Over Rewrite Living Dead

きさらぎ冬青

文字の大きさ
上 下
18 / 447
【2020/05 邂逅】

《第2週 月曜日 夜半すぎ》

しおりを挟む
藤川先生のことは、正直なところ苦手です。
プライベートや事務処理のことはともかく、仕事はパーフェクトだし、それなりに尊敬はしてるけど。
穏やかそうに見えるけど神経質で、人を自分の内面に立ち入らせない。静かにキレてる。激昂するようなことはないけど沸点は低いと思う。
観察していてわかったけれど、愛想よく微笑んでるような時のほうが余程怒ってて、怒ってる時はだいたい悲しいか不安になってるかのいずれかっぽい。あまりにも感情表現が支離滅裂で、医者になる前は心理学者だったなんて、到底信じられない。自分のことは別なのか。
精神医学者や脳科学者や医薬業界と協同でガチのトラウマ研究や記憶の再構築技術の研究をやってたような人だし、「研究者やカウンセラーじゃできることに限界がある、現場に出て当事者を救いたい、精神科医になろう」となるのはなんとなく想像できる。
それはそうとして、そこから更にわざわざ法医学者になったのかよくわからない。博士課程で精神科領域で医学博士になった後、急に法医学に転向したのは流石になんなのか。

おれは卒業後も好きなことを続けるためには親から医者になることを条件につけられてたから踏ん張っただけで、志のようなものはまるで無かった。単純に父親は武道系のたしなみも有り、厳しい人物だったので逆らえなかっただけだ。
しかしうちは開業医じゃないから、研究者か勤務医になるしかないし、絶対忙しすぎて本来やりたかったことは結局できなくなる。そもそも自分の性格では頭を下げて回って雇用され他人に従って生きるというのは絶対に無理だった。
何処か興味のある分野で研究者として潜り込んでそこそこに給料とか細々した仕事もらって合間に好きなことやれたらな、くらいの気持ちで院進して学校に残ったが、結局修士課程の終わりが見えても行き先が決まらず、博士課程に進み共同研究で博士号をいただき、博士課程の終わりが見えてもまだ行き先が決まらず、途方に暮れていた。
そこに、親同士が知り合いという縁で「実質パシリみたいなもんでいいから」と半ば強引に藤川先生のところに捩じ込まれた。ひとりで仕事したいであろう故に敢えてイレギュラーな働き方をしているあの先生にしたってそんなの「はぁ…」って感じだったと思う。実際、藤川先生のお父さんに連れられて初めて挨拶に来たとき、当時まだ講師で教授の小僧さんでもあった藤川先生は、あの書庫で疲れ切った完全に死んだ魚みたいな目で「はぁ…」と言っていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

ドSな義兄ちゃんは、ドMな僕を調教する

天災
BL
 ドSな義兄ちゃんは僕を調教する。

首輪 〜性奴隷 律の調教〜

M
BL
※エロ、グロ、スカトロ、ショタ、モロ語、暴力的なセックス、たまに嘔吐など、かなりフェティッシュな内容です。 R18です。 ほとんどの話に男性同士の過激な性表現・暴力表現が含まれますのでご注意下さい。 孤児だった律は飯塚という資産家に拾われた。 幼い子供にしか興味を示さない飯塚は、律が美しい青年に成長するにつれて愛情を失い、性奴隷として調教し客に奉仕させて金儲けの道具として使い続ける。 それでも飯塚への一途な想いを捨てられずにいた律だったが、とうとう新しい飼い主に売り渡す日を告げられてしまう。 新しい飼い主として律の前に現れたのは、桐山という男だった。

兄弟愛

まい
BL
4人兄弟の末っ子 冬馬が3人の兄に溺愛されています。※BL、無理矢理、監禁、近親相姦あります。 苦手な方はお気をつけください。

新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~

焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。 美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。 スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。 これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語… ※DLsite様でCG集販売の予定あり

受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店

ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。

エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので

こじらせた処女
BL
 大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。  とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…

推しに監禁され、襲われました

天災
BL
 押しをストーカーしただけなのに…

処理中です...