Over Rewrite Living Dead

きさらぎ冬青

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【2020/05 秘匿】

《第4週 火曜日 朝》①

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全身を洗い直して、髪の毛も洗って、洗面台のところにあるドライヤーで髪を乾かして、軽く髪を整えた。
浴室を出てベッドのある居室に戻ると、玲は案の定脱力しきってスヤスヤ眠っていた。眠りが浅いから3時間とか4時間もしたら目を覚ます。その頃には朝になってチェックアウトする客に紛れて出られるだろう。
玲の眠るベッドの横の空いているベッドの上掛けを剥いで中に潜り込む。本当は一緒のベッドで抱き寄せて眠りたいけど、そしたらまた玲はおれにちょっかいを出してきて、煽ってくるからダメだ。
目を閉じると、それまで隠れ歩いていた疲労と、快楽に溺れた代償であっという間に意識が落ちた。次に目が覚めたのは、玲に体を揺すられたときだった。
「ふみ、起きて、流石に腹減っちゃった、朝食ビュッフェ行こうよ」
と、いうことは朝7時とか8時くらいか。起き上がると、脱ぎ置いていたはずの服を手に、既に服を賄い終えた玲が近づいてきた。
シワを取ったり消臭するスプレーでも掛けてくれたのか、受け取ってみるとほんのりいい香りがして、置きっぱなしで心配していた皺はなく、ついていた皺も概ね消えていた。
下着は玲が自分用に買ったものなのか薄手で前開きがないビキニタイプのものを未開封で出してくれて、普段使っているものとは勝手は違いすぎるがなかなか悪くなかった。
「…ありがと…。てかお前呑気だな、一般人巻き込んだらどうすんだよ」
「大丈夫だって流石に狙えないでしょ。まさかこんな現場とか所轄に近いとこにいるとは思ってないでしょ。てかねえ、そもそも組織の人間と違ってこんな朝っぱらから真面目に働かないでしょ半グレなんか」
なんかって、なんちゅうひどい言い草だ。
他のお客に紛れて食事してそのまま他のチェックアウトするお客に紛れて出ていけばいいじゃん、電車も混み合う時間だし」
なんだ、考えていたことは一緒か。
ウェブサイトを確認したら利用時のマスクの着用を求める注意書きがあったとのことで、今はどこもそうなっているだろうからと玲は不織布のマスクを出してくれた。何枚か予備もくれた。
部屋のカードキーとスマートフォンとカードケースを持った玲と、1階の会場になっているフォレストガーデンに向かう。
相変わらず玲はひどい偏食で、食べられるものの中から気に入ったものを繰り返し持ってきては食べていて、やたらと水分を欲しがって果物もいっぱい食べた。
それでも一時期よりは全然食べられるようになっていて、固形物も口にするようになっていて、少し嬉しかった。
「ツインの朝食付きプランになってるからかかんないけど、大人3750円だよ?おれは多分無理だけどふみはもっと食べて元取りなよ」
「無茶言うなよ、おれそんな大食いじゃないの知ってるだろ。てかお前案外そういうとこセコいよな」
他愛のないことをしゃべりながら、本当に二人だけで食事するなんて、何気に今までなかった気がする。ずっとこのままいられたら、こんな関係じゃなかったら、もっとこんな時間があったんだろうか。
満足するまで食べきって、片付けて人並みに紛れてロビーに向かう途中、玲にトイレに寄りたいと言われた。せっかくなら今のうちにきれいなとこで用を足しておこうと一緒に向かった。
ピアスが付いている故に個室に入って用を足す必要があって、玲が用を足しに入ると地味に時間がかかる。用を足し終わって個室の扉の前で待っていると、中から呼ぶ声がした。
「ふみ、ちょっといい?開けるね」
幸い誰も居ないので開けていいことを伝えると、開いた扉の中から手が伸びて、中に引き込まれた。
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