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エルフォリーナ、不審がられる
しおりを挟むトントントン
「お嬢様、メイでございます。」
お嬢様!?え、それ、私のことだよね。
メイって誰?
とりあえず、開けた方がいいんだよね。
頭の中に知らない人が来てもドアを開けてはいけません、という小学校の先生の言葉が蘇るけど、今はイレギュラーな状況だから!と思って扉に駆け寄る。
「は、はい!どうぞ!」
バッと扉を開くと、そこにはクール系美女がいた。
見ていてほっとする懐かしい黒髪に黒目。
整った顔立ちの彼女は、私を不審そうな目で見ている。
え、私なにかしたかな?
いかんせんなにも分からないものだから、どうすればいいのか分からず、挙動不審になってしまう。
「……お嬢様、お食事の時間です。」
しばらく沈黙したあと、メイは無表情のまま告げた。
その沈黙の意味が知りたい!
私、なんかやらかしてるのかな?
うー、でも、なんか流されたし、いいのかな?
うん!気にせずいこう!
楽観主義上等!と切り替えてメイに向かってニコッと微笑む。
にしてもメイが自分から名乗ってくれてよかったーなんて思っていると、私の顔を見たメイが信じられないものでも見たかのように凍りついた。
…え、またなんかやらかした?
笑った顔がブサイク…はないか。
元の体ならともかく、今の私は美少女…のはず。
だよね?
メイの美貌を見てたらなんだか自信がなくなってきた。
ひょっとしてこの世界、とんでもなく顔面偏差値が高かったりして。
「お嬢様?いかがいたしましたか?」
「え?あ、なんでもない!」
メイの言葉にハッと我にかえる。
メイは既に無表情に戻っている。
さっきから思ってたけど、切り替え早いな!
「じゃあ行こっか!」
今度こそご飯を食べに行こうとメイに声をかける。
するとまたもや不審な顔。
「……皆さまと共にお召し上がりになる気ですか?」
「皆さまって、家族のことよね?えーっと、普通そうじゃないの?」
違うのかな?
なにか複雑な事情があったり?
内心ヒヤヒヤしながらメイの反応を伺っていると、彼女はひとつ、瞬きをした。
それからフーッとため息をついて。
「失礼ながら、あなたはお嬢様ではありませんね。」
「……え。」
なぜバレた。
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