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【2020/05 埋火】
《第3週 木曜日 昼》②
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「それが、おれのこと知りたかったら、おれが死んで預かりしらん状態になってから、墓を暴くつもりでやれって言われちゃって」
「あぁ…そういうことね…でも長谷くんは知りたいんでしょ?」
否定できない。でも、今は。
「でも、今はやめておきたいです、同棲のお約束が反故になるの嫌なんで」
「チッ、そこはやっぱ乗らないか」
チッって。まさかメッセ上で舌打ちされるとは。
「もう大石先生がだいぶ腹黒であることはわかったのでその手には乗りませんよ」
そう返信したところで、タイミングを合わせてくれたのかそれぞれ注文していたメニューが届いた。
「先生のは何の冷麺ですか?」
「ヨダレ鶏のやつだよ。良くないとわかってもつい頼んじゃうんだよね辛いやつ」
一旦スマートフォンを置いて、紙ナプキンを置いてマスクを外して置き、箸を手にとって黙々と食べる。冷麺自体が久しぶりだったのもあるけど、具沢山で食べごたえがあっておいしかった。
食べ終わってコーヒーを飲みながら再びメッセージを送る。
「こんなに食べて、午後眠くなりませんか?」
「おれ午後はずっと指導で立ちっぱなしだし、ずっと目を配ってないといけないし動き回るからそうでもないかな。長谷くん午後何すんの?」
そういや何も確認しないで出てきちゃったなあ。
「まだ聞いてないです、戻って確認します」
「そもそもまたおれとメシ食ってたのバレたら怒られるんじゃないの?」
あ、その可能性、考えてなかった。しまった。
「まあ怒られたら、今度は嘘つかないでおれのせいにしていいよ」
焦りを隠しきれないおれを見て、大石先生が笑う。
「正直さ、絶対離れない、渡さないとは今も思ってるよ。でもさ、おれ、アキくんは長谷くんとはうまくいくんじゃないかなってなんとなく思ってるんだよね」
「なんでですか?もうバッチリ一旦ふられちゃってますよ?」
大石先生はマスクをつけ直して、伝票を持って立った。
「それはそれだと思うよ?おれ準備あるから先戻るね」
あまりに流れるようにスマートに持っていかれてしまったので、結局ここも大石先生のおごりになってしまった。暫くして、コーヒーを飲み終えておれも店をあとにした。
本館のコンビニで飲み物を買って戻る途中、不審な破裂音が聞こえた。周りを見渡すが、特に何か起きた様子はないようではあった。しかしおれにはこの音に聞き覚えがあった。拳銃の発砲音だ。
この辺りでこの音がある程度の大きさで鳴ったということは、何処に向かって撃ったんだ?ここは拳銃を要するような場所じゃない。とりあえず飯野さんに報告して指示を仰ぐ。
「大学本館のコンビニ近くで発砲音がしました。通報があるかもしれません。管轄署に伝えて確認をとってください。藤川先生の部屋に戻るところなので周辺状況観察して気づいた点があれば改めて報告します」
飯野さんからは「了解。くれぐれも気をつけて行動するように。戻ったら支持があるまで部屋から出ないこと。藤川先生や周辺の方に危害が及ばないよう暫く待機願うように」と返信があった。
おれは不審な人物が居ないか、痕跡が残っていないか確認しながら先生の部屋がある建物に向かう。すると、丁度その建物の前が騒がしく、防災センターや教務から人が集まっている。
「すみません、こちらで藤川先生にお世話になっている高輪署の者です」
声をかけると「ああ、長谷さん」と教務の方が気づいてくれた。
「大変です、発砲があって、この建物の壁に銃痕ができてて」
なんてこと。なんで、よりによってここに?
「あぁ…そういうことね…でも長谷くんは知りたいんでしょ?」
否定できない。でも、今は。
「でも、今はやめておきたいです、同棲のお約束が反故になるの嫌なんで」
「チッ、そこはやっぱ乗らないか」
チッって。まさかメッセ上で舌打ちされるとは。
「もう大石先生がだいぶ腹黒であることはわかったのでその手には乗りませんよ」
そう返信したところで、タイミングを合わせてくれたのかそれぞれ注文していたメニューが届いた。
「先生のは何の冷麺ですか?」
「ヨダレ鶏のやつだよ。良くないとわかってもつい頼んじゃうんだよね辛いやつ」
一旦スマートフォンを置いて、紙ナプキンを置いてマスクを外して置き、箸を手にとって黙々と食べる。冷麺自体が久しぶりだったのもあるけど、具沢山で食べごたえがあっておいしかった。
食べ終わってコーヒーを飲みながら再びメッセージを送る。
「こんなに食べて、午後眠くなりませんか?」
「おれ午後はずっと指導で立ちっぱなしだし、ずっと目を配ってないといけないし動き回るからそうでもないかな。長谷くん午後何すんの?」
そういや何も確認しないで出てきちゃったなあ。
「まだ聞いてないです、戻って確認します」
「そもそもまたおれとメシ食ってたのバレたら怒られるんじゃないの?」
あ、その可能性、考えてなかった。しまった。
「まあ怒られたら、今度は嘘つかないでおれのせいにしていいよ」
焦りを隠しきれないおれを見て、大石先生が笑う。
「正直さ、絶対離れない、渡さないとは今も思ってるよ。でもさ、おれ、アキくんは長谷くんとはうまくいくんじゃないかなってなんとなく思ってるんだよね」
「なんでですか?もうバッチリ一旦ふられちゃってますよ?」
大石先生はマスクをつけ直して、伝票を持って立った。
「それはそれだと思うよ?おれ準備あるから先戻るね」
あまりに流れるようにスマートに持っていかれてしまったので、結局ここも大石先生のおごりになってしまった。暫くして、コーヒーを飲み終えておれも店をあとにした。
本館のコンビニで飲み物を買って戻る途中、不審な破裂音が聞こえた。周りを見渡すが、特に何か起きた様子はないようではあった。しかしおれにはこの音に聞き覚えがあった。拳銃の発砲音だ。
この辺りでこの音がある程度の大きさで鳴ったということは、何処に向かって撃ったんだ?ここは拳銃を要するような場所じゃない。とりあえず飯野さんに報告して指示を仰ぐ。
「大学本館のコンビニ近くで発砲音がしました。通報があるかもしれません。管轄署に伝えて確認をとってください。藤川先生の部屋に戻るところなので周辺状況観察して気づいた点があれば改めて報告します」
飯野さんからは「了解。くれぐれも気をつけて行動するように。戻ったら支持があるまで部屋から出ないこと。藤川先生や周辺の方に危害が及ばないよう暫く待機願うように」と返信があった。
おれは不審な人物が居ないか、痕跡が残っていないか確認しながら先生の部屋がある建物に向かう。すると、丁度その建物の前が騒がしく、防災センターや教務から人が集まっている。
「すみません、こちらで藤川先生にお世話になっている高輪署の者です」
声をかけると「ああ、長谷さん」と教務の方が気づいてくれた。
「大変です、発砲があって、この建物の壁に銃痕ができてて」
なんてこと。なんで、よりによってここに?
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