Over Rewrite Living Dead

きさらぎ冬青

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【2020/05 不時着】

《第3週 日曜日 夜》⑮ (*)

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体を起こし、肘を畳んで手首を返して、自分の胸の筋肉の上でふっくらと浮き上がっている薄紅色のふくらみを指の先で円を描くように擽る。脚の間で疼くものと連動してどうしようもない抗いがたい快感が脳に直撃し、視界が真っ白になる。
つばさに為されるがまま、おれは情けなく声を上げて、腰を振り、膝から下をガクガク震わせて、快楽に溺れた。制御できなくなってつばさの上に崩れ落ちないようにするのが精一杯だった。
絶頂が訪れるのを見計らって、つばさが含んでいたものを口から出し、その先端を顔に向けたまま手で肉茎を握って扱く。後孔の中で膨らみを撫でていた指も立てて、爪の先で更なる刺激を与えてくる。
「フジカワさん、我慢しないで、出して」
やさしく見つめて語りかけられ、羞恥が高まるとともに、おれは堪えきれず、普段出さないような濁った喘ぎ声を上げて全身を痙攣させて達した。そして一気に脱力してベッドの上に尻餅をついて、仰向けに倒れて、壁に頭を打った。
驚いたつばさが立っておれに駆け寄る。その髪や顔から胸元にはべったりと、おれが放った精液がこびりついて、腹や腿まで滴って汚れていた。特に口元から顎先にかけては、本当にドロドロに精液に塗れていた。小首を傾げておれを見下ろすその顔から、糸を引いてまだ尚滴っている。
「大丈夫…ですか?」
肩肘で上半身を起こして、つばさの顔を拭って頷くと、つばさは安堵した様子を見せた。
「そろそろシャワー浴びたら丁度いい時間ですよ」
おれの腕を引いて体を起こして、立ち上がったおれの腰に手を回して支えてくれた。そのまま一緒に風呂場に向かう。
「情けないところ見せちゃったな」
呟くとつばさは「そんなことないですよ、情けない人は120分で3回もできませんから」と笑った。
「でもね、ご存知だとは思いますけど、ほんとは挿入、オプション申請して先払いでいただかないとダメなんですからね。あと、生はダメなんですよ?」
シャワーヘッドを手に、お湯が出るのを待ちながらつばさは続けて言った。
「はは、ですよね、ごめんなさい…」
冷静に戻って恐縮しきるおれに「でも、また呼んでくれるなら、内緒にしておきますよ」と耳打ちしてからシャワーの水流を向けた。
おれはまたあとでゆっくり入ればいいので、さっと汚れた部分だけを洗って先に出た。つばさには髪まで汚れてしまったのでシャンプーでもなんでも使っていいことと、ドライヤーを洗濯機のところに出しておくことを伝えた。
タイマーを見ると残りは少ないが、多分シャワーする時間は引いてセットしているはずだ。おれは待っている間スマートフォンを出してニュースに目を通す。
やはり報道自体を控えるように要請されているのか、あまり情報がない。特に大きな衝突や事件はその後起きてはいないようだけど、征谷さんのいなくなったあと、組織は誰が維持するんだろう。謀反を企てた人間にはどう対抗していくんだろう。
「お風呂、ありがとうございました」
気がつくとつばさが風呂から出て服を着直して、ドライヤーを手に立っていた。ちょうどタイマーが鳴ったので止めて、座って使い終わった道具やタオルを片付けてから、髪の毛を乾かし始めた。
「フジカワさん、ほんとに、また呼んでくださいね、おれ…」
ドライヤーの音に紛れて消えそうなほど細い声で、つばさはおれに告白した。
「わかってます、好きな人がいることも、その人と暮らすかもしれないことも、でも…」
後ろから抱き寄せて、耳元にキスした。
「ありがと、うれしいよ」
振り返ってつばさはおれにきつく抱きついて、おれに「大好き、待ってる」と囁いた。
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