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【2020/05 邂逅】
《第2週 月曜日 夜》②
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チェックインして部屋に入り、ウェブサイトから今日の出勤キャストを確認し、LINEで『店』に連絡を入れる。ホテル名と部屋番号、希望のキャストとプレイスタイル、プランを伝えると、10分ほどして料金と到着予定時刻、プレイ時間の案内が返ってきた。
そのついでに、馴染みの受付スタッフから「お世話になっておりますシノです。今回は普段とは違う趣向でのご利用のようですが、お楽しみいただけましたら幸いです。ご感想お待ちしております。」とメッセージが届いた。
いつもと違う名前で連絡したが、アカウントの表示名で「いつものあの人」と認識されているのか、バレていた。今日の受付がシノさんだとわかってたら…完全に無駄な足掻きだった。勝手に恥ずかしくなった。
シノさんは電話でも何度か話したことがある、声が若くやさしい話し方をする人。有名コーヒーチェーンで店舗責任者だったとブログに書いていたことがあるだけに、親切に対応してくれる人だ。
彼が悪いんじゃない。突然全く趣向の異なるキャストとプランを希望して、それをわざわざ誤魔化そうとして、馴染みの受付さんにバレて、勝手に恥ずかしくなっただけで。却って気を遣わせてしまったようで申し訳ない。
数駅離れたところから呼んだのでまだ少し時間がある。
到着までエアコンと加湿器を起動して、スーツを脱いでクローゼットに掛け、風呂に湯を張りながらシャワーを浴びる。
目を閉じるとまた、最後に見たあの、口元に指を立てて暗い光が宿った目で薄く微笑む顔が焼き付いたままで、消えない。
そして同時に、最初に会った瞬間「あれ?こんな顔だったっけ」と感じたのを思い出す。
ああ、そうだった。風呂場を出たらもう一度確認しないと。
そう思ったら落ち着かなくなって、局部以外の洗浄は手早く済ませ、風呂場を出た。
濡れた髪をタオルで乱暴に拭きながら、スマートフォンのブラウザを開く。ブックマークしていた大学のウェブサイトを確認すると、予想は当たっていた。
今よりも、二重の幅が狭く角度がついている。
今よりも、口角が少し長い。
今よりも、オトガイが少し引いてる。
今と唇の厚みが、輪郭の明瞭さが違う。
そして髪型が変わっているのがイメージの変異に及ぼしている影響が大きい。
ストレートのツーブロックが、パーマヘアになり、生え方に逆らうように作られていた分け目が無くなっている。
あれはかなり前の写真なんだろうか。大学のウェブサイトに載せるのであれば直近の昨年度後期くらいの写真が良さそうなのに。
ぼんやり見つめていると、ドアを軽く二回ノックするのが聞こえた。
取り急ぎ備え付けのバスローブを羽織って迎えに出る。
「フジカワ様でお間違えないでしょうか」
「うん、思ったより早かったね。どうぞ入って」
そのついでに、馴染みの受付スタッフから「お世話になっておりますシノです。今回は普段とは違う趣向でのご利用のようですが、お楽しみいただけましたら幸いです。ご感想お待ちしております。」とメッセージが届いた。
いつもと違う名前で連絡したが、アカウントの表示名で「いつものあの人」と認識されているのか、バレていた。今日の受付がシノさんだとわかってたら…完全に無駄な足掻きだった。勝手に恥ずかしくなった。
シノさんは電話でも何度か話したことがある、声が若くやさしい話し方をする人。有名コーヒーチェーンで店舗責任者だったとブログに書いていたことがあるだけに、親切に対応してくれる人だ。
彼が悪いんじゃない。突然全く趣向の異なるキャストとプランを希望して、それをわざわざ誤魔化そうとして、馴染みの受付さんにバレて、勝手に恥ずかしくなっただけで。却って気を遣わせてしまったようで申し訳ない。
数駅離れたところから呼んだのでまだ少し時間がある。
到着までエアコンと加湿器を起動して、スーツを脱いでクローゼットに掛け、風呂に湯を張りながらシャワーを浴びる。
目を閉じるとまた、最後に見たあの、口元に指を立てて暗い光が宿った目で薄く微笑む顔が焼き付いたままで、消えない。
そして同時に、最初に会った瞬間「あれ?こんな顔だったっけ」と感じたのを思い出す。
ああ、そうだった。風呂場を出たらもう一度確認しないと。
そう思ったら落ち着かなくなって、局部以外の洗浄は手早く済ませ、風呂場を出た。
濡れた髪をタオルで乱暴に拭きながら、スマートフォンのブラウザを開く。ブックマークしていた大学のウェブサイトを確認すると、予想は当たっていた。
今よりも、二重の幅が狭く角度がついている。
今よりも、口角が少し長い。
今よりも、オトガイが少し引いてる。
今と唇の厚みが、輪郭の明瞭さが違う。
そして髪型が変わっているのがイメージの変異に及ぼしている影響が大きい。
ストレートのツーブロックが、パーマヘアになり、生え方に逆らうように作られていた分け目が無くなっている。
あれはかなり前の写真なんだろうか。大学のウェブサイトに載せるのであれば直近の昨年度後期くらいの写真が良さそうなのに。
ぼんやり見つめていると、ドアを軽く二回ノックするのが聞こえた。
取り急ぎ備え付けのバスローブを羽織って迎えに出る。
「フジカワ様でお間違えないでしょうか」
「うん、思ったより早かったね。どうぞ入って」
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