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【2020/05 埋火】
《第3週 木曜日 午後》③
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でも、先生との関係を、おれは諦めたくない。
先生には優明さんのことはゴールは見えているんだし、これを機に早くそんなことから手を引いてもらわないと。やっぱり多少嫌われても優明さんの話題出してやめるよう説得したほうがいいんじゃないかという気がしてきた。
同棲についてはそれはそれで、おれが自分でメリット提示して、先生の下心以外の部分にも訴求して説得すればいい。法医学学ぶのは他の先生や学校でもいいならそれでいいし、署に戻って本来の予定通り鑑識係一年生として地道にやっていくでもいいし、なるように任せればいい。
「小曽川さんは、いつくらいからその、ウリの事は知ってたんですか」
「前におれ、先生がうちにケーキ持って来て、その後しばらくして駅で泣いてるの見た、来なくなったって話、したじゃないですか。アレがなんでだったかって、今回のこれですよ。先生の親からうちに話が来たんです」
と、いうことは、思春期に差し掛かり始めるくらいの微妙な時期から、自分の妹の実の父親が男に体を売ってカネを作って仕送ったりプレゼント送るのを見てきたわけか。なるほどそりゃ先生のこと微妙に辛辣な目で見るわけだ。
「つまり、ウリやってるのが優明さんのためと知られて」
「そういうことです、先生の親は、ウチの親から言ってもらえたら気まずく感じてやめてくれると思ったんですかね。そんなの直接自分たちで叱るなり、言えばいいのに」
そうだよなあ、なんで態々、小曽川さんちを巻き込んだんだろう。
「親御さんは、先生が自分から話してくれるのを待ってるとか、気づいて反省してくれるのを待ってるとかではないんですか?」
「うーん、どうかなあ。先生の親って甘やかしたり放任してるように見えて、実際のところ過保護で、先生が家を出てからずっと興信所つけて定期的に先生の行動監視してんですよね。でも直接は干渉したり咎めたりはしないんですよ。正直良くわかんないんですよね。過干渉で支配的なうちの親とは違いすぎるせいもあるけど、わかんないです」
先生の家庭のことは、大石先生から少しは聞いたけどおれもよくわからない。先生の状況が特殊すぎるのもあるけど、一旦記憶を失くして退行していた先生が、どうしてそんな事になったのか、どうしても想像ができない。
家に連れ帰った大石先生と肉体関係を持ってたこと自体、相当に早熟だとだとは思うけど、事件の影響で性依存症だったことを踏まえても、それが親公認で罷り通っていたことも異様だとは正直思っていた。
でも、だからといって、大石先生という相手が居たはずなのに、いつ、どうして、他の人に体を売るなんてことになったのか。そこまでの経緯がまったくわからない。大石先生に訊けば教えてくれるんだろうか。
あと、さっき昼を食べた時「長谷くん、アキくんのお母さんに会って訊いてみたら?おれアポとってあげてもいいよ」と大石先生は言った。一旦は断ってしまったが、頼む価値はあるんじゃないか。
「小曽川さん、ありがとうございます。おれ、大石先生にもちょっといろいろ訊いてみます」
「うん、大石先生週末泊まり込みだから、訊くなら今日のうちが良いと思いますよ」
おれはトーク画面を切り替えて、大石先生にメッセージを打つ。
「先生、お疲れさまです。藤川先生が居る建物で発砲事件があり今日は帰宅することになりました。先生のお時間あるときで良いので連絡ください、お待ちしています」
既読はつかない。附属病院内で指導中で端末を確認できないのかもしれない。おれは一旦帰宅して、ジムに出かけて時間を潰してくることにした。
先生には優明さんのことはゴールは見えているんだし、これを機に早くそんなことから手を引いてもらわないと。やっぱり多少嫌われても優明さんの話題出してやめるよう説得したほうがいいんじゃないかという気がしてきた。
同棲についてはそれはそれで、おれが自分でメリット提示して、先生の下心以外の部分にも訴求して説得すればいい。法医学学ぶのは他の先生や学校でもいいならそれでいいし、署に戻って本来の予定通り鑑識係一年生として地道にやっていくでもいいし、なるように任せればいい。
「小曽川さんは、いつくらいからその、ウリの事は知ってたんですか」
「前におれ、先生がうちにケーキ持って来て、その後しばらくして駅で泣いてるの見た、来なくなったって話、したじゃないですか。アレがなんでだったかって、今回のこれですよ。先生の親からうちに話が来たんです」
と、いうことは、思春期に差し掛かり始めるくらいの微妙な時期から、自分の妹の実の父親が男に体を売ってカネを作って仕送ったりプレゼント送るのを見てきたわけか。なるほどそりゃ先生のこと微妙に辛辣な目で見るわけだ。
「つまり、ウリやってるのが優明さんのためと知られて」
「そういうことです、先生の親は、ウチの親から言ってもらえたら気まずく感じてやめてくれると思ったんですかね。そんなの直接自分たちで叱るなり、言えばいいのに」
そうだよなあ、なんで態々、小曽川さんちを巻き込んだんだろう。
「親御さんは、先生が自分から話してくれるのを待ってるとか、気づいて反省してくれるのを待ってるとかではないんですか?」
「うーん、どうかなあ。先生の親って甘やかしたり放任してるように見えて、実際のところ過保護で、先生が家を出てからずっと興信所つけて定期的に先生の行動監視してんですよね。でも直接は干渉したり咎めたりはしないんですよ。正直良くわかんないんですよね。過干渉で支配的なうちの親とは違いすぎるせいもあるけど、わかんないです」
先生の家庭のことは、大石先生から少しは聞いたけどおれもよくわからない。先生の状況が特殊すぎるのもあるけど、一旦記憶を失くして退行していた先生が、どうしてそんな事になったのか、どうしても想像ができない。
家に連れ帰った大石先生と肉体関係を持ってたこと自体、相当に早熟だとだとは思うけど、事件の影響で性依存症だったことを踏まえても、それが親公認で罷り通っていたことも異様だとは正直思っていた。
でも、だからといって、大石先生という相手が居たはずなのに、いつ、どうして、他の人に体を売るなんてことになったのか。そこまでの経緯がまったくわからない。大石先生に訊けば教えてくれるんだろうか。
あと、さっき昼を食べた時「長谷くん、アキくんのお母さんに会って訊いてみたら?おれアポとってあげてもいいよ」と大石先生は言った。一旦は断ってしまったが、頼む価値はあるんじゃないか。
「小曽川さん、ありがとうございます。おれ、大石先生にもちょっといろいろ訊いてみます」
「うん、大石先生週末泊まり込みだから、訊くなら今日のうちが良いと思いますよ」
おれはトーク画面を切り替えて、大石先生にメッセージを打つ。
「先生、お疲れさまです。藤川先生が居る建物で発砲事件があり今日は帰宅することになりました。先生のお時間あるときで良いので連絡ください、お待ちしています」
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