
「父上、何か御用でしょうか?私をお呼びとの事でしたが……おお!?セイリア、良くぞ戻って参った! 待っておった… 」
「この馬鹿息子がぁぁぁぁぁっ!! 」
父上の話がまだ終わらないうちに、お祖父様が真剣を抜き放ち、父上に打ち掛かった!?
「おおぉぉっ!?何をなさいますか父上!? 」
間一髪、脇差しを抜いてお祖父様の一撃を防いだ父上が、慌てた声を上げる。
「何をなさいますかだぁ?娘会いたさに儂をダシにしおって!いくら150年振りに出来た末娘が可愛いからとて、恥を知れいっ! 」
「クッ…もうバレたのか…(ボソッ)そうは仰いますが、セイリアはまだ18歳、ここ一年程は里帰りもしていなかったのですよ!? 病気はしていないか?箱入り過ぎて、悪い男に騙されていないか?と、父上も心配されていたではないですかっ!! 」
「其れとコレとは話が別じゃあぁぁぁぁぁぁっ!! 」
キンッ!キンッ!キンッ!
事情が飲み込めず、ポカンとする私を置き去りにして切り結ぶ、先代当主と現当主。互いにキサラギ一刀流の達人同士、凄まじい攻防ではあるのだが……、
「どういう事だ……? 」
「察するに、姫様会いたさに、御屋形様が先代様が病気だと姫様を謀ったのでしょうなぁ…… 」
「なん……だと!? 」
いつの間にか側に控えていた家令のレイナルドが、事の真相を苦笑しながら私に伝える。
お祖父様のご無事な姿に、ホッと安堵しながらも、騙された怒りに震える私をよそに、お祖父様と父上はその後半刻(一時間)近く打ち合いを続けるのだった……。
凄く心配したのに!父上のバカっ…………!!
騙されはしたものの、確かに久しぶりの里帰り。せっかくなので母上や大兄様、小兄様達と懐かしい故郷の食事を堪能したり、久々にお祖父様に稽古をつけてもらうなどして、一週間ほど里でノンビリと過ごしてから帰路についた。
その間、父上とは一言も口を利いてやらなかった。この世の終わりのような顔をしていた父上の表情が可笑しくて、少し溜飲は下りはしたけれども。
後ろ髪を引かれる思いではあったけれども、見送りに来てくれた里の皆に別れを告げ、私は学院に向け出発をした。里での逗留と往復の期間を合わせれば約1カ月、随分と仕事も溜まっているだろう、統制会の皆にも迷惑をかけてしまった。急いで帰らなければ。
ーーヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!ーー
すぐ外にある村まで、約半分ほど森の中を進んだ所でそれは起こった。風を切る音と共に何本もの矢が私達降りかかり、供の者二名が倒れてしまった!?
バカな!? いくら歩き慣れた森と言っても、魔獣の類いは居る。当然それらの事は常に警戒していたし、油断はしていなかったはずだ!
それだけではない、我々は森の民ダークエルフ、ラーナにしてみても、気配察知に優れた狼獣族だ。その我等に気取られる事無く待ち伏せ、奇襲をかけるなど……!?盗賊、野盗の類いだとて相当の手練に違いない。
「姫様っ!! ぐっ…!? 」
しかも、突然の事に呆然としてしまっていた私を庇い、レイナルドがその胸に矢を受けてしまった!!
「レイナルドっ!? 」
「姫様…、申し訳…ありませぬ、不覚をとって…しまいました…… 」
矢傷が痛むのか、途切れとぎれに私に謝罪を言うレイナルド。違う!謝るのは私の方だ。突然の事に棒立ちとなり、武家の娘にあるまじき不様を晒してしまった!!
「姫…様、ラーナ…と一緒にお逃げくださ…い 」
息も絶え絶えになりながらも、それでも私の身を案じてくるレイナルド。
「バカを言うな!お前を放って行ける訳がないだろう!! ラーナ!手を貸してくれ、レイナルドを運ぶんだ!何とか里に戻ればきっと! 」
私は身体強化の魔法を唱え、ラーナと共に傷付いたレイナルドの身体を支えて、里へと戻る事を決意した。
ーーカツッ!ーー
クッ!? まただ、忌々しい!目の前の樹に突き刺さった矢を睨みつけながら、私達は方向転換を余儀無くされる。里へと戻る為、逃走を開始した私達だったが、いったい何処から狙っているのか、時折りこうして行こうとする方向の直ぐ目の前の樹に矢が突き刺さる。
その度、仕方なく逃げる方向を変えるが、まるで弄ばれているようで苛々とする。
だが、やはり私は未熟者だったようだ。少し開けた場所に出た途端、弓矢を構えた男達が取り囲む。本当に弄ばれていたようだ、逃げているつもりが、まんまと襲撃者達の張った罠の中へと誘い込まれてしまうとは!?
「さすが兄貴だ、お姫様を狙ったら、本当に一番出来そうな奴が庇って、一番足手まといになりやがったな!」
「だろう?忠誠心の高い奴ほど、よく引っかかンだよ 」
取り囲む男達の奥から、五人程の男達が進み出てくる。
「ハイハイ、お疲れ様。残念ながら終点だよ 」
頬に大きな刀傷のある男が戯けた調子で言葉を発した。
「貴様がこいつらの首魁か!この卑怯者共め!私達をどうするつもりだ! 」
「ん~?まぁ、そんなところだ。
卑怯?はン!負け犬の遠吠えにしか聞こえねぇなぁ 」
まるでネズミをいたぶる猫のように、ニヤニヤと嫌らしく嗤いながら私達を見てくる。
「なぁなぁ、兄貴!コイツをこのまま、あの貴族の変態息子に引き渡すのか?どうせ散々弄ばれてオモチャにされるんだ、その前に俺達で楽しんじゃダメなのか?さすがダークエルフ、好い身体してやがるぜェ?なぁ、いいだろ兄貴? 」
頬傷の男のすぐ隣に居た下卑た顔の男の、私の全身を舐める様な視線に怖気が走る。
「ああ、別にいいぜ?ただしお代はお前の命だがなぁ? 」
「じょ、冗談だよ、兄貴。勘弁してくれ 」
貴族の変態息子?私に言い寄って来ていた馬鹿者の内の誰かが、血迷って強行手段に出たという事か!? 男達は私達の事について、勝手な事を言い合っている。くそっ! 思ったよりレイナルドの傷は酷いようだし、何とか突破口を開かなければ!
「待てっ!取引がしたい! 」
ラーナが突然大きな声を出し、男達に交渉を持ちかけた。
「はァん?何だ?この状況で、取り引きが出来る立場だと思ってンのか? 」
「聞け!いや、聞いてくれ。姫様をこのまま見逃して欲しい。代わりに私のこの身を差し出そう。姫様に手出しをしないでくれるなら、私ごとき、どうなっても構わない。頼む!見逃してくれ! 」
「ラーナ!? 」
「クッ、クハハハハハハハッ!?見上げた忠義者だなぁ!いいゼぇ、お前に免じて、お姫様は見逃してやるよ、こっちへ来なぁ! 」
頬傷の男が愉しくて堪らないとでもいうように嗤う。
「ラーナ、ダメだ!」
「お別れです、姫様。両親と共に魔獣に喰い殺されるところだった私を、助けて頂いた御恩に報いる時が来たようです。姫様にお仕え出来て、本当に幸せでした。御達者で…… 」
瞳の端に僅かな涙を浮かべ、しかし屹然とした態度で、ラーナは私から離れ男達の方へと歩いて行く。
「ラーナ!?ダメだ!戻ってこい、ラーナ!! 」
「御涙頂戴の主従の別れは終わったかい? 」
「ふん!さあ、どうとでもするがいい……。だが、必ず約束は守れ! 」
「ああ、ほらテメェ等、お望みの女だ!好きにしなぁ! 」
頬傷の男が、下卑た顔の男の方へとラーナを突き飛ばす。男達は歓声を上げてラーナへと群がり乱暴に押し倒した。
なのに、なのに!ラーナは抵抗もしないで、私を見つめて微笑んでいる……!? 私にとって、大事な、妹のような存在が、私の為に穢されてしまう!
「やめろ!止めてくれっ!! 」
私は涙を流しながら懇願するがーービリビリビリッ!ーー男達は容赦無くラーナの着物を引き裂いた。
「人の心配をしている場合かぁ? 」
「なっ!? 無礼者!離せ!」
いつの間にか近付いていた頬傷の男に羽交い締めにされてしまう。それを見ていたラーナが、男達に押さえ付けられながらも、必死に叫ぶ。
「姫様っ!? やめろ!約束が違うぞ!姫様を離せっ!! 」
「いンや、約束は破ってないゼぇ?『俺達は 』手を出さない。だろぅ? クハハハハハハハッ!バカだねェ、さっき言っただろうが、『交渉できる立場か』ってよォ。
さぁて、お姫様、アンタを助けようとした娘の陵辱ショーの始まりだぁ! 俺様とゆっくり眺めようゼぇ! クッ、クハハハハハハハハハハハハハハハッ!! 」
「そんなっ!ラーナ!ラーナァァァァ!!」
グウッ!? 何とも出来ないのか!こんな屑のような男が、なぜ私より強い!?なぜ私はこんなにも弱いのだ!!
涙が止まらない……、誰か!誰でもいい、神や精霊でなくてもいい、悪魔だって構わない!! 今度は私が、この身を捧げるから!
誰か私達を助けて………………。
ラーナの方を見ていられなくて、泣きながら俯いてしまう。
その時だった。私の頬を、場違いなほど優しい風が撫でていったのは。
「え…っ!? 」
思わず上げた視線の先では、今まさにラーナが男達に陵辱されようとしているところだった。
だが、いつの間にかその直ぐ後ろに、その男は音も無く立っていた。 黒髪に黒い瞳という、珍しい容姿のその男は、なんの変哲もない普通の冒険者のような出で立ちをしていたが、ただ一つだけ……、見ているこちらの心までが凍り付いてしまいそうになる程、男達を見下ろす瞳は冷たかった……。
「闇の精霊……? 」
だが、ここは異世界、右も左も分からない。ましてやここは人里から遠く離れた森の中、いったい何処に行けば街や村があるのかサッパリ分からない……。
「こんな時はアレだな 」
地面に1メートル程の円を描いてきっちり四当分し、それぞれのマスに東、西、南、北と書き込んでから少し離れて、適当に落ちている小石を拾う。
『どうするんですか、マスター? 』
「こうするの、さっ! 」
俺が何をしているのか分からなかったのだろう、質問してきたアイに、拾った小石を描いた円の真上へと、山なりで放り投げるという行動で答えを示す。
小石は、四当分した円のマスの
中、「南」と書き込んだマスの所で止まった。
「よし!「南」へ向かおう 」
どうせ、何処に行けばいいのかも分からないんだ、なら、どの方向に向かおうと同じ事。俺は即席で作ったダーツの指し示した「南」へ向かうことに決めた。
人も通わぬ森やジャングルだろうと、必ず何かしらの獣道のようなものがあるもんだ。それを辿って行けば必ず川や池なんかの水場に出る。
それが川なら、下流に向かって進んで行けば、そのうち人里へと辿り着けるだろう。
まあ、例え何日野宿になろうと全く問題は無い。元々作戦行動時の野営なんかで野宿には慣れている。危険な猛獣が彷徨くジャングルでの野宿の経験も一回二回じゃない。ここが異世界で、猛獣の何倍も危険な魔獣が跋扈していようが、今は魔法があり、何よりアイがいる。さっきの戦力分析による現状の確認で、自分自身の戦闘力も格段にアップしている事も分かり、俺の心には一切の焦りも無かった。
数時間前の、テンパりまくっていた時とは違い、今の俺には、周りの風景を眺める余裕さえ出てきていた。
見知らぬ草花に、何処かで聞いたようなのに、その姿を見れば見たことも無いような極彩色の鳥達……。呑気に見えても意識を広げ、気配察知と索敵は忘れていないが、次々と現れる異世界ならではの光景に目を楽しませながら、アイと二人で会話をしながら進んで行く。
数時間後、邪魔な木の枝を鼻唄まじりに【風刃】で切り飛ばしていた時に、突然、俺の索敵範囲内に初めて人らしき反応が現れた。しかも複数人。
『マスター? 』
「アイ、人らしき反応があった。しかも複数人だ。ここから2キロ先、2時の方向だな。行って見よう!」
……しかし、2~3人の少人数の後ろを、少し離れて10人ほどの大人数が移動している。……これは、アレだな……、追われているのか?
たぶん厄介事が待っているんだろうな?と半分確信にも似た思いを抱きながらもアイにそう告げると、森の中でも極力音を立てないようにして反応のあった方向へと走り出した……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
全く父上にも困ったものだ!
私はセイリア・キサラギ、王都の王立高等魔術学院に籍を置く三回生で、学院では学生の代表である「統制会」の副会長の役職も務めさせて頂いている。
未だ若輩にして修行中の身であるダークエルフの未熟者なれど、学院の為、学院に集う生徒一人ひとりの為に粉骨砕身、日々努力しているつもりだ。
そんな折、王都から遠く離れた森の中にある里の父上より、遣いの者がやって来た。その手に携えられた父上からの手紙には、『お祖父様が体調を崩され、私に会いたがっている。ここ暫くは伏せっていてお元気もないので、久しぶりに帰って来て、顔を見せて元気付けてあげて欲しい』という内容が認められていた。
我がキサラギ家は武門の誉れも高く、齢九百歳を過ぎたお祖父様だったが、いつもお元気で、正に質実剛健、里に居た頃にはいつも剣の稽古をつけて頂いていたが、一本とて取れた事は無かった。
あのお祖父様が……。
私は直ぐに学院と統制会に事情を話した上で、しばらくの休学届けを申請し、家令のレイナルド、護衛兼侍女の狼獣族の少女ラーナ、その他の供の者数名と共に急いで里へと戻ったのだが……。
里のある森を目指して馬車を飛ばす。私達エルフ族には風の精霊の加護がある為、通常なら二週間かかる道程を10日余りで走破して、森の側にある小さな村へと辿り着いた。これ以上は馬車では行けないので、馬と馬車の護衛として三名程を残し、レイナルドとラーナの他には二名の供だけを連れて森へと分け入る。
ここからは徒歩で半日余り、他所者除けの結界を通り抜けると、唐突に隠蔽魔法の効果が途切れ、森が開ける。懐かしき我が故郷、ダークエルフの隠れ里だ。
里へと足を踏み入れた途端、色々な想いが溢れ出して、居ても立っても居られなくなった私は、生まれ育った屋敷に向かい足を早めた。
「お祖父様!ご無事ですかっ!? セイリア、只今帰参致しました! 」
屋敷へと飛び込み、家中の者達の挨拶への返答もそこそこにお祖父様のお部屋へと行ってみれば、お祖父様は縁側でお茶を飲みながら、のんびりと書を読まれているところだった。
「なんじゃ、セイリア?キサラギ家の娘がバタバタと騒々しい、どうしたのじゃ、いったい?学院はどうした? 」
「えっ!? は?……あれ? お祖父様、ご病気では……無かったのですか? 」
私の言葉に眉根を寄せ、怪訝な表情でお祖父様が尋ねてくる。
……………………あれぇ!?
「病気?ああ、暫く前に腹を壊しはしたのぉ……いや、アレは参った。しかし病気と呼ぶほどのものでは無いぞ? 」
「ですがっ!先日父上より手紙が届き、お祖父様が体調を崩されて伏せっておられると!お元気だったお祖父様のご病気と聞き、矢も盾もたまらず帰参して参ったのです! 」
私が事の次第をお話しすると、ピクリと片眉を跳ね上げたお祖父様は、すぐに家中の者を呼んだ。
「なるほどの……、読めたわ、あの馬鹿息子が。誰か!誰かある!ランドの馬鹿者を今直ぐ儂のところに呼んで参れ!! 」
お祖父様の声に召使いの者が直ぐに現れ、父上を呼びに走る。すると、暫くして父上がお祖父様のお部屋に現れた。
「父上、何か御用でしょうか?私をお呼びとの事でしたが……おお!?セイリア、良くぞ戻って参った! 待っておった… 」
「この馬鹿息子がぁぁぁぁぁっ!! 」
父上の話がまだ終わらないうちに、お祖父様が真剣を抜き放ち、父上に打ち掛かった!?
「おおぉぉっ!?何をなさいますか父上!? 」
間一髪、脇差しを抜いてお祖父様の一撃を防いだ父上が、慌てた声を上げる。
「何をなさいますかだぁ?娘会いたさに儂をダシにしおって!いくら150年振りに出来た末娘が可愛いからとて、恥を知れいっ! 」
「クッ…もうバレたのか…(ボソッ)そうは仰いますが、セイリアはまだ18歳、ここ一年程は里帰りもしていなかったのですよ!? 病気はしていないか?箱入り過ぎて、悪い男に騙されていないか?と、父上も心配されていたではないですかっ!! 」
「其れとコレとは話が別じゃあぁぁぁぁぁぁっ!! 」
キンッ!キンッ!キンッ!
事情が飲み込めず、ポカンとする私を置き去りにして切り結ぶ、先代当主と現当主。互いにキサラギ一刀流の達人同士、凄まじい攻防ではあるのだが……、
「どういう事だ……? 」
「察するに、姫様会いたさに、御屋形様が先代様が病気だと姫様を謀ったのでしょうなぁ…… 」
「なん……だと!? 」
いつの間にか側に控えていた家令のレイナルドが、事の真相を苦笑しながら私に伝える。
お祖父様のご無事な姿に、ホッと安堵しながらも、騙された怒りに震える私をよそに、お祖父様と父上はその後半刻(一時間)近く打ち合いを続けるのだった……。
凄く心配したのに!父上のバカっ…………!!
騙されはしたものの、確かに久しぶりの里帰り。せっかくなので母上や大兄様、小兄様達と懐かしい故郷の食事を堪能したり、久々にお祖父様に稽古をつけてもらうなどして、一週間ほど里でノンビリと過ごしてから帰路についた。
その間、父上とは一言も口を利いてやらなかった。この世の終わりのような顔をしていた父上の表情が可笑しくて、少し溜飲は下りはしたけれども。
後ろ髪を引かれる思いではあったけれども、見送りに来てくれた里の皆に別れを告げ、私は学院に向け出発をした。里での逗留と往復の期間を合わせれば約1カ月、随分と仕事も溜まっているだろう、統制会の皆にも迷惑をかけてしまった。急いで帰らなければ。
ーーヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!ーー
すぐ外にある村まで、約半分ほど森の中を進んだ所でそれは起こった。風を切る音と共に何本もの矢が私達降りかかり、供の者二名が倒れてしまった!?
バカな!? いくら歩き慣れた森と言っても、魔獣の類いは居る。当然それらの事は常に警戒していたし、油断はしていなかったはずだ!
それだけではない、我々は森の民ダークエルフ、ラーナにしてみても、気配察知に優れた狼獣族だ。その我等に気取られる事無く待ち伏せ、奇襲をかけるなど……!?盗賊、野盗の類いだとて相当の手練に違いない。
「姫様っ!! ぐっ…!? 」
しかも、突然の事に呆然としてしまっていた私を庇い、レイナルドがその胸に矢を受けてしまった!!
「レイナルドっ!? 」
「姫様…、申し訳…ありませぬ、不覚をとって…しまいました…… 」
矢傷が痛むのか、途切れとぎれに私に謝罪を言うレイナルド。違う!謝るのは私の方だ。突然の事に棒立ちとなり、武家の娘にあるまじき不様を晒してしまった!!
「姫…様、ラーナ…と一緒にお逃げくださ…い 」
息も絶え絶えになりながらも、それでも私の身を案じてくるレイナルド。
「バカを言うな!お前を放って行ける訳がないだろう!! ラーナ!手を貸してくれ、レイナルドを運ぶんだ!何とか里に戻ればきっと! 」
私は身体強化の魔法を唱え、ラーナと共に傷付いたレイナルドの身体を支えて、里へと戻る事を決意した。
ーーカツッ!ーー
クッ!? まただ、忌々しい!目の前の樹に突き刺さった矢を睨みつけながら、私達は方向転換を余儀無くされる。里へと戻る為、逃走を開始した私達だったが、いったい何処から狙っているのか、時折りこうして行こうとする方向の直ぐ目の前の樹に矢が突き刺さる。
その度、仕方なく逃げる方向を変えるが、まるで弄ばれているようで苛々とする。
だが、やはり私は未熟者だったようだ。少し開けた場所に出た途端、弓矢を構えた男達が取り囲む。本当に弄ばれていたようだ、逃げているつもりが、まんまと襲撃者達の張った罠の中へと誘い込まれてしまうとは!?
「さすが兄貴だ、お姫様を狙ったら、本当に一番出来そうな奴が庇って、一番足手まといになりやがったな!」
「だろう?忠誠心の高い奴ほど、よく引っかかンだよ 」
取り囲む男達の奥から、五人程の男達が進み出てくる。
「ハイハイ、お疲れ様。残念ながら終点だよ 」
頬に大きな刀傷のある男が戯けた調子で言葉を発した。
「貴様がこいつらの首魁か!この卑怯者共め!私達をどうするつもりだ! 」
「ん~?まぁ、そんなところだ。
卑怯?はン!負け犬の遠吠えにしか聞こえねぇなぁ 」
まるでネズミをいたぶる猫のように、ニヤニヤと嫌らしく嗤いながら私達を見てくる。
「なぁなぁ、兄貴!コイツをこのまま、あの貴族の変態息子に引き渡すのか?どうせ散々弄ばれてオモチャにされるんだ、その前に俺達で楽しんじゃダメなのか?さすがダークエルフ、好い身体してやがるぜェ?なぁ、いいだろ兄貴? 」
頬傷の男のすぐ隣に居た下卑た顔の男の、私の全身を舐める様な視線に怖気が走る。
「ああ、別にいいぜ?ただしお代はお前の命だがなぁ? 」
「じょ、冗談だよ、兄貴。勘弁してくれ 」
貴族の変態息子?私に言い寄って来ていた馬鹿者の内の誰かが、血迷って強行手段に出たという事か!? 男達は私達の事について、勝手な事を言い合っている。くそっ! 思ったよりレイナルドの傷は酷いようだし、何とか突破口を開かなければ!
「待てっ!取引がしたい! 」
ラーナが突然大きな声を出し、男達に交渉を持ちかけた。
「はァん?何だ?この状況で、取り引きが出来る立場だと思ってンのか? 」
「聞け!いや、聞いてくれ。姫様をこのまま見逃して欲しい。代わりに私のこの身を差し出そう。姫様に手出しをしないでくれるなら、私ごとき、どうなっても構わない。頼む!見逃してくれ! 」
「ラーナ!? 」
「クッ、クハハハハハハハッ!?見上げた忠義者だなぁ!いいゼぇ、お前に免じて、お姫様は見逃してやるよ、こっちへ来なぁ! 」
頬傷の男が愉しくて堪らないとでもいうように嗤う。
「ラーナ、ダメだ!」
「お別れです、姫様。両親と共に魔獣に喰い殺されるところだった私を、助けて頂いた御恩に報いる時が来たようです。姫様にお仕え出来て、本当に幸せでした。御達者で…… 」
瞳の端に僅かな涙を浮かべ、しかし屹然とした態度で、ラーナは私から離れ男達の方へと歩いて行く。
「ラーナ!?ダメだ!戻ってこい、ラーナ!! 」
「御涙頂戴の主従の別れは終わったかい? 」
「ふん!さあ、どうとでもするがいい……。だが、必ず約束は守れ! 」
「ああ、ほらテメェ等、お望みの女だ!好きにしなぁ! 」
頬傷の男が、下卑た顔の男の方へとラーナを突き飛ばす。男達は歓声を上げてラーナへと群がり乱暴に押し倒した。
なのに、なのに!ラーナは抵抗もしないで、私を見つめて微笑んでいる……!? 私にとって、大事な、妹のような存在が、私の為に穢されてしまう!
「やめろ!止めてくれっ!! 」
私は涙を流しながら懇願するがーービリビリビリッ!ーー男達は容赦無くラーナの着物を引き裂いた。
「人の心配をしている場合かぁ? 」
「なっ!? 無礼者!離せ!」
いつの間にか近付いていた頬傷の男に羽交い締めにされてしまう。それを見ていたラーナが、男達に押さえ付けられながらも、必死に叫ぶ。
「姫様っ!? やめろ!約束が違うぞ!姫様を離せっ!! 」
「いンや、約束は破ってないゼぇ?『俺達は 』手を出さない。だろぅ? クハハハハハハハッ!バカだねェ、さっき言っただろうが、『交渉できる立場か』ってよォ。
さぁて、お姫様、アンタを助けようとした娘の陵辱ショーの始まりだぁ! 俺様とゆっくり眺めようゼぇ! クッ、クハハハハハハハハハハハハハハハッ!! 」
「そんなっ!ラーナ!ラーナァァァァ!!」
グウッ!? 何とも出来ないのか!こんな屑のような男が、なぜ私より強い!?なぜ私はこんなにも弱いのだ!!
涙が止まらない……、誰か!誰でもいい、神や精霊でなくてもいい、悪魔だって構わない!! 今度は私が、この身を捧げるから!
誰か私達を助けて………………。
ラーナの方を見ていられなくて、泣きながら俯いてしまう。
その時だった。私の頬を、場違いなほど優しい風が撫でていったのは。
「え…っ!? 」
思わず上げた視線の先では、今まさにラーナが男達に陵辱されようとしているところだった。
だが、いつの間にかその直ぐ後ろに、その男は音も無く立っていた。 黒髪に黒い瞳という、珍しい容姿のその男は、なんの変哲もない普通の冒険者のような出で立ちをしていたが、ただ一つだけ……、見ているこちらの心までが凍り付いてしまいそうになる程、男達を見下ろす瞳は冷たかった……。
「闇の精霊……? 」
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