Over Rewrite Living Dead

きさらぎ冬青

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【Ἔρως(Erōs)】

《第二週 日曜日 午後》

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なんとか動ける状態になってから、シャワーを浴びて、中を洗い流してから服を着直した。骨盤の中全体はおろか、最早全身の節々まで痛い。今でこの状態なら明日はダメージは倍だろう。年寄りはやや遅れてガタがくる。
最寄り駅まで送っても中途半端で不便だろうと思い、新宿駅までは送ることにした。
歩く間にプライベート用のスマートフォンのほうのLINEと電話番号とメールアドレスを一応交換し、住所も教えた。今後の連絡はこっちでいいことを伝えると、目をキラキラさせて喜んだ。
「なあ、くれぐれも残りの期間、他のやつにおれたちの関係知られないように気をつけろよ…まあそのうちうちに越してくるんだろうけど」
こんなわかりやすく反応するんじゃ絶対にすぐにバレる。念の為、釘を刺す。長谷はのんびり「わかってますよ」と言い、ニコニコしているが、どうだかなあ。
「ねえ先生」
少し屈んでおれの顔を覗き込むと、妙に自信有りげに言った。
「おれたち案外きっとうまくいく気がするよ」
「なんだよ、一回やったらもう彼氏ヅラか?」
鼻で笑って言うも、もうその程度には長谷は動じず笑う。
「もう、そんな意地悪なこと言わないでくださいよ、先生ほんと素直じゃないなあ、おれは本気ですよ」
「あのなあ、住まわせてはやるし、やりたいならいくらでもやらせてやるけど、本気になっちゃダメ」
おれの言うこともお構いなしに、長谷はおれを左手を強引に握って、人目も気にせず恋人繋ぎにする。
「そんなあ。てか答えてくれてないから改めて訊くんですけど、先生、見学の期間全うするまでおれに手を出さないつもりだったんですよね?なんで気が変わったんですか」
「歳下も悪くないなと思ったんだよ、…まあ昭和のオッサンはあんまそういうことペラペラ言わないもんなんだよ…言わすなよ」
週末特有の浮かれた空気に賑わう新宿の街を歩き、寄り道して百貨店を冷やかすなどしてから、駅に降りる階段で見送った。長谷は何度もこちらを振り返って手を振る。
反応せずにいたらわざわざ階段を駆け上がって戻って来ようとしたので、苦笑いして小さく手を振った。姿が見えなくなるまで一応見送って、振り返ると日が傾きかけていた。
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