Over Rewrite Living Dead

きさらぎ冬青

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【2020/05 不時着】

《第3週 日曜日 夜》⑧ (*)

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予約した開始時刻まではまだ少し時間があったので比較的ゆっくり準備できた。時間と髪の毛の水気をタオルで拭いて軽くドライヤーをかけ、歯を磨いて、マウスウォッシュで濯いで、普段寝るときに着ている服装で到着を待った。
予定していた時刻丁度にインターホンのチャイムが鳴った。室内のモニターの応答ボタンを押すと、見覚えのある顔がこちらを覗き込んで微笑んでいる。そう。第2週の月曜日、先生の授業を受けた日、先生の首筋に新しい痕を見つけて、堪えきれなくなって帰りに駅前のホテルに駆け込んで、この子を呼んだ。あのときのあの子だ。
「すみません、開けますね」
一言声を掛けて玄関に向かい、施錠を解除してドアを開けた。
「こんばんは、お邪魔します」
肩からプレイに必要な道具や私物の入ったトートバッグを下げ、もう片方の腕にはバスタオルとフェイスタオル、殺菌成分の入ったグリンスと呼ばれる洗浄剤や歯磨きセットの入ったエコバッグを持っている。
入って直ぐキッチンと洗濯機置場があって、玄関が狭いことを詫びると「都心だと何処もそんなもんじゃないですか?うちも似たようなものですよ」と笑った。風呂場やトイレの場所を伝えてシャワーは済ませているから居室で待ってていいか訊くと、引き止められた。
「ごめんなさい、前回スルーしたんですけど、あのあとお店の他の子が検査で引っかかって、性病が見つかったことがあって、今は一緒にシャワーを浴びない人には接客しちゃダメって言われているんです。あとやっぱ到着連絡して先にタイマー掛けて、お代も確認させていただきたいです」
そりゃそうだ。なんか今日おれ、やっぱりおかしいかもしれない。頭の中がぐちゃぐちゃなまま呼んじゃったのもあるけど、やっぱり先生の誘いに応じなかったせいで溜まってんのかな。変に気が急いている気がする。
「そっか、だよね、なんか、ごめんね」
「でも、正直びっくりしました、また呼んでもらえるなんて。しかも今回ご自宅なんて、ちょっとうれしい」
キャストの子はそういう遣り取りには慣れているのか、優しくフォローしてくれる。プロだし、社交辞令ではあるんだろうけど。お店に到着連絡を済ませてタイマーを準備したところを見計らって、声を掛けて抱き寄せた。
「ありがと、おれ、今日余裕がないかもしれない、嫌だったらごめん…えっと、名前…」
「…フジカワ様、でしたよね?つばさ、ですよ」
こちらを見上げて言って、おれの腰に手を回し、胸に顔を埋めた。そして唇で胸元を探って、僅かな膨らみを見つけて捉えると歯に唇で覆いを作って上下の唇で挟みこむようにして啄んだり、顔を横に揺すって唇で先端を擦った。同時に、華奢な手が内腿から脚の間に滑り込み、刺激に反応してぴくぴくと振れる先端を掌が包んで優しく撫で擦る。
再び顔を上げ、爪先立ちになって少し背伸びをして、仰け反って目を閉じてた顔に、身を屈めて顔を寄せた。いつもならお店の子とはキスはするまいと思い避けているのに、我慢ができなかった。額と頬に軽く口付けてから、唇に軽く触れ、そこから互いに軽く舌先を触れ合わせたり、唇を啄んだり舐ったりした。
つばさの羽織っているカーディガンの上から、胸元の膨らみを指先で転がすように探って、時折そっと摘み捏ねるように苛むと、体がぴくんと跳ね、甘い声を漏らした。唇を離して、顔を覗き込んで名前を呼ぶ。
「つばさ、って呼んでもいいの?」
潤んだ目でおれを見上げて、小さく頷く。たまらなくなって、もう一度身を屈めて、今度は口づけると容赦なく深く舌を捩じ込んで中を探った。自分より小さな舌が健気におれの舌を包むように迎え入れ、屹立したものを優しく撫でる手と連動するかのように優しく舐る。腹の奥が悦びに震え、繰り返し収縮して先走りを大量に分泌した。



※注:【グリンス】
 丸石製薬の製品で正式名はグリンスアルファー。
 殺菌防腐防黴剤であるイソプロピルメチルフェノールが配合されている。
 主に医療関係や食品関係に従事する方の手指の洗浄消毒に使うものだが、傷や出来物がある状態でこれを使うと染みるので、衛生状態があやしい相手や店やキャストを固定せず風俗遊びに浸ってるような気配がある相手の場合は原則必ず一緒にシャワーに入ってこれで陰部を洗浄して状態を確認しながら洗う。
 陰部に繁殖している雑菌などは洗浄されるためニオイも多少軽減するが、それ自体に性病を防ぐ効果があるわけではない。
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