Over Rewrite Living Dead

きさらぎ冬青

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【2020/05 邂逅】

《第2週 月曜日 午後》③

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内容は、まだ前期始まって間もないこともあり関連法規と必要な手続きや書類の話、同意を得られない場合どう対処するか等、一般の人間でも知ってて損はない内容が多かった。
藤川先生の授業は専門用語を無闇に使わず、実例や実際の書面を提示して解説するので非常にわかり易い。
反面、小曽川さんが行ったとおり、集中に欠く学生に指定箇所を読ませるようなことはなかったが、名前を挙げて「教える側のモチベーションが下がる」と退席させるなど授業態度には厳しいものがあった。

次の授業までの休み時間、同じ教室で行われるため藤川先生は用便のためか少しだけ席を外し、間もなく戻ってきた。
「先生、あの」
近づいて声をかけると、部屋や廊下で会ったときの感じだった。機嫌の悪い様子はやはりない。
「授業でなんかわかんないとこでもあった?」
決してフレンドリーではないけど、口調は穏やかで、割と砕けているこの感じ。
「そうじゃないんですけど、先生あまり感情顕わにしない人なのかなと思ってたから、ちょっとびっくりしました」
少しだけ表情が緩んで、目尻にちょっと皺が寄った。
「あぁ、追い出しちゃったからか…前に教務からもそういうの良くないって言われたけど、あいつ3年でね。本来は多摩で実習やってるはずの学生だし、熱心にこっちまで来て授業受けてくれるのは熱心でいいんだけど、3年にもなって現場に出席して教員に印象付けておくことでどうにかしよう、みたいな感覚だと困る。他の奴がどうだか知らんけど、少なくとも、おれは嫌なんだ」
やはり、今見ている限りではどこがどうだらしがないのか全く想像ができない。思ってたとおり、神経質で厳しい。
仕事は完璧、プライベートは滅茶苦茶というタイプの人なんだろうか。
「さっき小曽川さん、先生は仕事最優先だって言ってたんですよ」
「まあ、そりゃ人の尊厳に関わる仕事だからね。あぁ、ほらそろそろ時間だよ、自分の席戻んな」
左の手をこちらに伸ばし、肩をそっと、叩くというよりは幼い子供にするように添えてトントンされた。
この時も左の手の薬指や小指の当たりが弱く、その二指の辺りは動いていなかった。
そして、その時に気づいてしまった。
右側の耳朶と、金ラメの入った黒いリブ生地のタートルネックの襟の間、白い膚に午前中は無かった赤紫色の痕が付いていることと、襟が少し伸びてしまっていることに。
先生に、先生以外の誰かの匂いが纏わりついていることに。
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