Over Rewrite Living Dead

きさらぎ冬青

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【2020/05 道連れ】

《第3週 木曜日 夜》⑤ (*)

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涙に濡れた頬を舐め、その唇を首筋から肩へ、二の腕を甘咬みしてそのまま肘から先、傷痕だらけのガタついた表面をも、傷痕の感触を舌先で確かめながらなぞっていく。
白い線になったところと瘢痕化して盛り上がった部分と、それぞれになぞられる度に、その皮膚の下にある他の部分にはない見えない引き攣れや痼りに触れてざわざわする。
一際深い、自分でつけたものではない刺し痕が縦に走る側面の薄い膚に、憐れむように先輩は何度も口づける。同じように深い傷が残る手の側面にも同じように触れた。
曲げることができなくなった左の手の薬指と小指を口に含んで歯を立てられても、あまり感覚がなくて他人の手を見ているような感覚になる。おれは先輩の口元に手を翳して拒んだ。
先輩は顔を伏せて脇から胸、臍下まで口づけておれの右の脚を持ち上げる。二の腕を甘咬みしたときと同じように内腿を咬んで、強く吸った。刺すような痛みとともに紫斑が残る。
膝頭から脛を通って踝の内側から土踏まずを舌先が這うと、膝が振れた。足の指を口に含んでその間にまで舌が這う。肘をついて上半身を起こして先輩の先輩の口元に手を伸ばす。
しかし今度はそれを阻まれてベッドに沈められる。上から頭を押し付けたまま、先輩はおれの脚の間に割って入り身動きを封じた。曝け出された下腹部を臍下から撫でる。
骨の当たるとこを探り当て、そのやや上の柔い部分を親指の腹で加減しながら弄って位置を確かめる。突き当りの奥を探られて、まだ挿入されていないのに中が疼いた。
拳を軽く握ってそこをぐりぐりと押され、不意にそこを軽くノックされる度、声をあげて乱れていくほどに先輩は昂り、脈打って重みを増していく。先走りが垂れ、おれの花蕊に滴った。
抑えきれない声を遮るために口元に添えた手を、頭を抑えていた手で先輩が掴んで拘束する。下腹部をノックしていたもう片方の手は後孔に忍び寄りつつあった。
「なぁアキくん、入れてほしい?やめてほしい?どっち?」
「…て…」
涙声で答えると「聞こえへんで、ほら、もっかい、ちゃんと言うて」と、先輩がおれの顔を覗き込み、優しく微笑む。
「…入れて、もう、ほしい…」
羞恥に震えながら言うおれを満足気に見て、おれがベッドに適当に丸めて置いたバスタオルを軽く畳んで腰の下に入れ、自身のものを押し当てた。
結合部となるその上からラミネートチューブに入った潤滑剤を絞りゆっくりと垂らす。もったりとした冷たい感触が伝ってくるのと同時に、その冷たいもので包まれた肉の塊が侵入してくる。
一度閉じた口を割って、奥に突き当たるまで中の感触を確かめながら入れると、先輩は前傾姿勢になって近づいた。額を寄せて、潤んだおれの目を見つめたまま一度腰を引く。
中途半端な位置で止め、脇腹から腹斜筋にかけてそろそろと立てた指を這わせる。指の背でそのまま折り返し戻って、胸の突起と、そこを飾るピアスの軸を弾いた。
おれの体はもどかしがって、中は奥まで入れてほしいと懇願するように収縮を繰り返す。中で張り詰めている先輩のものが中の膨らみを圧迫して、先走りを押し出し、先端を汚していく。
「どしたん?なぁ、これでええの?」
近すぎて何も見えない視界の中で、先輩の形の良い唇が動いているのが見える。
「だめ、奥まできて、焦らさないで…」
先輩は再び奥まで押し込んでは少しだけ引く。堪えられずに奥に当たるように自ら腰を動かすと、おれの腰骨に手を添えて押さえつけて先輩は腰を引いて逃がして、そこにある神経が多く通る襞を執拗く探る。
繰り返し荒く吐息を漏らし、身を捩るおれを先輩は言葉で責めて追い込んでいく。
「アキくん、言わんとわからへんよ」
額で額を撫でるように擦り付けられると、瘢痕化している傷痕もチリチリと脳を擽るように疼いた。
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