Over Rewrite Living Dead

きさらぎ冬青

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【1989/05 komm tanz mit mir】

《第二週 土曜日 午前》⑤ (*)

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「え?」
「それでね、人間もするんだよ、しってる?」
アキくんの指が体の隙間に入り込み、先端を捉え上から握るように包んでやわやわと揉む。未熟で過敏な部分が包皮の中でシャボン液で滑り、堪えきれなくなって情けなくおれは声を漏らした。アキくんの方に添えていた手をアキくんの腰に回す。
「ハルくん、きもちい?おはなしきいてる?」
耳元でやさしく囁かれる度、耳の奥が刺激されて脳が、腰から下が溶けそうだ。内腿から膝がガクガクと震え、意識が飛びそうになる。なんとかアキくんの顔を確認して頷いてみせると、アキくんの唇は耳元、頬と徐々に近づいて唇に重なった。
柔らかい舌を受け容れて互いに探り合う音と、おれの漲った茎胴を弄ぶ音、互いの呼吸音だけが換気口の乾いた風の音ともに浴室に谺している。
おれはアキくんの腰に回していた手を少しずつ下に滑らせ、肉の薄い小さな尻を、その下の内腿の柔い部分の感触を探り、その間に指を潜り込ませた。そしてその奥にある蕾に指先を押し付けてそっと、ゆっくりと解すように動かした。
そこでアキくんは少し顔を離して「ベビーオイル使う?」と言って、浴槽の縁に置いていた小さなボトルに手を伸ばして取り、おれに渡した。蓋を開けて互いの左右の手に馴染ませ、ボトルを置く。再びどちらともなく行為を再開させた。
アキくんの秘門は思いの外柔らかく、おれの指は徐々に、扠したる抵抗もなく飲み込まれて狭く窄まった入口を抜け、その奥の粘膜の中に包み込まれていった。しかし、この体勢では第二関節以上はおれの手首をへし折らない限り入っていかない。
指を引き抜くと、アキくんは次におれがどうしたいのか知っていたかのように、床に膝をついて浴槽の縁に手をかけて凭れ掛かり、こちらに尻を向けた。
「ハルくん、続き、していいよ」
上気して頬から首筋を赤く染めて、潤んだ目でアキくんは振り返り、おれを見た。
「アキくん、誰かとこういうことしてるの?」
「ううん、ハルくんがはじめて」
脳内に何かが焼き切れるような感触が走る。
おれは、アキくんの中に再び指を這わせ、掌を下に返して性器と刺激がつながるところを探った。指を根本近くまで埋めると膨らみ狭まっている箇所を捉えた。少し押すようにしてその部分を繰り返し指で撫でると、アキくんは声を漏らして体を震わせた。
もう一度指を引き抜いて、オイルを改めて指に垂らしてから中指と薬指で再び探る。中で指を少し広げたり、交互させて動かす度にアキくんは女の子のような声で喘いだ。
おれは情欲や本能、エゴに踊らされて道を踏み外すようなことは御免だと思っていた。
でも、実際にそれを刺激するもの、自分が欲するものを目の前にしたとき、これほどまでに抗うことが難しいものだとは思っていなかった。おれは押し殺して見ないふりをしてきただけだった。
指を引き抜いて、おれはオイルを自分の性器に垂らし、その先端を露出させて、アキくんの後孔の窄まりにあて、押し付ける。アキくんがゆっくり深く息を吐くと、ずぶりと先端が飲み込まれて中に滑り込んだ。
その瞬間達してしまいそうになったけど一旦そこに留まって堪えた。
「いたくない?」
声をかけると、アキくんは小さく頷いて「へいき」と答えた。そのまま根本までゆっくり押し込んでいく。さっきの膨らんで狭くなったところを通過するとアキくんがガクガクと膝を震わせた。中が収縮を繰り返し、おれのものを吸い上げるように締め付ける。
たまらなくなっておれはアキくんの背中に凭れかかり、脇から腕を差しいれて肩を掴んで引き寄せ、腰を振った。中の膨らみをおれの先端の張り出した雁首が引っかき、アキくんの中がその動きに合わせて収縮する。それによって抜き差しするたび全体が吸引される。
堪えきれず間もなくおれはアキくんの中で吐精してしまった。出し切って居るはずなのに拍動が暫く続き、昂ぶった茎胴もなかなかおさまらない。だからといってこのまま引き抜かず中で収縮する内部に留め刺激を与え続けていたらおかしくなりそうだった。
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